畑沢には野生の椿が満開でした。5月1日に熊野神社と畑沢地蔵庵を訪ねたら、山裾をぐるりと囲んで、椿が一斉に真っ赤な花を開いていました。真っ赤な花は、葉の濃い緑のために目立たないのですが、近づくとその見事さが分かります。
これまでもその1とその2で紹介してきました。2回ともまだ花はありませんでした。この度ようやく、花を見ることができました。その美しさは想像以上でした。どうして、半世紀以上もの間、私は気が付かなかったのでしょう。はるか昔からそこにあったので、普段の風景でしかなかったのです。ましてや、山に近づいて、しげしげと眺めるなどは考えもしないことでした。椿に対して大変、申し訳ないことをしてきた気持ちです。
庭などに植えられている椿と比べると、花弁(はなびら)は薄くて上品です。まだ椿についての勉強も不足している私には自信はありませんが、花の真ん中にある雌しべの集団らしきものは黄色です。葯と思われる部分が黄色なのは、園芸品種と同じですが、雌しべの柄の部分も黄色っぽい感じがします。
ここの椿の素晴らしさは、個々の花が美しいだけではなくて、それが200mぐらいにわたっていることです。やはりユキツバキかなあ。山形市内のY氏から御指導いただけるのが楽しみです。
Y氏によると、葉脈を見て判断できるとおっしゃっていました。透かして見たのですが、元々、植物についても素養がないので、それでも分かりません。他の椿との比較ができません。
さて、もう一人、満開の椿を楽しんでいるのが、この山に二百年以上も鎮座している如意輪観音様です。右の頬に手をやりながら頭を傾けて花に見入っています。
ところで、畑沢の祭の席で、この石仏は「歯痛(はいた)の神様」と呼ばれていました。歯が痛む頬を抑えていると言うことでした。さすがに私の先輩たちは、うまいことを発想するものです。