平成27年8月19日、久しぶりに時間ができたので、背中炙り峠の「楯」の調査に出かました。国道13号線から県道29号線へ乗り換え、中沢地内に入ると、右側に最近できた建物があります。最近といっても2年ほど経つのですが、写真に納められないでいました。私はスビタレなので、人がいるとカメラを向けることができません。この日は誰もいませんでしたので、パチリ。農産物の直売所です。この道路を通る自動車を対象にしたものです。銀山温泉客が高級車でこの道路を通りますので、中沢の新鮮で美味しい農産物を買っていただこうと建てられたようです。畑沢でもこの元気をもらいたいものです。販売店の御繁盛を願っています。
いよいよ峠の調査地点に近づき林道に入ると、「アブ」の群れが歓迎してくれました。喜び勇んで私を取り囲み、車の中にも飛び込んできました。アブは血を吸うために私に近づいたのですが、そっと吸うならまだしもジクッと口を突き刺しますので、蜂に刺されたような痛みがあります。体に止まったら直ぐに叩き潰さなければなりません。山間に生まれ育った私はその技を修得してます。しかし、なかなか体に止まりません。私の殺気を感じているのでしょう。アブを見たら叩き潰さないと気が治まらないのですが、これではどうしょうもありません。仕方なく、車の中に入ってきたアブを車に閉じ込めて、熱気で殺す残虐な方法を思いつきました。でもアブが死ぬ前に私が死んでしまうので、諦めました。
車から出ると、外には秋の花が咲き始めていました。オトコエシが青空に白い花を咲かせています。
キンミズヒキもきれいです。
峠の地蔵堂は大分傷んでいます。扉は完全に壊れています。
万年堂の周りの草も伸びていましたが、持っていた鉈で刈り払いました。
地蔵堂と万年堂に拝んで、いよいよ調査を開始しようとしたらお腹が空いてきました。時計を見るとほぼお昼時です。腹が減っては調査ができません。弁当を食べるために、弘法清水へ、向かいました。ところが、弘法清水へ向かう古道が脇の斜面から倒れてきた雑木で邪魔されていました。一昨年からすでに気づいていたのですが、道具を持っていなかったのでそのままになっていました。4年ほど前までは、上畑沢の方々が刈り払いをされていましたが、高齢になられたので最近は全く手入れがされていません。
いつもの私なら支障木を除けながら清水まで行っていたのですが、この日、私は鋸と鉈を腰にぶら下げていました。鋸と鉈を持っていながら、この状況を見逃すことはできません。弁当を平らげて、二丁拳銃が火を噴くごとく、バッタバッタと切り払いました。併せて、古道に転がっていた間伐した杉の丸太も片づけました。
清水の近くになると斜面の水分が多くなり、「アブラチャン」というクスノキ科の灌木が古道を塞ぎます。この木は畑沢では「トリギ」と呼ばれていて、かじきの材料に使われています。それなりに有用な木ではりますが、この時はただ単に邪魔ものです。
それらの木も刈り払いました。おかげで古道がその部分だけすっきりしました。実は、古道には通りを邪魔する何十倍もの木が生い茂っています。
さて、一息ついて時計を見ると、既に午後2時を過ぎていました。体力もかなり消耗しています。とても、楯跡の調査のために尾根に上って、さらに真夏の生い茂った藪を漕ぐことはできません。私なりに賢い選択をしました。
ああ、私の腰に鋸と鉈がなかったならば、すぐさま調査を開始できたでしょうに。残念です。しかし、それでもどこか満足感がありました。