昨年から畑沢のことで気にかかっていることがありました。それは楯跡の調査です。これまで何年もの間、上畑沢にあるはずだと推測していた楯跡を探していましたが中々、見つからず、ほぼ諦めかけていました。ところが突然、昨年の五月にそれが現れました。ブナ林を見物していたのを止めて、急遽、実体の把握に努めてきました。日を改めて直ぐに平面図(専門の方々は「縄張図」と言っています。)を作成するための測量をすればよいのですが、昨年は子や孫が相次いで帰省して長期間滞在したので、全く作業する時間がありませんでした。じっと1年間待ち続けて漸くその機会が巡ってきました。葉が茂る前の短い期間が勝負です。
令和2年4月25日(土)に畑沢へ出発しました。暫く雨天が続いていたのが、この日ばかりは晴天です。しかも予報では尾花沢でも18度になるというのです。ルンルン気分です。今年は暖冬のために4月11日か12日ごろに背炙り峠の冬季通行止めが解除され、例年よりも3か月以上も早く通行できます。当然、この日は背炙り峠へ向かいました。
峠に行く前に必ず最初に行うのが、村山市側のビューポイントからの撮影で、中沢地区を撮りました。いつもの眺めです。残念ながらすっきりしていません。暖冬が終わったので、新緑が見えるかと期待したのですが、まだの様です。これでは例年の4月と大差ありません。この場所で山菜を探していた御夫婦も、「まだ何も出ていない」と手持無沙汰でした。山道へ来る方々は、何らかの獲物がないと満足しない様です。「花や景色を愛でる」だけでもよろしいのではないでしょうか。
反対の方角には甑岳が少ないながらも白い筋を見せています。この日の気温は五月並みなのですが、全体的には寒々とした景色です。
峠まで来ると、少し見通しが良くなり、葉山が見えました。アップで撮ったのですが、峠からだと葉山の全景は見えません。右側が隠れてしまいます。
畑沢では楯跡の測量をしてきましたが、私のことですから当然のこととして余計な事にも時間を費やしました。
普通の山の木は芽を少し伸ばしているだけで、まだまだ葉を広げようとしていません。ところが、ブナ(山毛欅)はどの樹種よりも早く葉を広げます。楯跡はほぼ全てがブナ林に覆われて綺麗です。下の写真は楯跡の北端にある堀切が、写真中央から下部に見えています。楯跡そのものの報告は、後日、平面図が完成してからにします。今から言うのも何ですが、実に拙い図面になりました。
以前の投稿で、「畑沢の山桜は疎ら」などと言っていましたが、あれから何日も経ってゴチャゴチャと大挙して咲き誇っていました。 私の表現に発奮したのでしょうか。
楯跡の測量が終わって山形へ帰るために再び峠に到着した時は、もう6時近くなっていました。峠そのものの写真を投稿したことがなかったような気がしましたので、村山市側から見た峠の切通しを載せました。今の切通しは重機で造りますので、昔と比べ者にならないほどに大規模です。
峠で期待するのは、夕焼けです。そのために作業が終了してから急いで峠に向かってきました。ところが、6時近くになっても日はまだ山並みよりもはるか高い所でぐずぐずしています。葉山の上の雲が焼けずに、生焼けのままです。
体は疲れ切っていましたので、夕焼けをただ待つのも億劫でした。周りの景色を沢山撮りましたので、その中から一部を御覧いただきます。先ずは上の写真の反対側です。遠くに夕日に照らされた甑岳が見えます。
少しだけ右に視界を移すと、高原状の地形に「桜の園」らしきものが見えました。地元の人たちが大事に整備しているのかなと思っています。