最近、自分の中の三国志ブームを抑えきれず買ってしまった。
三国志の中で兵法書のバイブル、諳んじるのが軍師のステータスみたいに扱われる『六韜三略』です。
古代中国、周の文王・武王に仕えた名軍師太公望が伝えたとされる六韜三略。
そのうち三略は黄石公という人物が撰録し、これまた漢の名軍師・張良へと受け継がれる。後の日本では藤原鎌足、源義経、北条早雲にも影響を与えたとされる伝説の書です。
まぁ、太公望が伝えたのかどうなのか、本当の出自はよう分からんとのことですがw
とりあえず目を通すだけでもと。六韜も一緒に買ったんですが、六韜は結構分厚い。とりあえず薄っぺらい三略から読みました。
漢文の書き下し文と現代語訳が載ってる。三略は文字通り3つの項目、上略・中略・下略で構成されてます。
ちょっと読みづらかったけど、おおよそ大略は掴めましたかね。
てか、意外な内容でした。厳密には兵法ではなく、人が上に立つための心掛けってとこ。道徳を説いてる。
正直読んでて「当たり前じゃね?」ってことばっかり書いてるw
北条早雲は三略の講義を受け、上略の最初の一文。
「夫れ主将の法は……」を聞いただけで「分かった!」と兵法の極意を悟ったんだとか。
もしかしてこれって「そんなん聞かんでも分かるわい」とか、そういう意味なんじゃないか?w
まぁ、古代にこういう基本的な道徳が大切ってことに気付いたってのが、この本の偉大な所なんでしょう。
現代で当たり前の価値観が、古代中国では本当に尊い考え方だったてこと。
春秋戦国時代に成立した本で、平和な時代だからこそ、その有難みが分かるということ。
それにしたって、やっぱり当たり前やなと思うけどw
三略が言うには、とにかく賢人を雇いなさいと。雇う時には礼儀を弁えて、給料とか爵位とかちゃんと奮発しなさいと。
君主は清廉潔白で、国民を大切にしなさい。
奸臣をしっかり抑えて、賢臣の話をよく聞いて重用しなよ。
将軍について戦いの心構えも書かれてますが、具体的にどうってことじゃなく。
兵士が苦しんでる時に、喉乾いただのわがまま言っちゃダメとか、将兵の心を一つにする。そうすれば戦は自然と勝てるよってとこ。
ちなみに、『柔よく剛を制す』という有名な言葉がありますが、その出自はこの三略なんだとか。
柔よく剛を制すの後には、強よく弱を制すと続きます。柔弱の大切さを説く。
ただ柔弱だけもダメよと。使い分けで臨機応変にと。
本当に当たり前のことばっかり書いてるんですよw
でも、読んでてドキッとはしますが。
その当たり前が出来てないのが、今の日本だとも思う。
読んでて刺さる部分が沢山あった。
現代でいくら技術や文化が進もうが、やっていることは古代と変わらん。
悪政や増税、奸臣。あらゆる戒めが書かれてる。本当に当たり前なんだけど、その当たり前を為す難しさ。
結局、今現在も一緒ってことよね。読むたびに恐怖と絶望が深まる。
中略の一文には、
「聖人は天を体し賢人は地に法り智者は古を師とす。故に三略は衰世の為に作る」と。
今がその衰世なのか。三略は時代を越えた警告なんやと思う。
今の政治家は三略など読むまい。当たり前だからこそ見落とすこと。
今の日本を救えるのは、新しくこの三略を読む人やと。
別に源義経みたく英雄になれというわけではなく、国民一人一人、衰世に備える心掛けが必要なんじゃないか。
その一人一人が増えた時、国を動かす力になる。
そう甘くはないのかもしれないが、政治を変えるには国民が変わるしかない。
その変わる一助に、三略はなると思う。
俺は三略を読みました。次はあなたの番です。
では、また。