中野剛志氏の『 小林秀雄の政治学 』という本を読みました。
どこでこの本にたどり着いたかは覚えてません。
内容は
第一章 理論
第二章 歴史
第三章 戦争
第四章 自由
第五章 政治
第六章 実践
第七章 日本
というものですが、第三章から読み始めました。
これもまた、私には難解なものでした。
印象に残ったのは、第五章の中で、
『政治家は、社会の物質的生活の調整を専ら目的とする技術家である。精神生活の深い処などに干渉する技能も権限もない事を悟るべきだ。政治的イデオロギイ即ち人間の世界観であるといふ様な思ひ上がつた妄想からは、独裁専制しか生まれますまい。』
という一節です。
政治は衣食住の管理実務で有るとみなしていて、イデオロギーによって社会を操作しようとする現代政治を批判しています。
『イデオロギーとは、権力の手段へと堕とした思想なのである。』と言い切っています。
最近、政府は『愛国心』『ナショナリズム』などと装って、個人の心の中にまで踏み込んでこようとしています。
小林秀雄は、「政治と文学(昭和二十六年)」で、すでに警鐘を鳴らしていたようです。
また、教育に携わってきた私にとって、
『出来上がった知を貰う事が、学ぶ事ではなし、出来上がった知を与へる事が教へる事でもなかろう。質問する意思が、疑う意思が第一なのだ。』
というくだりが心に響きました。
内容の一割も理解していないかも知れませんが、読んでいて発見のある面白い本でした。
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