参院選を前に、若者の投票率の低さが話題になっています。
どうしたら投票率が上がるのでしょうか・・・?
今、投票率を上げるために行われている様々なこととはなんでしょう。
①争点を明確にする
②SNSの有効利用する
③ご褒美の配布する
④政治に関する家庭内での会話を盛り上げる
⑤投票の義務化(オーストラリア)
⑥web投票(エストニア)
などなど。
「投票しやすくする」とか「気運を盛り上げる」などは良いとしても、「義務化」や「ご褒美」はいかがなものか。
「政治に関する関心を高めるための導入」としては意味があるかも知れませんが、問題の本質には迫っていないと思います。
なぜ、政治に関心がないのか・・・。
私は教育環境の不備が大きな問題だと感じています。
教育こそ、最良の手段。
投票率が高いスウェーデンの現状を調べてみると、『学校選挙』というものがありました。
『学校選挙』とは、スウェーデンの国政選挙が実施されるたびに行われるプロジェクトです。
日本でいう中学生と高校生が主な対象で、実際の選挙に先駆けて生徒が投票を学校で行います。
(日本で行われている「生徒(児童)会役員選挙」とは違います)
もちろん投票は「模擬」なので実際の国政選挙に結果が反映されることはありません。
しかし、スウェーデン若者市民社会庁、スウェーデン生徒会連合、スウェーデン生徒会組合、欧州若者議会からのサポートを受けていて、スウェーデン全土で1629 校が参加しており、参加する生徒総数は46万5960人とのことでした。(2014年)
だから、30歳以下の政治家が日本の10倍近くもいるし、政党の青年部に所属している若者の数の多いのだと思います。
それでは日本の教育現場ではどうなのでしょう。
中学校 学習指導要領「社会(公民)」p.134『中学校社会科公民的分野の学習の流れ』の図には、『選挙』の文字は見当たりません。
高等学校 新学習指導要領(2022)「公民」のうち、『公共』に
「政治参加と公正な世論の形成、地方自治」については、地方自治や我が国の民主政治の
発展に寄与しようとする自覚や住民としての自治意識の涵養に向けて、民主政治の推進
における選挙の意義について指導する。「国家主権、領土(領海、領空を含む)」及び「我
が国の安全保障と防衛」については、国際法と関連させて取り扱う。「国際貢献」につい
ては、国際連合における持続可能な開発のための取組についても扱う。
とあります。
今、教鞭を執っている社会科の教師は、知識としての選挙制度は触れても、実際の選挙に迫る生々しい選挙教育はしていない・・・と感じました。
それは、国が戦前の反省を踏まえて、教職員の選挙運動を禁止しているからでしょう。
教職員等の選挙運動の禁止等について(通知)
https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1417638.htm
教育公務員については、教育基本法等における教育の政治的中立性の原則に基づき、特定の政党の支持又は反対のために政治的活動等をすることは禁止されています。さらに、教育公務員の職務と責任の特殊性により、教育公務員特例法において、公立学校の教育公務員の政治的行為の制限は、国家公務員の例によることとされ、人事院規則で定められた政治的行為が禁止されています。また、公職選挙法においても、選挙運動等について特別の定めがなされているところです。
(学校の内外を問わずその地位を利用して特定の政治的立場に立って児童生徒等に接すること)
しかし、教育公務員のその地位を利用した政治活動と、政治教育とは全く別のモノでしょう。
その結果、祖父母も両親も政治教育を受けていない家庭で、政治に関する関心を盛り上げることには限界があるのではないだろうか。
日本社会の安定(災害時に大多数の国民がパニックや暴動が起こさないなど)は、国民性もさることながら、教育によるところが大きいと思っています。
教育環境の整備こそが、投票率を上げ健全な民主主義を支える近道だと思うのです。
国民の政治に対する無関心で得をするのは、一部不届きな政治家だけだと思います。