時々雑録

ペース落ちてます。ぼちぼちと更新するので、気が向いたらどうぞ。
いちおう、音声学のことが中心のはず。

応援すること

2005年12月19日 | 
もうこのブログの主題と全然関係ないのですが、サッカーの話です。W杯のFinalの組み合わせが決まって、日本のWebsiteをいくつかのぞきましたが、ドローの結果について真っ先に表示される内容が違いました。まず、Nikkan Sportsを見ると、試合の日程表。う~ん、どういう対決になったか通覧したい自分としては、分かりにくい… 一方、Sports Naviは全てのグループの一覧表。これが見たかった。Nikkan Sportsの意図は「さあ、さっそくツアーの計画を!」でしょう。W杯を、第一に興行と考えるか、サッカーの大会と考えるか、という姿勢の違いが明確に出ている気がしました。

 もう一つ面白かったのが、いつものぞいているブラジルを応援するサイトです。日本語で書いていますが、ブラジル生まれの方らしい。今回のドロー結果を見て「悪くない」と「ブラジル的視線」で書いています。一方そのコメントで「私なんかはやっぱり日本視点で見てしまいました。」という人も。

 私は、チームではなく選手を応援するタイプとでも言いましょうか、チームの勝ち負けもさることながら、ひいきの選手が活躍できたか、十分力が出せたか、という視点でしばしば見ます。たとえば、イングランドはあまり優勝してほしくないですが、ランパードはがんばれ。ブラジルは、たった今大会があったらかなりの確率で優勝でしょうが、大会は半年後、なんだかこういうチームは優勝しない気が。たとえば2002年のフランスも、のこり半年でピレス(好きです)が靭帯を断裂、大会直前にジダンがケガ… ブラジルのサッカーは好きですが、ちょっと不安。それはともかく、カカもいいけどジュニーニョ出して! スペインは大好きなバレロンが復帰しないかなぁ…パラグアイのロケ・サンタクルスはやっぱり間に合わないんだろうか…などなど。きりがないのでやめます。

 日本は…ずっと応援し続けている小野がもう全然だめだめ。怪我しすぎ。そもそもドイツ大会は中田・中村・小野・高原…が選手としてピークを向かえ、Jリーグ発足の成果が結実して日本代表も一度ピークを迎える大会になる、と2002年よりも前から期待してましたが、その期待値から現状は遠く隔たってしまっています。対戦相手以前に自分たちの現状がさびしく、正直、日本についてはまったくワクワクしません。勝負そのものについて言えば、とりあえず「自国開催ではない大会で1勝(以上)できるか」が現実的な課題だと思います。グループステージを突破したらとんでもない快挙でしょう。韓国でさえ5大会連続出場して、自国開催の大会ではじめて勝利。本当の進歩には、時間と積み重ねが必要なものだと思います。

 本題に戻ります。サッカーW杯はナショナリズムを高揚させる(あるいは昇華させる)もの、という見方もあるようですが、どうも私にはピンと来ません。今やサッカーのトップチームは(Jリーグに限っても)いろんな国の要素を合わせた混合チームで、国籍の移動もさかん。いろんな国の選手を知って、いろんなタイプのプレー、それぞれのバックグラウンドも知ったりして、自国以外にも好きな選手が自然とできます(日本で見られたFutbol Mundialという番組がその点とても好きでした)。

 また、個人的には友人ができると、その人の祖国のチームに興味を持つようになり、また楽しみが増えます。こちらで親しくなったAbdulaiのガーナでいえば、チェルシーでのEssienの調子を気にして見たりしています。お隣の韓国に興味を持ったのもそもそもサッカーから。日本のにっくき宿敵、という視点だったのですが、知るごとに興味が広がり、韓国語を勉強したり、韓国料理が好きになったり。選手ではC大阪にいたユン・ジョンファンが大好きでした。ちなみに、12月3日の記事のYさんもBloomingtonでコチュジャンのおいしさにハマリ、あらゆる食べ物に試してみているようです。先日うかがったときには、ハンバーグにケチャップとコチュジャン! 結果は… ソーセージに付けるカラシとケチャップの組み合わせと酷似。でももっとコクがあって良し。

 話がずれました。私にとってW杯は、各国にいる好きな選手が、名誉のためにプレーする晴れ舞台であって、どこが勝つということはあまり重要ではありません。選手にとっても、対戦相手に普段のチームメートがいる、ということがますます多くなっているようです。そのせいで、昔のように殺気立った雰囲気がなくなって、ちょっとつまらない、という人もいるようですが、私はそれについても好意的です。昔のアルゼンチンの選手はブラジルと対戦するときには「おめえの足をへし折ってやる」という勢い(ほんとうに言ってたのかも)だったそうですが、そんなのをワクワクして見る気はしません。

 そんなわけで、私にはサッカーはいろんな国やいろんな人に興味を持つきっかけであり続けています。ナショナリズムからはむしろ遠ざかる(越えるとは言わないまでも)効用があると、個人的には思っています。