時々雑録

ペース落ちてます。ぼちぼちと更新するので、気が向いたらどうぞ。
いちおう、音声学のことが中心のはず。

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2008年02月07日 | Bloomingtonにて
今日、授業後ラウンジにいるとJohnが持ってきた昼食を広げだしたのでメニューをたずねると、「ベーグルとシリアル」。ミルクをかけて持ってきたの? と聞くと「豆乳。俺ベジタリアンなんですよ」とのこと。だから生き物から取るものは一切取らず、ベーグルにも豆乳から作ったクリームチーズを使うと言う。ちょっと食べさせてもらったら、けっこう本物に似てる。

「そりゃヘルシーだね」とコメントしといたけど、実際のJohnはというと背は高いけどおなかぽっこり。。。 そういえば今学期の多変量分析の授業で、体重が例にあがったとき、「300」という数字を見て「そんな体重があるか!」と思ったけど、思えばポンドは450gくらいなので、135kgくらい。それくらいなら十分ありうる、ここなら。

アメリカに来てがっかりしたことの一つがシリアルで、まあ安いんだけど、みんな甘い。日本で食べてた雑穀やフルーツの入ったのは、あるにはあるけど、ぜんぜん安くない。すぐに全く食べなくなった。思ってたほどヘルシーな食べ物じゃないと思う。とくにここの人の食べ方では。

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久しぶりに同級生のJungHyoeに会った。元気そう。車を買って通勤してるとのこと。以前はあまり余裕がない感じだったけど、経済的にも余裕が出てばりばりやってる様子。専門が違うのでもう授業はばらばらだけど、また一緒に研究をやりたいとずっと話してます。とはいえ今は授業で忙しいし、今学期以降はお互い博士論文に向かうし、学生でいる間に実現するかどうか。

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昨日のトルネードはやっぱり強烈だったようで、ジョージアとか、アラバマとか、南の州を中心に50人以上死者が出たとか。Bloomingtonは普通に授業があり(小中学校はたまたま教員の研修でお休み)、「怖かった」と言ってた人もいたものの、停電もほぼなく、何とかなった様子。すぐ南のケンタッキー州までは死者が出るほどの被害だったようで、NYタイムズのWebでもトップ記事。夕方たずねるとNinaばーちゃんは「怖くてトイレにずっといた」。とりあえずこのアパートなら一番安全なのはそこか。

というわけで、今日あったことを適当に書きました。

緊急放送

2008年02月06日 | Bloomingtonにて
夕食後ちょっとTV(大統領予備選情報)を見てたら突然番組が変わり、「気象情報を確認してください」。インディアナ州南部から~北部へとトルネードが近づいている、避難することを強く勧めます、とのこと。でも避難しろたってこのアパート群に頑丈な地下シェルターなんかないし、ここ2Fだし。

レーダーを見ると真っ赤・・・を越えて紫の帯が近づいている。気象予報士も、「マリオン郡にはあと8分くらい、どこどこにはあと15分くらいでやってきます」と緊迫した状況を伝える。こりゃいよいよヤバイ、屋根が吹っ飛ぶくらいのことは覚悟しなきゃと思ったものの、幸いホンのちょっとの差で、トルネードの中心部分の直撃は免れたもよう。まだ雨が激しく降ってますが。

市の南のほう、Port先生の家があるモンロー湖の方にはかなり直撃かも。ここ数日の大雨で、州のあちこちに被害が出てる模様。今年はかなり大荒れの冬。さすがにさっきまではちょっと生きた心地がしませんでした。

(Bloomingtonは上のレーダー画像のほぼ真ん中です)

MCMC

2008年02月05日 | Indiana大学
先学期からベイズ統計学の授業を受講中。講師は心理学のJohn Kruschke先生。「R」という主に統計用に開発されてきたフリーソフトを使う。先学期以来、ほぼ毎週、プログラムを書き直してはチェックして、またダメでチェックして、というのが続いてます。これは辛い。。。 (基本にするのはKruschke先生が書いて与えてくれる、洗練されたプログラムです)

先学期はまだベイズ統計学のコンセプトを知るため、シンプルで一瞬で計算が終わるプログラムを使っていたのですが、2学期目の今学期はいよいよホンモノの分析で使うようなプログラムおよびデータを使用。こうなると、ベイズの定理に従った計算ではなくて、MCMC(Markov Chain Monte Carlo)というサンプリングを使ってPosterior(日本語で何と言うのでしょう? 知りません)の確率分布を推定することになります。

今回の宿題を今日終えましたが、著者のWebにある本物のサーベイデータを使用、これが2700人ちょっと、8つの説明変数を使用した重回帰分析(のベイズ統計学バージョン)なので、すごい数の計算が行われる。まして、Posterior Predictive Checkと言って、推定したパラメータに従ってデータを予測する、というシミュレーションも行うので、恐ろしい数の計算になる。

私は自分のPCでなんとか15分くらいで終わりましたが、「ずーっと動いてて、しまいにクラッシュするんですけど・・・」と受講者専用のWeb上の情報交換ページ(Forumと呼ばれる)にメッセージを出す人もいます。それでも、個人のノートPC程度のパワーでこれほどの計算ができるってのはちょっと前までは考えられなかったことで、だからようやっとベイズ統計学が実用化されるようになったのだとか(コンセプト自体は、現在のPearsonなどに基づく現在主流の統計理論よりも一世紀近く前にBayesさんによって提案されていたとの話)。

そのせい(おかげ)で、こういう分析技術を身につけざるを得ないのはけっこうしんどい。でもKruschke先生の話では、これまでの統計は理論的な問題があり、そういう問題がない上に分析の自由度の高いベイズ統計学が今後主流になるのは間違いない、とのこと。

実際、ベイズ統計学は既にいろいろ使われていて、言語学に限っても、去年の「Phonology」に利用例が出たとか。他にも、NATUREに数年前に載ったインドヨーロッパ語族の起源の推定(トルコのアナトリア地方という仮説を支持する)にも、MCMCが用いられていたことに勉強しだしてから気づきました。私と同じくDe Jong先生の下で音声学を研究するNoah(もうすぐPh.D)もベイズ統計学の使い手で、音声知覚のデータに用いる。自分も続けと、必死にしがみついて受講を継続中。

「R」は音声学の「Praat」同様、研究者が無償で提供したため、あちこちの研究者が寄ってたかってさまざまなプログラムを追加して、いまやとてつもなくパワフルな統計パッケージになっているらしい。ベイズ統計による分析ならMATLABを使ってもできるし、従来の統計ならSPSSなどもありますが、それらはバカ高い。日本でもSPSS高いでしょうけど、こっちでも一般ユーザは$2,000超えます(IUの学生は一年$35)。

今学期は同時に多変量分析の授業も受講中。こちらも数学が終わったら、「R」を使用して分析を行うとの話。いい機会なのでなんとかマスターしたいものです。(でもとりあえず今週はいよいよ線形代数の試験(怖))

画面は今日の分析結果が表示されたところ。8つの独立変数のサンプリングの軌跡が見られます。

携帯電話

2008年02月02日 | Bloomingtonにて
2005年8月、留学生活を始めるころは「留学生等の一時滞在者には社会保障番号(Social Security Number = SSN)を与えない」という新システム(9.11の影響)が始まったばかり。アメリカ国内の、あらゆる契約、あらゆるサービスが「SSNがなければできません」という状況との食い違いに対する対応が全く整っておらず、留学生は携帯電話も車も持てない、という状況でした。「どうすりゃいいんだ!」と泣きを入れられた留学生センターが交渉して、なんとかSSNなしの契約条件を取り付け、私もそれで携帯電話の利用を開始。

(2年目からアシスタントとして雇用された段階でSSNがもらえました。というか税金を払うので取れと言われる)

しかし、ほとんど使わない。余った利用時間が4000時間を超えました。はるかに安い固定電話を設置した今、必要ないので契約を打ち切ることに。電話でできる、と聞いていたので電話してみると「SSNを教えてください」。はいはい、持ってますよ、と番号を伝えると、「こっちには情報がありません」そりゃそうですよ、契約したときにはなかったんだから、と言うと、「すみませんが、情報の照合ができないので解約できません」。。。 まったく、あくまでも「SSNがないのは住所不定、素性不明と同じ」という一般アメリカ人のシステムを押し付けてくる。こんなに大勢いるのに、留学生のことなんかぜんぜん考えてない。それなら全員に最初からSSN出せっての。

解約したければ直接販売店へとの話だけど、買った当初のCingularという会社はat&tに合併かなんかされたらしく、もう近くに販売店はなし。バス2本乗り継いで郊外のモールまで。昨日から雨だったのが今日になって気温が下がったせいでそのまま凍りつき、歩道が厚さ1センチ程度の滑らかな氷で完全に覆われていて、危険だし、寒いし、バスは30分に1本だし、解約だけで一苦労。ま、ふつう車で行くところなんだけど。

この電話のおかげでインターネットを引き、日本からの荷物の到着の確認をし、航空券を買い、消防署に電話し(友人のボヤ騒ぎで)、最初はとても助かりました。が、もう家の電話で十分。こちらは日本と違ってまだプリペイドの携帯が売られているので、必要ならそれにするつもりです。

写真は、冷凍餃子の出来上がり。ちゃんと「ハネ」ができる。Potstickersという看板に偽りなし(?)

英語の大爆発は来るか

2008年02月01日 | Indiana大学
留学前、きっと数ヶ月で英語がすらすら出るようになる、と思ってました。GRE、TOEFLでもそれなりの点は取ったし、準備はできてるはず、と。さて1年後、まだまだ自在に話せない。きっと2年目のどこかで「大爆発」が起こって、気がつくとすらすらしゃべるようになる、と期待してました。2年目、少しずつ上達、でもまだ大爆発は来ない。いつなんだろう、と思ってるうちに終了。

そして2年半たった今、やっと気づきました。大爆発なんか来ない。ずーっと、じわじわじわじわ、少しずつ上手くなっていくだけ。突然何かが起こることは、たぶんない。外国語学習ってそういうものなんでしょう。第一言語の習得も、時間と手間(訓練)と大量の入力が欠かせない(Chomskyのいう「刺激の貧困」は誤り)というのが定説になりつつあるし。

聞くのはほぼ問題なくなり、話しの内容そのものに集中できるようになりました(インド人の英語はだめですが、それはアメリカ人もだめらしい)。読むのもだいぶ速く、正確になったようで、ネイティブが見逃している内容をこちらが把握しているということも出てきました。話すのも以前よりはずっとマシ。進歩はしているのです。でもまだまだ。。。

外国語学習に関する、世に溢れる甘いコトバ、たぶんみんなウソでしょう。外国語は長く継続して学習することによってのみ、しかも少しずつしか上達しない。そして、決して真のネイティブレベルには到達しない。がっかりする話しかもしれませんが、真実はたぶんそう。たやすく手に入れたものは大したものではないのだ(Easy come, easy go.)と思って努力すべし、ということでしょう。

今日の写真。スーパーで買ってきた冷凍の餃子。Ajinomoto製! でも販売はアメリカ国内。箱の裏に作り方のイラスト。焦げ付かない加工のある鍋に入れて強火で熱するだけ、一緒に凍らせてある水が解けて蒸され、その後フタを明けておくと油が溶け出してパリッと仕上がる。これならアメリカ人でも作れるかも(食わないか)。味もまあまあ。Potstickersって名前なのは、鍋にこびりつくから?