山遊塾With You

ハイキングやウォーキングの紀行、感想など。
気の向くままに歩いています。

山岳遭難が戦後最高になったとか。

2013年06月18日 | 登山

 近年の登山装備の進歩は素晴らしく、私などが山を始めた50数年前とは雲泥の差です。登山靴も無く地下足袋で山へ行きました。服装もひどいもので着古した学生服を使っていました。

 岩登りは麻の12ミリ30メートルが普通でした。鉄のカラビナと鉄のハーケン。そしてウッドシャフトのハンマーを腰にぶら下げて、かの地下足袋を履いて岩をよじ登っていました。思い出せば本当に懐かしく、ただただ山に登っていたいだけの青春でした。

 ドイツの若き天才クライマー ゲオルク・ウィンクラーに憧れて、ヒマさえあれば一人で近所の5メートルほどの露岩を登っていました。

 私の生きた時代の山好きは、大体同じような環境の中で登っていたと思います。ろくな装備も無い。山の情報も乏しく、現在のようにパソコンがあるわけでもなく、山岳雑誌は「岳人」くらい。それも120円の金がないと買えない月があったりで、そんなときは必要な部分だけ立ち読みするといった按配。

 こんなにも山の情報誌やネット上に情報が溢れ、知りたいことは即座に知ることができ、また装備については、現在のハイカーさんたちが持っている装備が、私たちの若かった時代にあったら、どれほどの登山が出来たろうと、うらやましく思います。

 ハイクラスの装備と最新の情報を手に入れても、近年の山岳遭難の増加はなぜなのか。メディアは単に高齢者が増えたことによる、と言っていますが、私とて高齢者の仲間に近い年です。ひとつ私なりに考えることはあります。私の主催する登山教室の受講生が、10年前に較べると断然少ないのです。最近は一人の受講生も無いときがあります。どうしてこうなったのか。みんな勉強が嫌いになったのだろうか。

 近年の山の情報誌の氾濫とネット情報から、知りたいことはほとんど手に入る。技術的なこともノウハウ物が沢山出版されています。そんなことからわざわざ教室まで出向く必要が無くなった。それらを読むことや見る事で大方山とはこんなものと理解できているのかな。

 登山は地道に体で覚えていくものと思っています。体験こそが一番の勉強。そこに知識や技術が身についていけば、より安全な登山が出来るものと考えています。