Hei!(「ヘイ」って読んで「やあ」って意味)~義務教育世界一の秘密

義務教育世界一の国の教師養成の実態を探る旅。フィンランドの魅力もリポート!その他,教育のこと気にとめた風景など徒然に。

子どもにとっての図工とそれを見つめる先生の眼差し~クリスマス・プレゼントとして

2013年12月24日 | 教育・研究・ひとの育ち
今日はクリスマス・イブ。このブログを読んで下さっている方は美術教育や子どもの育ちに関心が高い方に違いない。だから今日はクリスマス・プレゼントとして,今年聞いた一番いい話をお届けしたい。

それは,仕事仲間の教頭先生から聞いたお話。その教頭先生は,小学校で長らく図工の専門家として素晴らしい実践を重ねてこられた先生だ。私はその先生の言葉やその言葉に現れる,教師としての姿勢や考え方に,常に学ばされている。

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それは,学校の隣にあるハイツの方からの苦情から始まりました。

「児童がハイツ1階のベランダの下から学校の壁までの隙間に段ボールを敷いて,秘密基地をつくっている。指導するとともに,撤去してほしい。」とのこと。

見に行くと,確かに秘密基地らしき感じで,段ボールを隙間に敷き詰め,お菓子が散乱,毛布も準備してある様子が壁越しにわかりました。

私も小学生のとき,よく秘密基地をつくったので,その面白さはわかっていましたが,地域の方からの要望ともあり,秘密基地の撤去を生徒指導部の先生方と一緒に実行しました。

実際に現場に行って,ベランダの下にもぐってみると,段ボールをテープでつなぎ合わせて固定してあったり,簡易ライトがあったり,ムシコナーズ(防虫剤)がおいてあったりするなど,なかなか工夫してある基地の様子。

そして,なんと,壁にたてかけるように「図工の立体作品」があったのです。ぜひ,この基地をつくった児童にこの図工の作品をおいた理由を聞きたいなと思いました。

図工の作品は6年生で取り組んだものでしたので,基地をつくった児童を見付けるのは,容易でした。次の日,6年担任から作品は誰のかを聞くと,すぐに児童が判明しました。

担任が児童をつれて,私のところに謝罪(?)にきました。

私も「基地を撤去してしまったこと」を謝罪し,「なぜ,図工の作品を基地に置いたの?」と尋ねました。

回答は・・・

「自分のつくった図工の作品を隠れ家に飾り,守り神のようなシンボルにしたかった」ということでした。

それを聞いて,このような児童が育っているということに,うれしくなりました。

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現行の学習指導要領において,図画工作科の目標には「感性を働かせながら,つくりだす喜びを味わうようにするとともに」とある。この小学校ではまさにこの目標を実現する授業が行われているのだろう。そして,思いがが先走ってしまい,少し羽目を外してしまった子どもたちの方向性を温かく修整しようとする先生方の姿がある。

子どもたちのリアルな生と,それを見つめる先生方の眼差し。我が国の教育の本当の姿はこんなところにあると思う。世界に冠たる教育の秘密を,今,垣間見たような気がする。
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