Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

佐伯周子 シューベルトピアノソロ曲完全全曲演奏会 Vol.2 批評(No.1376)

2006-09-20 22:32:16 | ピアニスト・佐伯周子
 音楽専門誌「音楽の友」と「ショパン」の最新号(=10月号)に、8月13日 佐伯周子 シューベルトピアノソロ曲完全全曲演奏会 Vol.2 の批評が掲載された。 ありがたいことである。 佐伯周子 はこの2編の批評を糧にして、さらに飛躍できるように鍛錬を重ねてほしい。 次回リサイタルは 2007年8月8日「シューベルト シューベルトピアノソロ曲完全全曲演奏会 Vol.3」である。 批評は以下の通り。
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音楽の友 2006年10月号 Concert Review (p204) 高山直也 批評


佐伯周子p


 今年5月の「伊福部昭追悼演奏会」で東京デビューし、現在、洗足学園音楽大学大学院2年に在学中の気鋭のピアニスト佐伯周子の演奏会。およそ15年をかけての「シューベルト、ピアノ・ソロ完全全曲演奏会」の第2回演奏会にあたる。
 前半は、ショパン「12の練習曲」、後半はシューベルト「ピアノ・ソナタ嬰ハ短調」D655、<<楽興の時第4番>>D780-4、「ピアノ・ソナタ第14番」というプログラム。
 まず、彼女の演奏は一見つつましやかであるが、聴き進んでいくにつれ、自らの音楽を語る姿勢が強く浮かび上がってきたのが印象的。ショパンでは、アルペッジョの粒立ちが十全とはいえなくもなかったが、みずみずしい感性で色彩感を持って描ききっていた。
 シューベルトも、ことさら歌いまわしにおぼれることなく、深い読み解きによる無駄のない語り口で紡いでいく。それは内省的な佇まいを持ちながらも、演奏家としての強靱さが垣間見えた。若々しさもあるが、今後が楽しみである。
(8月13日・東京文化会館<小>)
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月刊ショパン 2006年10月号 「演奏会から」 (p126) 壱岐邦雄 批評


シューベルトの魅力w浮き立たせる 佐伯周子 ピアノリサイタル



 佐伯周子は洗足学園音楽大学大学院在学中ながら『ベーレンライター新シューベルト全集によるピアノソロ完全全曲演奏会』を展開していて、これはその第2回でもある。加えて今回のリサイタルには、ショパンをスタインウェイで、シューベルトをベーゼンドルファー・インペリアルで弾きわけるという趣向もあった。
 前半はショパンの練習曲作品10全12曲をナショナル・エディションの譜面を見ながら弾いた。左右の手のバランスを整えてまずは練習曲としての本性を浮き彫りにした上で硬美音をきらめかせ、低音を強靱に轟かせるなど、スタインウェイの特性の活かしつつピアニスティックに響かせた。
 後半のシューベルトはピアノソナタ断章断片嬰ハ短調D655(高本秀行補筆)、『楽興の時』第4番、ピアノソナタ第14番で、これも譜面を見ながらの演奏。『楽興の時』の中間部の柔軟優美な歌やソナタ第14番フィナーレなど、ここでもベーゼンドルファーのソノリティを活かしながらシューベルト本来の魅力を浮き立たせ、奏でた。
 このシリーズは15年ほどの長期におよぶというが、ベーレンライター版新シューベルト・ピアノソロ曲の全貌を識る喜びとともに、その間の彼女のピアニズムの研磨や音楽性の深化も併せて期待したい。
(8月13日 東京文化会館小ホール)
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