今まで聴いて来た「コバケン節」どころではない『過激濃密なコバケンワールド』が読響で実現した!
小林研一郎 は、東京では日フィルや東響で長らくポジションを持っていたので、頻繁に聴いて来た指揮者の1人である。
「作曲家の意図」に忠実なタイプではなく
「指揮者=小林研一郎の解釈」を最優先し聴衆に伝える
指揮者なことは(聴衆の誰もが知っている通り)私高本も熟知している。この度「読響特別客演指揮者1周年記念」で「三大交響曲」を振ることになったので(佐伯周子リサイタルと重複している8/16は無理なので)8/18の横浜みなとみらい公演を聴いた。
小林研一郎指揮の特徴 → 読響の場合
テンポの伸び縮みが半端でなく激しい。日フィルや東響の比では無い。
最初にぶっ飛んだのがシューベルト「未完成」第1楽章第2主題に入る直前の第38小節3拍目から第41小節2拍目までの「D」音のタイ。シューベルトは「記譜したロングトーン」を要求しているのだが、小林研一郎 はお構いなし。ほぼ「倍の長さ」を「遅めのテンポの中で要求」だった。ファゴットはダブルリード楽器だから長めの音も大丈夫だが、ホルンがよく持ったモノ(感涙
「未完成」も「運命」も「新世界」もテンポの伸び縮みし放題。特に「運命」は凄かった!!!
「対旋律」の浮上が鮮やか!
「コバケンワールド」は「対旋律」の鮮やかな浮上が命! これまで「聴いたこと無い旋律」がボコボコ聴こえて来る。それが、シューベルト、ベートーヴェン、ドヴォジャーク の意図の通りかはよくわからないが(苦笑
音が決して「潰れない」!!!
これが最も新鮮だった。「運命」第4楽章や「新世界」第4楽章で「コバケンが客席に向けて左手を後ろ向きに指さす」時(!)でも、読響の「音」は『響きを保つ』が素晴らしい。トランペットもトロンボーンもチューバもホルンも「最強音」を奏しているのだが、「割れない」。これが「読響の凄さ」だ!
小林研一郎 は 「下野竜也とは正反対のキャラクター」。小林研一郎で「ヒンデミット」も「ドヴォジャーク交響曲全曲」も無いだろう。「ド名曲路線まっしぐら」になることは目に見える。
だが「コバケンワールド」も『読響の統制されたサウンド』では、素晴らしい世界が待っていることもわかった演奏会だった。これで「初期シューベルト交響曲」はちょっとどうか? とかは思うのだが、「人生70年のド名曲路線」ならば、安心して聴ける!