Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

作曲家論 : バルトーク 第3回 (No.1370)

2006-09-14 16:27:42 | 作曲家・バルトーク(1881-1945)
 本日、パップ晶子 による「バルトーク公開講座」を受講して来た。 パップ晶子 は「音楽之友社版 バルトーク」を既に5冊編集している大家である。 私自身全5冊購入して、いろいろと調べていたのだが、やはり「著者本人の講座」を聴くと、細部まで疑問がほどけて行く。本日号から(連続になるかどうかははっきり言えないが)全5巻に亘り、「パップ晶子版 バルトーク楽譜」について掲載する。
まずは、講座で最も力の入っていた「子供のために 第1巻」から

バルトーク お薦め楽譜 その1



パップ晶子編集 ニュースタンダードピアノ曲集 バルトーク子供のために(1)




  • 推薦度  :☆☆☆☆☆
  • 正確さ  :☆☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆☆
  • 校訂報告:☆☆☆☆☆

価格: ¥ 1,680 (税込)


2005年出版。
 正直言って「摩訶不思議な感触」が初めに手に取った時の思い出としてある。
  • 原典版楽譜であるのに
  • どこにも「原典版」とも「Urtext」とも書かれていない

からである。 何でだろう? 不思議だ!

 とにかく「使い易い楽譜」である!

  1. 1946年改訂版を基礎にした「原典版」の基準に優に達している楽譜本体

  2. 子供にわかり易いように、冒頭に「挿絵」と「説明」、曲毎に「大意」を記載

  3. 指導者にわかり易いように、巻末に「作品解説」が17頁も(!)掲載


など、至れり尽くせりである。『曲毎の大意』は改訂版では削除されているので、改訂版(Boosey & Hawkes)よりも使い勝手は相当に良い(そして安い!)

 「ハンガリー音楽のリズムの特徴」なども極めて分かり易く記載されているので、まず「作品解説」を読んでから、弾くなり、指導すると良いように感じる。

 「初版至上主義」以外の日本人であれば、この楽譜が最も良いと思う。 
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作曲家論 : スクリャービン第10回 (No.1369)

2006-09-13 21:49:36 | 作曲・スクリャービン(1872-1915
 楽譜についてトラックバック頂いた、と言うことは、楽譜掲載号は有益だ! と思われる。そこで、本日は楽譜号の続き。
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スクリャービン 推薦楽譜紹介 その3


 本日は「ソナタ秘曲中の秘曲 = 変ホ短調ソナタ」の推薦楽譜を紹介するぞ。

Sonate es-moll (1889)  Wollenweber版



3,800円(税込)



  • 推薦度  :☆☆☆☆☆
  • 正確さ  :☆☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆☆
  • 校訂報告:☆☆☆☆☆
  • 補筆出来:☆☆☆☆☆


 1986年出版。

Richard METZLER & Roberto SZIDON 校訂&補筆


 この曲全曲の「唯一の出版」である。
  • 第1楽章 → 後でスクリャービン自身が改訂して「Allegro op.4」に出版(Dover版に収録されている)「ソナタ楽章」とは随分違っているが。
  • 第3楽章 → 「Presto」として数回出版されている。
  • 未完成部分が残る第2楽章 → これが唯一の出版

となる。 解説は 独語だけでなく、英語も併記。(← 安心してね)
 校訂者の1人 = シドン は、「世界初のスクリャービンソナタ完全全曲録音」の栄誉を担ったピアニスト。 「推薦CD」の回に紹介してあるので、気になる人は参考にしてほしい。
 補筆も「スクリャービンらしく余計なモノの無い」素晴らしい補筆である!
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作曲家論 : ガーシュイン第7回 (No.1368)

2006-09-12 21:59:25 | 作曲家・ガーシュイン(1898-1937
 今朝寝ぼけた眼で、朝日新聞朝刊を読んで驚いた。 東京12版21面文化総合欄に

70年の保護 必要なの? 著作権のふしぎ(上)


と言う記事が、赤田康和の記名記事で掲載されていたからだ。PMJ昨日号で著作権について書いたのを読んで掲載のタイミングを早めたワケでは無いだろうが、あまりにアイムリーなので、思わずPMJ昨日号を読み直してしまった。 尚、この記事も アサヒコム には、掲載されなかった。 何でだろう???
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ガーシュイン お薦め楽譜



 ガーシュインは「著作権」だけでなく、「上演権」も世界で最も早く「確立した国の1つ = アメリカ」の作曲家なので、自分の「作曲家としての権利」をきちんと保全した人である。

著作権は ワーナー・ブラザーズが全て管理


を生前から遂行している。 尚、留意点としては
  • 2006年現在では「ワーナー・ブラザーズ社」の権利を
  • 「ワーナー・ブラザーズ社」と
  • 「アルフレッド社」が
  • 分割して「正規出版」している

ことである。 2社の関係は、全くわからないが、「アルフレッド社」が「ワーナー・ブラザーズ社」の『子会社』のように思える。

Music by Gershwin (Warner Brothers)




  • 推薦度  :☆☆☆☆☆
  • 正確さ  :☆☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆☆
  • 校訂報告:☆(← 初出年が記載されているだけ)

価格: ¥ 3,053 (税込)


1975年に編集。

  • 19曲の「ポピュラーソング」(← 大衆から受け入れられたミュージカルナンバー)
  • 4曲の「ポピュラーソングに拠る即興」(← 録音から採譜した楽譜)
  • 「3つの前奏曲」
  • 「2つのハ長調のワルツ」
  • 「2つの調性に拠る即興曲」
  • 「ラプソディーインブルー」ピアノソロ版

が収録されている。
 普通に「ガーシュインのソロ曲」を弾くには、この曲集1冊で足りると思う。
  • オリジナルピアノソロ曲は全て収録
  • 「ラプソディーインブルー」ソロ版も収録
  • 「人気のミュージカルナンバー」も収録

だからである!
 ガーシュインも素晴らしい作曲家なので、「凝り」始めると深みに嵌るが、この楽譜は「全く間違いが存在しないことで定評がある」ので、この楽譜をきちんと購入して、ガーシュイン演奏は始動してほしい。 尚、ここだけの話だが、「アマゾン」のこの価格は「安い」と思う。 私高本が購入した時に比べて、20%以上安くなっている。
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楽譜の選び方<基本> (No.1367)

2006-09-11 22:18:06 | 楽譜の選び方
 先日、「ガーシュインの楽譜」掲載号に トラックバック頂いた ので、その文章を読み「困った楽譜を購入してしまった」事実を知った。読者の皆様には

できる限り「楽」して、音楽を楽しんでほしい


と常々考えているので、本日号では、この問題を取り上げてみたい。
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楽譜は「まともな楽譜」をきちんと購入しよう!


 世の中には 『2種類の楽譜』がある。

  1. まともな楽譜
  2. カネを得られれば、購入者がどうなろうと「知ったこっちゃ無い」と考える 悪徳な楽譜

の2つである。マジ、本当である。
 今は昔、
  • 現在は 1ドル = 110円 くらいであるが
  • 固定で 1ドル = 360円 の時代が20年以上に亘り長く続いていた「時代」がある

 ウソじゃないぞ! 日本史の本で調べれば真実は判明するぞ。

 収入の問題を別にしても「輸入楽譜の値段は 現在の 3.5倍」くらいしたのである。 実際は収入も、国際水準で考えると 年々上昇しているので、さらに「昔」はキツかったのである。
 ・・・と言う時代に、「ヘンレ版」や「ペータース版」のバッハやモーツァルトやベートーヴェンやシューベルトをガンガン購入することのできた家庭は少なかった。単純な話「カネが続かない」から。
 そんな時代に
  • ペータース版やヘンレ版と「ほとんど同じ楽譜」を
  • 1/5 くらいで販売して
  • バッハ~ブラームス 辺りを「フキュー」する
  • と言う「美名」の下に
  • 「パクリ」が横行 した。

「音楽之友社」や「全音楽譜出版社」も実行していた。もちろん、他の零細楽譜出版社どもは、大手以上にガンガンやっていたのである。 この事実は、35年前に私高本が確認している。
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 楽譜には【2つの権利】が存在する。

  1. 著作権

  2. 編集権


 「1」は、作曲家自身の権利であり、死後50年間(1945年の敗戦国には 10年の延長措置があるので、「敗戦の瞬間の戦勝国民」の人には 60年になる)権利が保全される。
 「2」は、権利期限が無限?、かと思う。要するに「コピーして販売してはいけない」と言うことだ。
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 ・・・で、トラックバック頂いた方が購入した「ガーシュインの楽譜」である。日曜日に「ヤマハ銀座店」に行って確認しました。

はっきり言って「購入しない方が良い劣悪楽譜」である!


 私高本は「ガーシュインの全ての楽譜」は知らないが、そのどれかを

  1. 全ての音符をパクっておいて

  2. 『故意に』いくつかの臨時記号を『わざと』変更した楽譜


である。 『ただでも、無い方が良い』楽譜である。

悪い楽譜を見極める方法


 これが無いと、明日も明後日も「悪徳業者」に引っ掛かる人が、今後も続出するか、、、
 では極意を発表する。心して読め!

  1. 「原典版楽譜」を選択すること!

  2. 校訂責任者 または 編集責任者 が 明記されている楽譜を選択!!

  3. 万が一、校訂責任者 または 編集責任者 が記載されていても、「井口基成」と「吉田秀和」ならば絶対に『買ってはいけない楽譜』!!!


 この3点だけを「絶対に揺るがない基準」にすれば、絶対に間違いは無い。
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 ガーシュインも全く同じである。
  • 著作権は切れているが
  • 編集権は切れていないので
  • 「シャープやフラットやナチュラル」をブチ壊した楽譜を
  • 廉価に売る「著作権または編集権破壊業者」の楽譜は
  • 絶対に「買わない方が賢明」

である。 円安になっても 1ドル = 360円 までは落ちないだろうから、じっくり「作曲家の意図通り」の楽譜を購入してほしい。 ガーシュインの楽譜も全く同じである。
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 具体的な「良いガーシュイン楽譜」については明日号に掲載致します。
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9月14日ヴュルツ 全モーツァルトプログラムリサイタル (No.1366)

2006-09-10 23:01:39 | 演奏会案内
 今日、ヤマハ銀座店イヴェントで、ナマの ヴュルツ を初めて聴いた。 素晴らしいピアニストである。 14日(木) のリサイタルについて紹介する。

9月14日(木) ヴュルツ 全モーツァルトプログラムリサイタル



 ハンガリー生まれのピアニストで、モーツァルトピアノソナタ全曲 を Brilliant レーベル に録音したことで有名な ヴュルツ が「ソロピアニストとして初来日」した。 14日に 四谷区民ホール にてリサイタルがある。 本日はそのデモンストレーションを兼ねて、ヤマハ銀座店イヴェント で聴いた。もちろん、モーツァルト!
 14日(木)は、既に スケジュールが埋まっている日だが、何とか都合を付けて聴きに行き、「演奏会批評」を掲載する予定!

「21世紀のモーツァルト」を弾くピアニスト!


の1人と思う。内容は

本年『ザルツブルク音楽祭』に招聘された時と全く同じ「全モーツァルトプログラム」


である。安心してほしい。ヤマハ銀座店では その中から、K25, K284/3, K332/3 が演奏された。
 興味ある読者の方は、是非足を運んでほしい。 「踏み込みの良いモーツァルト」が必ず聴ける。 全席指定 2,000。
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新譜DVD紹介『アルゲリッチ最新DVD』(No.1365)

2006-09-09 23:26:07 | CD&DVD 紹介&批評
 先日、「作曲家論 : シューマン」掲載時に、トラックバックを貼って頂いた Cool & Cool にて、「今年のシューマンイヤー最大のDVD」 が掲載されていた。




  • アルゲリチがピアノを弾いて
  • シューマンの「ピアノ協奏曲 イ短調 作品54」

税込:2,344円


9月29日発売予定


の「ライブ録音」である! 指揮はシャイー で、オケは シューマンゆかりの地 = ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団。 私高本としては、個人的には「シューマンの交響曲」は(シューベルトをパクった第1番変ロ長調以外は)高く評価しないので、第4番が入っていると、「どうするか?」は微妙。
 「ピアノ協奏曲だけでも、アルゲリチの演奏ならば、絶対買い!」の皆様は、お見逃しないように!
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新譜DVD批評『グレン・グールド:ヒアアフター(時の向こう側へ)』(No.1364)

2006-09-08 22:50:07 | CD&DVD 紹介&批評
 今朝、佐川急便が来たので受け取った。「開けてビックリ玉手箱!」 何と、9月22日発売予定と おとといまで明記されていた『グレン・グールド:ヒアアフター(時の向こう側へ)』が タワーレコード から送られて来ていた。マジですか?! Internet で確認したら、「在庫あり」になっていた。 ちなみに HMV で調べたら、9月15日発売予定。アマゾン では見付からなかった。タワーレコード、マジですごい!
 楽しみにしていた DVD なので、早速「聴く&観る」した。 以下、新譜批評である。

グレン・グールド:ヒアアフター(時の向こう側へ) DVD 批評(Ideale Audience DVD9DM20)




2,932円(税込)


  • 演奏   :☆☆☆(← 質は高いが、全曲聴かせることが1回も無く、細切れ!)
  • 資料価値:☆☆☆☆☆(← これは絶頂!)
  • 音質   :☆~☆☆☆(← 音質は期待しないでね!)


1948-1991年録音。

「グールドを知る」為に最適のDVD


  • これは「音楽を聴くDVD」では無い!
  • 「グールドを知るDVD」である!

 この言葉が最適であろうDVD。「グールドファン」であれば、絶対に購入しないと「体の震えが止まらない」ほどの感動があるが、「曲を丸ごと聴かないと感動を得られない人」には、不向き。
 ・・・で、「価値」としては、『極めて高い』と感じる。「グールドが50年の生涯を賭けて、伝えたかった内容」を「80%くらい」伝えることに成功していると感じたからである。根拠は以下の通り。

  1. 若い頃からの「録音&録画」好みのグールド像が余すところ無く描き切れている
  2. 「グールドからの発信」がほぼ「グールドのレパートリー全域」に亘って網羅されている!
  3. 貴重な「若き日のグールド動画(← 何と 1948年にプライベート録画!)

が、全て「聴ける&見れる」だから。
 う~ん、「バッハ:ゴルトベルク変奏曲」最終録音の日本語クレジットが「ゴルトバーグ変奏曲」と出ても良いが、「英語文化」を少しだけ意識するかも。
 日本の「団地」が写される(日本の竹藪も映るぞ!)のも、親しみが湧く。「グールドと言う人物」を知りたい人は必ず購入することをお勧めする。 タワーレコード が「安くて早い」ようだ。
 尚、音質は同じテークの「DVD や CD」に比べると劣ることが多い。(1981年盤「ゴルトベルク変奏曲」など)
 あくまで「グールドを知る」ためのDVDと思って、音質などにはこだわらないように。 ここだけの話だが

メニューインとの「録音 & 会話」が最高の「聴く&観る」である!


 そして「要注意」が画面操作。これが「クラシックDVDしか扱った経験が無い」人(← あっ、オレだ!)には、「メチャ難しい」かも。

  1. 最初は「English」を選択して(← フランス語の方が得意な人は除く)
  2. 数画面経過後に「Audio & Subtitle」を選択の後
  3. 「日本語」を選択して
  4. 「映像に戻る」

を選択する必要が(私高本には)ある! 相当に面倒くさい & わかり難い と思うぞ!!
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2006年9月7日 新国立劇場シーズンオープニング「ヴェルディ:ドンカルロ」批評(No.1363)

2006-09-07 23:53:51 | 批評
 本日、新国立劇場シーズンオープニングを聴きに行った。ピアノ関連では無いが、注目度が高いと思われるので、演奏会批評する。
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2006年9月7日 新国立劇場シーズンオープニング「ヴェルディ:ドンカルロ」批評


  • ソリスト陣と新国立劇場合唱団には、「ブラヴォー」が降り注いだが
  • 指揮 : ゴメス=マルティネス は「ブーイング」圧倒的優勢
  • 演出 : マレッリ も「ブーイング」圧倒的優勢

となった 新国立劇場シーズンオープニングである。
 ほぼ満席となった新国立劇場だが、「肥えた聴衆の耳&目」は決して甘くなかった。ノヴォラツスキオペラ部門芸術監督 の最終シーズンは、前3シーズン並みに「聴衆から嫌われる」船出になったと感じる。 歌手は ソリストも合唱団も、良かっただけに私高本としては、残念。


 う~ん、ノヴォラツスキーの「目指したオペラ」は丸3年経過した後も「東京の成熟した聴衆」には受け入れられなかったことが明らかになった、と言う意味で非常に「意義ある公演」であった。

  1. ウィーンを初めとする「ヨーロッパ先進諸国のオペラ」を『教えてやる』

  2. 「抽象化前衛演出」を『教えてやる』

  3. 「イタリアオペラにはイタリア人は起用しなくても、上演できるノウハウ」を『教えてやる』


と言うことが骨格。 確かに「国際化」と言うのは、「固有地域に異存しないこと」を意味するので、ノヴォラツスキの言う「信念」は理解できる。

問題は、オペラ公演の「出来」が悪いこと!


 この1点に尽きる。
私高本はイタリア語はわからない。だから、「正確なイタリア語」かどうかの判断を下すことはできない。 だが、ミラノとかフィレンツェとかのオペラ団に比べて「しっくり来ないソリスト」が多い。
 それよりも大問題なことが

  • 「ゲンダイビジュツ」を基調とした演出 +
  • マイク&スピーカ を濫用した音響

である。 シーズンオープニングでも「はっきりブーイング優勢」であった。 「ヴェルディ : ドンカルロ」は、発泡スチロールみたいな空間の芸術か? 「ヴェルディ : ドンカルロ」は、「ハープソロ や フルートソロ になると 音響が3倍にするようにヴェルディが指示しているのか?」 について、ノヴォラツスキ芸術監督に問い糾したい。

  • 「ウィーン国立歌劇場で試行錯誤していること」は
  • 「全てが正しいこと」と思い込むのは間違い

と言うことである。 誰が、私たちの酷税をツッ込んで招聘したのか、どんな話をしたのか?、は知らないが、

  • ここまで聴衆をバカにして
  • 聴衆に嫌われる人物を「芸術監督に 2期4年」も据えたのか?

は、小泉内閣だけに留まらず、次期内閣でも追求してほしい。

 もう1回、純粋に「音楽」に立ち戻って批評する。
  • 歌は「ソリスト陣 + 合唱」共に良い
  • 音響は「マイク&スピーカ三昧」なので、上の階ほどヤバい(← 天井スピーカがうるさい!)
  • 演出は「抽象演出でスカ」

である。 私高本は1回聴けば、「もう充分、結構(← ノヴォラツスキ出身地 = ウィーン の J.シュトラウス「こうもり」の「オルロフスキ」の言葉)」である。
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新譜DVD紹介『グレン・グールド:ヒアアフター(時の向こう側へ)』(No.1362)

2006-09-06 17:41:00 | CD&DVD 紹介&批評
 新譜紹介の初掲載です。

グレン・グールド:ヒアアフター(時の向こう側へ) DVD (Ideale Audience DVD9DM20)





2,932円(税込)


9月22日発売予定



1946-1991年録音。
 グールドの生涯を「今」から振り返ったフィルム。 画期的なことは、輸入盤だが

日本語字幕 + 日本語PDFファイル 付き


で発売されること。 このDVDの批評は、かならず、PMJに掲載する。乞う、ご期待。
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作曲家論 : シューマン第1回 (No.1361)

2006-09-05 09:41:44 | 作曲家・シューマン(1810-1856)
 今年 = 2006年は、モーツァルトとシューマンの記念年。モーツァルト は腐るほど多く、書かれ、演奏されている。シューマン はほとんど大きな催しも無い様子。何でだろう?
 PMJで、「総合評価」号を掲載致します。


シューマン(1810-1856)総合評価



ピアノソロ曲:☆☆☆☆☆
ピアノ協奏曲:☆☆☆☆☆
ピアノ室内楽:☆☆☆
連弾&2台 :☆☆☆
歌曲伴奏  :☆☆☆☆☆
ピアノ教育 :☆☆☆☆☆

音楽史評価 :☆☆☆☆☆

コメント 等は明日号以降にて。
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作曲家論 : スクリャービン第9回 (No.1360)

2006-09-04 21:38:53 | 作曲・スクリャービン(1872-1915
 本日は予定を少し変更して「スクリャービン:CD批評」にする。きっと皆様のお役に立つと思うのだが。 「スクリャービン楽譜」号は少なくとも後2回は近日中に掲載する。楽譜に関しては「ポンティ盤」みたいな「スカ」を取り上げることは無いので安心してほしい。
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『正確に弾いてもスクリャービンにならない実例 = グールド』演奏を掘り下げる



 スクリャービンは「楽譜の通り」に弾いても、「スクリャービンらしく」聴こえない。 これは断言する。 「断言できるのか?」と問い糺されればはっきり返答できる。「断言できる」 グールド が身を張って実証してくれたからだ!

グールド スクリャービン(SONY SM2K52622 )





2,008円(税込)



  • 演奏   :☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆
  • 音質   :☆☆☆


(スクリャービンソナタ)1968,1970年録音。
 う~ん、グールドは大好きなピアニストであり、紹介したいのだが、この2枚組CDは「メインはショパン」なんだよね(泣

  1. バッハ
  2. モーツァルト
  3. ベートーヴェン

の3名の作曲家は(もちろん大反論があることはわかっているが)、私高本は高く評価するピアニストである。
 ・・・で、何が原因かは全くわからないのだが、グールドは「スクリャービンが好き」だったことは間違いない。 有名な「バッハ :ゴルトベルク変奏曲 新録音」の後には「スクリャービン ピアノソナタ全集」が企画されていたことがほぼ断定されているのである!!!

 ・・・で、その演奏だが、「これがスクリャービン???」と疑問符を誰もが付ける演奏。 ソナタ5番は、「グールド自身が楽曲解説」しているほどの入れ込みようだが、演奏は「変」である。何故か?


  1. 細かく正確に弾くために「テンポが遅過ぎ」
  2. ペダリングは薄過ぎ & 足りな過ぎ
  3. 解釈が「形式に頼り過ぎ」
  4. 結果として、乾き過ぎた「音質」になっている

である。

 グールドは 素晴らしいピアニスト である。 代表作「バッハ : ゴルトベルク変奏曲」であれば、4回の録音全てが素晴らしい!
  • 第2回 : 1955年盤 → CBSデビュー盤
  • 第3回 : 1959年版 → ザルツブルク音楽祭ライブ盤
  • 第4回 : 1981年版 → CBS再録音盤

の3種類は、どれもが根強いファンがいるほど、全てが「史上の名演」盤である。
 う~ん、そんなグールドが遺したスクリャービン演奏は、「スクリャービンらしさ」が全く存在しないのである。

グールドは「形式尊重の作曲家で最高の演奏をする」ピアニスト


である。信じられない人は、これを聴いてほしい。

グールド「ゴルトベルク変奏曲」第4回録音(最終録音)DVD (SONY 9048424)





3,100円(税込)



  • 演奏   :☆☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆☆
  • 音質   :☆☆☆☆


1981年録音。
 これを聴いて何も感じない(反撥を感じても違うぞ!)人は「バッハピアノ演奏」を避けた方が無難である。 「聴いてははっきりしない」人には、このDVDをお薦め。これが「グールドの目指していた世界の最後」と思われる。 バッハ:平均律全曲の画像は残っていないようだ。「グールドのバッハ」の画像の最終回がこれだ!
 バッハ でうまく効果を発揮している手法が、スクリャービン では全く「裏目」に出ていることがはっきりと感じ取れることだろう。
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作曲家論 : スクリャービン第8回 (No.1359)

2006-09-03 22:01:28 | 作曲・スクリャービン(1872-1915
 「推薦楽譜」号が「推薦CD」号に比べて、スカだった箇所判明。単純に「基準」が示されていないこと! わかったからもう大丈夫だ。 一昨日号も訂正しておいた。
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スクリャービン 推薦楽譜紹介 その2


 本日は「スクリャービン 推薦楽譜」輸入版を書く。

Dover版 スクリャービン全集 3分冊



前奏曲&練習曲全集 1,660円,マズルカ&詩曲&即興曲&その他の作品集 2,076円,ソナタ全集 1,764円(税込)



  • 推薦度  :☆☆☆☆☆
  • 正確さ  :☆☆☆☆(← 後期ソナタに若干の問題あり)
  • 資料価値:☆☆☆☆☆
  • 校訂報告:☆☆


1973-1991年出版。
 「作品番号が付いたスクリャービンの全ピアノソロ曲」を網羅した画期的な大全集である。安価に購入できる上、内容が充実しているので、全世界で用いられている。
  • 前奏曲&練習曲全集(原版 1966-1967)
  • ソナタ全集(原版 1964)

は全て「ソ連国立音楽出版所」版であり、ソ連が国家威信を賭けて編纂した楽譜のリプリント版。
  • マズルカ&詩曲&即興曲&その他の作品集(原版 1893-1972)

は、「作品9」のみ「ソ連国立音楽出版所」版で、他は「初版」出版社の「初版」または「同じ出版社から発行された1930年までの訂正版(← スクリャービン死後でも「出版社担当者」が生きていると推定される期間)のリプリント!

 「スクリャービン弾き」としては「作品番号の付いた全レパートリーを網羅する楽譜」であり、価値は極めて高い。
 たった1つだけ、欠点を申し上げると、ソ連を代表するピアニスト = オボーリン が校訂した「ソナタ第5番~第10番」に於いて、僅かながら「校訂漏れ」が残ってしまったことだ! オボーリン自身は「スクリャービン弾き」としては特に有名でなかったので、見落としてしまったのかも知れない。 私高本は、全部に目を通したワケではないが
  • 第6番作品62 P118 1段目2番目の小節 左手の16分休符は 「小節頭」が正しい位置(← 拍数が合わない!)
  • 第6番作品62 P122 3段目初めの小節 右手2拍目の2分音符 が 「C音 でなく 2度低いA音」

などは明らかな校訂漏れ。だが、校訂報告が無いので、自筆楽譜 or 初版楽譜 の問題をそのまま引き継いだのか、単なる誤植なのか、はわからない。
 練習曲&前奏曲全集 は、おそらく「問題皆無」だと思うが、私高本が見落としている箇所があるかも知れない。

 総じて言えば「作品番号付き作品」を全て弾きたいならば、Dover版がお薦め、である。 Peters版 などに比べても優位性が高いと思う。
 明日号も「スクリャービン楽譜」号の予定。
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作曲家論 : スクリャービン第7回 (No.1358)

2006-09-02 23:11:39 | 作曲・スクリャービン(1872-1915
 昨日号は、何か物足りない。単純に比較して「CD批評号」に比べて「スカ」。私高本のセーシン状況が悪いのかも。
 明日号にて、昨日「スクリャービン」掲載号を訂正した上、「向上した明日号」を掲載する見込み。どうぞご期待下さい。(う~ん、予定のスクリャービンが書けない・・・)
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作曲家論 : スクリャービン第6回 (No.1357)

2006-09-01 22:38:51 | 作曲・スクリャービン(1872-1915
 昨日号を書いて、1晩寝てから、もう1回「ポンティ盤」を聴いて見た。「書き過ぎ」は全く無い。 控え目な書き方だったことを、深く反省。 若き日の嬰ト短調ソナタ(1886)さえ、満足に指が通っていない! 変ホ短調ソナタ(1889)辺りになると、「音飛ばし」全開かよ!! ピアノソナタ第1番作品6 もムゴい!!! こんなバカに全曲録音させた Vox社メンデルスゾーン社長(← 有名なメンデルスゾーン家の一族です、ハイ)の神経を疑う。 「軽く弾く」ことが全く出来ていないじゃないか!!!
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スクリャービン 推薦楽譜紹介 その1


 スクリャービンは、滅茶苦茶人気ある作曲家であり、ピアノリサイタルでも頻繁に出会うし、音楽大学学生も(コンクールや試験などでも)良く弾く曲である。 本日は「スクリャービン 推薦楽譜」国内版を書く。

春秋社版 スクリャービン全集 伊達純, 岡田敦子[編集,校訂,運指]



第1巻&第2巻&第3巻 2,100円 第4巻&第6巻 3,150円(税込)



  • 推薦度  :☆☆☆☆
  • 正確さ  :☆☆☆☆☆
  • 資料価値:☆☆☆☆(← 一部が未刊行のママ、7年近く経過している)
  • 校訂報告:☆☆☆☆


1986-1999年出版。
 国内版のスクリャービン楽譜であれば、絶対の自信を持って、このシリーズを薦める。 「初版 + ソ連国立音楽出版社版 + ペータース版」を徹底的に調べた上での「批判校訂版」である。 「世界に向けて誇ることが出来る楽譜」だと確信する。 この楽譜は「スクリャービンのピアノ全曲」を(2台版も含め)狙って刊行された。
 このまま、素晴らしい楽譜が「スクリャービン全集」として出版される手筈は整っていた。 たった1つ、『伊達純 の 余命 がほんのわずか足りなかったこと』以外は。
 リンク先をクリックしてもらえればすぐに理解して頂けると思うが、「1~4 + 6」が刊行されており、「5」が欠番。実は「7」も予告されていた。
  • マズルカ集
  • 即興曲集
  • ワルツ集
  • 「作品2」(!)
  • 「作品9」(!)

などが欠けており、「スクリャービン弾き」としては「全レパートリーを網羅する楽譜」に成り得ない。

 ・・・が、伊達純の死去に伴い、「5 & 7」は刊行される見込みが立っていない模様。 もし、「1~4,6」のレパートリーを弾きたい方には、絶対のお薦め楽譜である。
 明日号は「スクリャービン : 輸入版楽譜」のお薦めの予定。 1人でも多くのピアニストの皆様が、スクリャービン を素晴らしい演奏で弾いてほしい! 「スクリャービンの名演」聴きたい人は(私高本に限らず)多いと思うぞ!!!
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