黒鉄好@安全問題研究会です。
1991年5月14日、42名もの大量の犠牲者を出した信楽高原鉄道列車正面衝突事故から30年が経過しました。利益最優先、人命軽視の傾向を強める民営化JRに初めて「破滅の予感」を抱かせる転機となった出来事でした。
当時のニュース映像(Youtubeより)
https://www.youtube.com/watch?v=ZQtvMsQOAAU
事故30年に当たり、安全問題研究会がコメントを発表しました。ホームページに掲載していますが、以下、全文を掲載します。印刷に適したPDF版は、以下のURLよりダウンロードできます。
https://transportation.sakura.ne.jp/210514shigaraki30year-comment.pdf
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<安全問題研究会コメント>日本社会に衝撃与えた信楽高原鉄道事故から30年 崩壊の最終章に入った民営JRに別れを告げ、直ちに再国有化で再建を
1.42名もの大量の犠牲者を出し、日本社会に大きな衝撃を与えた信楽高原鉄道列車正面衝突事故から30年を迎えた。安全問題研究会は、42名の犠牲者及びその関係者に対し、謹んで哀悼の意を表する。
2.事故の起きた1991年は、国鉄分割民営化によりJR7社が発足してから5年目であった。国鉄からJR各社に不採用となり、国鉄清算事業団に送られた職員1047名が最終的に解雇されたのはこの前年、1990年のことである。民営化からまだ5年経過しておらず、日本の市民に旧国鉄と特定地方交通線廃止・整理の苦い記憶が強く残っている時期のことであった。
3.事故現場となった信楽高原鉄道は、国鉄再建法に基づく第1次特定地方交通線・信楽線を継承した第三セクター鉄道であり、信楽町で開催中の「世界陶芸祭」に合わせて信楽線に臨時に乗り入れてきたJR西日本の急行列車と、信楽高原鉄道の列車が単線上で正面衝突したものである。JR西日本は厳しい批判にさらされたが、赤字線として信楽線を一度は見捨てておきながら、儲かるイベント時だけ見捨てたはずの路線を徹底的に利用し尽くし、42名の命を奪い去ったJR西日本の利益優先、安全軽視の姿勢を見れば、それらの批判は受けて当然のものである。
4.発足直後のJR西日本が、JR東日本・東海と比べて中国山地などの条件不利地域を多く抱える一方、運賃・料金は本州3社同条件でスタートするなど無理を重ねながらの厳しい経営を強いられていることが明らかになっていった。当時、当研究会は発足しておらず、インターネットもない時代だったが、「民営JR7社体制は西日本の安全問題と、やがて訪れる北海道のローカル線問題を“両輪”として破滅へのレールをひた走るであろう」と警告した。バブル経済を背景としてJR7社がいずれも好決算を続け、民営化は大成功と宣伝されていた時期だけに、ほとんどの人から一笑に付されたが、この恐るべき惨事こそ「新自由主義JR」に忍び寄る破滅への最初の予兆だった。
5.30年後の今日、当研究会の警告は最も厳しい形で現実となった。JR西日本は福知山線脱線事故、新幹線のぞみ台車亀裂事故を相次いで起こした。信楽高原鉄道事故に関しても、信楽高原鉄道と折半していた被害者への賠償について「主な責任は信楽高原鉄道側にある」と主張し、訴訟まで起こして賠償負担割合を少なくしようと策動を続けた。この事故でJR西日本がきちんと襟を正していれば、福知山線事故など後続の事故を防ぐきっかけにもなり得ただけに、ここでJR西日本を監視する運動の社会化を図れず、次の事故につながってしまったことは当研究会としても非力を詫びなければならない。
6.しかし、この事故は、貴い犠牲と引き替えにその後の鉄道事故の調査や遺族・被害者のケアといった面で多くの前進が勝ち取られるきっかけとなった。それまで日本に常設されている公共交通機関の事故調査組織は海難審判庁、航空事故調査委員会のみであり、陸上交通機関の事故調査組織は常設されていなかった。信楽高原鉄道事故をきっかけとして、遺族・吉崎俊三さん(2018年死去)の呼びかけでTASK(鉄道安全推進会議)が結成され、鉄道事故に関しても事故調査機関の常設を求める活発な活動が展開された結果、航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)の設置が実現した。
7.国土交通省に対する粘り強い働きかけの結果「公共交通事故被害者支援室」の設置が実現したのもTASKを中心とした運動によるものである。日航機墜落事故遺族会「8・12連絡会」との協力の下に、被害者が横につながり合い、社会を動かす力を具体化した画期的事例であった。後に発生した福知山線脱線事故(死者107人)でも、具体的な成果が速度照査型ATS(自動列車停止装置)の義務化、JR西日本歴代3社長への強制起訴程度にとどまっていることを考えると、信楽高原鉄道事故において得た成果は福知山線事故をもしのぐ大規模なものであるといえよう。
8.公共交通機関の安全を求める当研究会の活動に終わりはなく、30年は単なる通過点である。幸い、日航機事故を最後に営業中の旅客機事故で乗客が死亡した例はないが、高速ツアーバス・スキーバスなどの事故は断続的に起きている。これらはいずれも、公共財である交通機関を最安値に向かって際限なく競争させ、乗務員の労働条件も乗客の生命も無慈悲に叩き売りする新自由主義の最も残酷な帰結であった。
9.北海道のローカル線問題も「全路線消滅」すら視野に入れざるを得ない重大局面を迎えた。この事態もまた、公共財を市場原理に委ねる新自由主義がもたらした残酷な結末である。信楽高原事故42名、福知山線事故107名の生命、国労組合員ら1047名の雇用、北海道の半分にも及ぶローカル線――これらのすべてを奪い尽くす新自由主義に対して、当研究会は怯むことなく宣戦を布告し、全国各地を新自由主義の墓標で埋め尽くすまで徹底的な闘争を続ける。
10.今日の新型コロナ感染拡大も、病院や保健所の統廃合などを通じて新自由主義がもたらした危機である。感染の恐怖や必要のない死の危険に直面した多くの市民が新自由主義への敵意を抱き始めている。新自由主義を葬り去る過去半世紀で最大のチャンスが到来している。
11.当研究会は今年1月、利益優先、安全軽視のJR民営7社体制を最終的に清算し、再国有化をめざすため「日本鉄道公団法案」を決定した。JR再国有化の実現に向け全力を尽くし、信楽高原鉄道事故犠牲者42名の無念に応えたいと考える。
2021年5月14日
安全問題研究会
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公共交通の安全とローカル線問題を考える
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代表 黒鉄 好
メール:aichi200410@yahoo.co.jp
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沖縄はもう(実際には)梅雨明けしている。政府(気象庁)が発表しないのは、発表すると東京・大阪から観光客が押し寄せるから。ピークアウトするまで発表しないだろう。https://twitter.com/search?q=%E6%B2%96%E7%B8%84%E3%80%80%E6%A2%85%E9%9B%A8%E6%98%8E%E3%81%91&src=typed_query …
菅メディアと化した日本のマスコミが隠して報道しないもう一つの不都合な数字。韓国の1-3月のGDP、前期比プラス1.6%ですよ。日本の1-3月はマイナス1.3%。韓国、好調な製造業が輸出を伸ばしている。コロナ対策の成功で内需も回復。どこかの国とは大違い。https://www.jiji.com/jc/article?k=2021042700382&g=int …
これ見て欲しい。日本のマスコミは隠して報道しないけれど、台湾の1-3月GDP、プラス8.16%成長ですよ。理由はもちろん半導体。半導体が売れまくっているということだ。「半導体は産業のコメ」って誰が言ってたんだ。コメは主食だから自給が必須だったんじゃないのか。https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-04-30/QSDCEIDWLU7101 …
日本の1-3月。世界的な半導体不足で車の生産ができず、輸出が落ち込んだようで。半導体作るの、世界中で一番得意だったのが日本だったのにね。半導体作ってりゃ今ごろプラス5%成長だったんじゃないの。歌を忘れた哀れなカナリヤ。製造業やめて「おもてなし」の乞食経済。https://news.yahoo.co.jp/articles/1343ef4b3a6a493d56463bb944736d422055d6a6 …
中国、木星探査機も10年以内に打ち上げ予定。ミッションの名前は「甘徳」。紀元前4世紀、戦国時代の斉の天文学者。まさに中国文明。https://news.yahoo.co.jp/articles/ad8e5f809a0884cbf0f818c4268c3b72161efc01?page=1 …
「菅義偉の強情と独善を支えるブレーン3人 – 竹中平蔵、高橋洋一、岡部信彦」をアップしました。https://critic20.exblog.jp/32142962/
〔週刊 本の発見〕青木美希『いないことにされる私たち』 (labornetjp.org)
毎木曜掲載・第205回(2021/5/20)
原発被災者を見捨てる政治
『いないことにされる私たち―福島第一原発事故10年目の「いってはいけない真実」』(青木美希、朝日新聞出版、2021年4月刊、1500円)評者:志真秀弘
本書を貫いているのは、政治への強い怒りとジャーナリストとしての著者の誠実な姿勢だ。
復興庁は、いま原発避難者は40331人(2021年4月)としている。ところが本書によると各市区町村の集計を一つひとつ加えていくと7万人になる。区域外避難者を含め集計基準も明示されているのに、これほど実数と違う。この問題は東日本大震災避難者の会「Thanks & Dream」(代表・森松明希子)はじめいくつかの団体が17年に大坂の避難者数を調査して発覚した。これはたんに数字だけの問題ではない。著者は避難者を含め原発被災全体をなかったことにしようとする政権の意図が背後にあって、数字の問題に現れているとみる。9基もの原発を再稼働しさらに増やすため、アンダーコントロールを売り物にしたいのか。
だが、その思惑こそ被災者の心身と生活をいっそう破壊する。
南相馬に住む庄司範英さんは、被災直後子供4人を車に乗せて新潟に向かう。市役所で新潟県阿賀町に行くように教えられたからだ。その後指示されるままに南魚沼市、そして湯沢町へ。最後に長岡市に避難先住宅を見つけ、親子5人で暮らすことになる。ところが15年6月避難指示区域外の人たちへの住宅提供が打ち切られる。このとき今村雅弘復興相は、「帰れない人はどうするのか」と問われ「それは本人の責任でしょう」と言い放つ。*写真右=著者
庄司さんはやむを得ず南相馬の自宅に戻ることを考える。だが子供たちは学校で友達ができ帰るのを嫌がる。自宅の線量も高いため戻るのをあきらめ、ローン残額と同じ金額で自宅を売って、庄司さん一人が働き口を見つけて南相馬に住む母親宅に戻ることに決める。妻が長岡に来て働き始めたので母子避難の補助が受けられる事情もあった。
庄司さんは、ようやく南相馬の清掃会社の正社員に決まり、この年6月12日から初出勤することが決まった。ところが初出勤当日の朝庄司さんの携帯電話がなる。長男の黎央くんが冷たくなっていたのだ。
黎央くんが死を選んだのは慕っていた父親の自分がいなくなったからだ。庄司さんは自身をそう責めて鬱病になる。著者はそれからずっと今に至るも病院を紹介し、訴えを聞き庄司さんを励ましている。
福島県が毎年行っている重症精神障害相当の人たちの調査によると県平均は全国平均の倍近い。生活を壊された被災者の震災関連自死(認定)は15年23人、16年21人となっているがその実態は徐々にわからなくなっている。
庄司さんを診た精神科の蟻塚亮二医師はこういう。「パワハラで加害者が被害者に謝ると被害者の精神状態は良くなるんですよ。東電も国も謝ってませんよね。それが人々を苦しめているんです。原発事故は国と東電による『国策民営』の人災。国が謝罪してきちんと賠償することが必要なのに国は向き合っていない」。
いつから「自己責任」という卑劣な考えは蔓延したのか。先日の〈あるくラジオ〉で、根津公子さんは広がったのは2004年のイラク人質事件の時からと指摘していた。菅政権の「自助・共助・公助」なども、もちろんその延長線上にある。困っている人など助けなくて当然という風潮さえ生まれている。被災者はそれにも苛まれる。
原発被災者をめぐる報道は、だがどんどん減ってきている。著者はそれを自分たち記者の責任と受け止め、記者職を解かれてなお原発被災者を取材し、前作『地図から消される街』に続く本書を仕上げた。記録しなければすべて無かったことにされてしまう。そうさせてたまるか。その憤りと危機感が本書から迫ってくる。
*青木美希さんが出演したレイバーネットTV第156号 : 特集「フクシマから10年ー終わらせてはいけない真実」 アーカイブ録画
主人公ヨニは今日も「あの人」の好きな献立を並べて、あの人の帰りを待っている。ある日やってきた役所の人が「明日、一緒にあの人に逢いに行きましょう」と提案する。ヨニはどうしてあの人が、家に帰って来ないのか理解出来ない。わけの解らないままヨニは、お手製のお弁当を手に沢山のお年寄りが乗り合わせるバスに乗り込む。ヨニは「あの人」に逢えるのだろうか?
- キャスト
- 出演:ムン・チェウォン『神弓』「優しい男」/ソン・スク『映画館の恋』/コ・ス『高地戦』『白夜行』
- スタッフ
- 監督:カン・ジェギュ『シュリ』『ブラザーフッド』製作:カン・ジェギュ/プロデューサー:パク・キョンウォン/撮影:イ・ジョンヨル/照明:チャン・テヒョン/美術:キム・ジュヒョン 録音:イ・テギュ/編集:パク・コッチ/音楽:イ・ドンジュン/衣装:キム・ジョンウォン/ヘアメイク:ハン・ウンギョン
- あの人に逢えるまで
- 南北朝鮮の離散家族をテーマに描いた究極のラブストーリー!
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テヘランに住む若き夫婦の穏やかな日常が、突然降りかかった事件をきっかけに一変する。夫の留守中、妻が侵入者に襲われてしまったのだ。警察に通報して犯人に罪を償わせたい夫と、事件を表沙汰にしたくない妻の感情はことごとくすれ違い、深い溝が生じ始める。やがて苛立ちを募らせた夫は自力で犯人捜しに乗り出すが、その行く手には夫婦の人生をさらに揺るがす意外な真実が待ち受けていた……。
- キャスト
- 出演:シャハブ・ホセイニ,タラネ・アリドゥスティ,ババク・カリミ
- スタッフ
- 監督・脚本:アスガー・ファルハディ
- セールスマン
- 本年度アカデミー賞(R)で最も注目を集めた話題作! 二度目の受賞という快挙!
- テヘランに住む若き夫婦の穏やかな日常が、突然降りかかった事件をきっかけに一変する。夫の留守中、妻が侵入者に襲われてしまったのだ。警察に通報して犯人に罪を償わせたい夫と、事件を表沙汰にしたくない妻の感情はことごとくすれ違い、深い溝が生じ始める。やがて苛立ちを募らせた夫は自力で犯人捜しに乗り出すが、その行く手には夫婦の人生をさらに揺るがす意外な真実が待ち受けていた……。