日本の科学技術はこの10数年で、世界のトップクラスから2流に落ち込んでしまっている。
上の図を見ても、2000年をピークとして、トップ10%論文で日本と他国を比較した場合、20年前の1994年の国際シェアは5.8%で米、英、独に次ぐ4番手につけていた。ところが14年になると3.1%に低下し9位に。中国は米に次ぐ2位に上昇、英や独、仏など欧州各国が日本を上回っている。
この原因は、2003年に制定された国立大学法人法に基づき,2004年に 99の国立大学が 89法人に再編され、これまで国の内部組織であった国立大学を大学ごとに法人化し,各大学が自主的・自律的に大学運営を行なうことによる。結果として研究費は自前で工面せざるを得ず、スタッフも定員削減で博士課程を得ても就職口がなくあっても5年契約とかで落ち着いて研究できなくなっている。奇しくも、国立大学法人化と論文シェアーのピークが一致しておりその原因がここにあることを示している。
さらに深刻なのが日本が得意とするものづくり分野での存在感低下を示すデータも出ている点だ。
科技振興機構の分析によると、電気・電子や自動車など10の工学系の分野で、トップ10%論文の国際シェアの順位が7年前に比べていずれも落ちている。自動車は3位から6位に、機械は3位から10位、土木は4位から16位といった具合だ。
工学部の研究者が実用研究から理論研究にシフトし、ものづくり現場の課題をとらえきれなくなっている懸念がある。企業活動も影響するので全てを大学の活力低下には結びつけられないが、人材育成など日本経済にとって中長期的に悪影響を及ぼしかねない。
大学の研究活動の停滞は国立だけでなく当然私立学校にも起こっている。それは大学一般に対する研究補助を大幅削減したからである。
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