先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

中国、環境車優遇にHVで、 日本勢に追い風

2020年06月23日 10時06分57秒 | 日記

日経によると、『中国、環境車優遇にHVも 日本勢に追い風』という。トヨタが最初に開発した、巡航時にはモーターで、そして坂道等馬力を要する場面では従来のガソリンエンジンで対応するというハイブリッド車は自動車の歴史の中では画期的な日本が誇る発明である。中国のHV のカテゴリーに入るか否かは不明だが、日産のガソリンエンジンで電気を起こし、その電気でモーターを回して走行するというe-powerも画期的な発明である。中国はガソリン消費抑制と多分環境問題対応で、低燃費車優遇策を2021年1月より実施するとのことで、日本車にとっては、中国市場を拡大する意味でも追い風の政策であろう。

 

 

トヨタは中国でのHV販売比率をグループ全体で約3割に高める計画だ(広州市の販売店)

トヨタは中国でのHV販売比率をグループ全体で約3割に高める計画だ(広州市の販売店)

【北京=多部田俊輔】中国政府がハイブリッド車(HV)を「低燃費車」と位置づけて優遇する政策を最終的に決めたことが22日、分かった。2021年1月から実施する。これまではガソリン車と同一視してきた。電気自動車(EV)の販売低迷を受けて、環境対策の加速にはHVなどの普及が必要だと判断した。

HVはトヨタ自動車ホンダなどが強みを持つ。世界の新車販売の3割を占める最大市場である中国の方針転換は、日系大手に追い風となる。独フォルクスワーゲン(VW)など欧米大手や、中国メーカーの戦略にも大きな影響を与える。

■管理規則を修正、ガソリン車の中に「低燃費車」

中国政府は22日、乗用車の燃費改善や新エネルギー車(NEV)の普及を促進する管理規則の修正を発表した。HVなど低燃費車の優遇策を盛り込んだ。対象にHVとの明記はないが、低燃費車の代表であるHVが含まれることは確実だ。

中国は19年にEVとプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)を新エネ車として普及を後押しする「NEV規制」を導入した。ガソリン車を製造販売するとマイナスポイントを与え、新エネ車の製造販売で得られるポイントで穴埋めするよう求めるものだ。

HVはガソリン車と同じ扱いだった。

メーカーは新エネ車の製造販売台数を増やすことが経営課題になった。そうしないと現在の主力であるガソリン車の製造販売台数は拡大どころか維持すら難しくなるからだ。

 

 

22日に発表した管理規則の修正では、ガソリン車の中に「低燃費車」を新たに設定した。この規制上、通常のガソリン車の0.2~0.5台分と見なす。HV1台を造った場合に必要となる新エネ車の台数は、ガソリン車を造った場合の2~5割で済む計算だ。

複数の合弁会社を持つ外資メーカーが、グループ間でポイントを融通することも可能にした。

業界関係者の間では「低燃費車」は燃費の良い上位5%が指定されるとの観測が浮上している。地元中国のメーカーの中でも技術力で劣る中堅にとっては事業環境が厳しくなりそうだ。一方、海外ブランドとしては中国市場でトップシェアを持つVWなど、低燃費技術の蓄積がある海外大手には好材料だ。

中でも恩恵が大きいとみられるのがHVを得意とする日本勢だ。トヨタ関係者は今回の政策変更を聞き「いい話だ」と語った。世界初の量産型HVである「プリウス」の中国生産を始めたのは05年のことだ。ようやく政策面の優遇を得られることになった。

10年にはハイブリッド技術を現地開発するための研究施設も造った。トヨタの中国販売に占めるHVの割合は19年実績で約16%。20年代にはトヨタブランド全体で約3割まで高める計画だ。

ホンダも今回の修正について「歓迎したい」とコメントした。ホンダの世界販売に占める中国市場の割合は、19年度で3割ほどに達する。HVの販売比率でも中国は9%と北米(3%)や世界全体(8%)よりも高いため、今後も積極的に製品を投入する方針だ。

■石油の輸入量抑制の狙いも

中国政府は22日の発表に先立ち、19年7月に修正案を発表していた。その際は低燃費車をガソリン車0.2台分とみなしたが、同年9月の再修正案では0.5台分として、優遇幅を縮小した。最終的には新制度を施行する21年当初こそ0.5台分としたが、22年に0.3台分、23年に0.2台分と、ガソリン車に比べた優遇幅を段階的に拡大する仕組みにした。

 

 

米中対立が激化するなか、石油の輸入を減らすために低燃費車を優遇すべきだとの意見が政府内で強まったとみられる。最近の新エネ車の販売低迷を受けて、環境政策の面からも低燃費車を重視すべきだとの考え方が広がったようだ。

今回の修正には、新エネ車の性能を厳しく評価する変更も盛り込んだ。業界関係者によると、新エネ車の生産によって得られるポインは5%程度減る見通しという。これまでは新エネ車であれば無条件で優遇されてきたが「燃費の性能をしっかり見極める時代になる」(外資系大手幹部)。


スパコン富岳、9年振りに、4冠採って、世界一!

2020年06月23日 03時37分11秒 | 日記

 

国際会議「ISC 2020 Digital」によって、スパコン富岳、 9年前の京に続き世界一と認定される。しかも、4つの計算分野で最速のスパコンとされ、さらには、1エクサFLOPS(毎秒、10京フローテウィング計算)を超えた初めてのスパコンということで、記録破りづくめというから凄い。技術基盤が沈下しているといわれている日本、まだまだ諦めるには早すぎるということだろう。さらに画期的な量子コンピュータでも、まだ研究段階といえども、日本は最先端を行っているというから、先行き明るいものがあると思われる。

 

因みに歴代のスパコン一覧が日経に図式化されて出ていた。これを見てもスパコンで群を抜いていることがよくわかる。

朝日の記事によると、理化学研究所と富士通が開発したスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」が、22日に発表されたスパコンの計算速度ランキング「TOP500」で世界一になった。日本勢が首位を奪うのは「2位じゃだめなんでしょうか」と追及された先代の「京(けい)」以来9年ぶり。無理に速さを追うのではなく、使いやすい「オンリーワン」のスパコンを目指した先に「ナンバーワン」の花が咲いた。 【写真】スパコン「富岳」による、せきのしぶきの広がりを示すシミュレーション=理研・豊橋技術科学大提供、京都工芸繊維大、大阪大協力  発表では、富岳の計算速度は1秒間に41・6京回(京は兆の1万倍)。昨年まで首位だった米国製スパコンを2倍以上引き離した。実際にソフトを動かした速さや人工知能(AI)向けの計算速度など4部門で首位を取った。理研は「社会的課題の解決やAIの開発を加速するのに、十分対応可能であることを実証した」としている。  先代の京は世界一を強く意識したあまり使いにくくなり、利用は広がらなかった。主要企業が撤退するなど、開発の混乱もあった。富岳はこれを反省し、「使いやすいオンリーワン」のスパコンを目指した。名称も、利用の裾野が広がるよう富士山にちなんだ。開発費は国費だけで1100億円。中国が、富岳の倍の性能で今年デビューさせようとしていた新型が間に合わなかったこともあり、「ナンバーワン」の座も転がり込んだ。  富岳の本格稼働は来年度の予定だが、すでに新型コロナウイルス感染症対策の研究で実績を上げ始めている。将来は創薬や高性能な材料の開発、気象・温暖化予測などに利用される。  高性能な計算機があれば、自動車を組み立てる前に衝突安全性を確かめられるなど、ものづくりや科学技術の進歩を加速させる。軍事にも必須の技術で、米中などは開発にしのぎを削っている。米国は来年、富岳を超えるスパコンを投入する計画だ。  開発リーダーの松岡聡・理研計算科学研究センター長は「覇権争いは続く。今後も使いやすさと速さを両立する研究を進めていきたい」と語った。

 
日経クロステック/日経コンピュータの記事では、「富岳」がスパコン世界ランキングで1位に、世界初の同時4冠達成。理化学研究所と富士通が共同開発したスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」が2020年6月22日(ヨーロッパ夏時間)、スーパーコンピューターの性能を競う世界ランキング「TOP500」で1位を獲得した。日本勢が同ランキングで1位を取るのは2011年11月の「京(けい)」以来、8年半ぶり。HPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)に関する国際会議「ISC 2020 Digital」が同日ランキングを発表した。
 

 TOP500は最も一般的なスパコンの性能ランキングで、規則的な行列演算である連立1次方程式を解く計算(LINPACK)でスパコンの性能を評価する。多くの科学技術計算で使われる倍精度演算(10進で16桁の浮動小数点)のみで計算するルールである。

 富岳のシステムは396きょう体(15万2064ノード)の構成で、LINPACK性能は415.53ペタ(ペタは1000兆)フロップス(1秒当たりの浮動小数点演算回数)、実行効率は80.87%だった。同ランキング2位は米Intel(インテル)などが開発した「Summit(サミット)」で、LINPACK性能は148.6ペタフロップスだった。富岳は2位と約2.8倍の性能差をつけた。

 富岳はTOP500以外の3つの性能ランキングでも1位を獲得し、4冠を達成した。具体的には、スパコン上で動く実アプリケーションに近い演算の性能を測る「HPCG」、ビッグデータ処理(大規模グラフ解析)に関する性能を測る「Graph500」、今回から加わったAI(人工知能)関連処理の性能を測る「HPL-AI」でそれぞれ1位だった。同じスパコンがTOP500とHPCG、Graph500で1位となるのは世界初で、同時4冠獲得も世界初だ。

 HPL-AIはAIの計算処理などで使われる低精度演算の使用を認めた新しいベンチマークで、ディープラーニングなどAI関連処理の性能を示す。今回富岳は330きょう体(12万6720 ノード)で1.421エクサ(エクサは100京)フロップスという性能を記録し、浮動小数点演算を用いたベンチマークではじめてエクサ級の性能を達成した。

 

サムソンがスマホの世界市場トップにいられる理由は?

2020年06月22日 06時53分37秒 | 日記

 

世界のスマホ市場の占有率トップは、CnetやBCNがアメリカの調査会社IDCの調査報告を、以下に展開したように、この数年はサムソンがAppleを抜いてトップにいる。そして、2020年に入ると、コロナ災禍で、スマホでは最大市場の中国のスマホ購入が落ち込んでおり、このため、サムソンは、インド市場開拓に力を入れ始めたというし、中国のメーカはさらにアフリカとSIMフリーで日本市場開拓に力を入れ始めているという。

 

さて、なぜ、サムソンがトップにいられるか不思議に思う。PC 自由帳というサイトにスマートフォンのCPUとGPUの性能比較表が出ていてそれを見ると、特段、サムソンのスマホGalaxyのCPU(ExynosというARMベース)やグラフィック・プロセッサーの性能が良くはない。システム上の優位性は特に感じられられない。やはり営業政策に優れているのだと思われる。

スマートフォンCPU性能比較表(Geekbenchのシングルコアとマルチコアのスコアを掲載)

 
プロセッサ スコア(マルチコア) コア数
クロック
搭載端末(例)
Apple A13 Bionic
13700
6 1.8GHz iPhone 11,11 Pro,11 Pro Max
Snapdragon 865
13200
8 1.8GHz Glaxy S20/LG V60 ThinQ 5G/AQUOS R5G
Kirin 990 5G
12350
8 1.95GHz  
Kirin 990
11640
8 1.86GHz  
Snapdragon 855 plus
11380
8 1.8GHz ASUS ROG PHONE II/Galaxy Z Flip
Apple A12 Bionic
11267
6 1.5GHz iPhone XS,XR,XS Max
Snapdragon 855
10705
8 1.8GHz Galaxy S10/Google Pixel 4/Xperia 1,5
Exynos 9825
10500
8 1.95GHz Galaxy Note10
Apple A11 Bionic
10188
6 2.39GHz iPhone 8,8Plus,X
Exynos 9820
10000
8 1.95GHz Galaxy S10

 

スマートフォン用GPU性能比較表(スマートフォン用のSoCに搭載されているGPUの、ゲームのグラフィック描画性能を比較。掲載スコアは、『3D Mark Ice Storm Unlimited 1280×720 オフスクリーン』のGraphics Score)

  3D Mark 搭載SoC(例)
A13 Bionic GPU
208697
Apple A13 Bionic
A12 Bionic GPU
160199
Apple A12 Bionic
Adreno 650
147310
Snapdragon 865
A11 Bionic GPU
112489
Apple A11 Bionic
Adreno 640
106814
Snapdragon 855,855 Plus
Adreno 630
81385
Snapdragon 850,845
Mali-G76 MP16
70607
Kirin 990,990 5G
Mali-G76 MP12
68654
Exynos 9825,9820

 

 

本題の、世界のスマホ市場であるが、日本のIT雑誌社BCNが、アメリカの調査会社のIDCの1月30日発表した2019年の世界のスマートフォン(スマホ)出荷台数シェアを以下のように掲載している。トップは相変わらず、サムソン、2位にAppleを抜いて浮上しているのがファーウエイ。この3社で、世界のスマホ市場の半分を抑えている。


 具体的には、トップがサムスンで21.6%、2位がファーウェイで17.6%、3位がAppleで13.9%、4位がシャオミで9.2%、5位がOPPOで8.3%となった。

 18年は、2位のAppleの14.9%に対して、3位のファーウェイが14.7%のわずか0.2ポイント差で肉薄していた。19年は、米中の貿易問題の影響を受けたファーウェイだったが、中国での販売を増やすなどしてAppleを抜いた。

 19年の世界出荷台数は、13億7100万台で前年比2.3%減と前年を下回った。IDCでは「貿易戦争はまだ解決されてなく、武漢のコロナウイルスに関する新たな不確実性が浮上。ファーウェイだけでなく、すべてのスマホプレーヤーの中国におけるサプライチェーンで困難な状況が続くだろう」としている。 
 
 
2020年第一四半期の世界のスマホ市場調査を同じくIDCが行っていて、CNetが解説していた。それによると、2020年第1四半期の出荷台数は2億7580万台で、前年同期の3億1230万台に比べ11.7%減。この減少率は、調査を開始して以来、最悪だそうだ。

 出荷減少の要因として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック、中国のロックダウン、そして世界各地でロックダウンが実施されたことを挙げる。中国は地域別で出荷台数の落ち込みがもっとも激しく、前年同期比20.3%の減少となった。世界出荷台数の4分の1近くを中国が占めているため、全体に影響を及ぼしたという。

 

 世界がスマートフォンに関して中国のサプライチェーンへ依存していることもあり、他地域の出荷台数も大きく影響された。たとえば、米国は前年同期比16.1%減、欧州は同18.3%減となった。

 2020年第1四半期における出荷台数の上位5ベンダーなどは以下のとおり。括弧内は、いずれも前年同期の数値と前年同期比。

●1位:サムスン電子

  • 出荷台数:5830万台(7190万台、-18.9%)
  • 市場シェア:21.1%(23.0%)

●2位:Huawei Technologies(ファーウェイ)

  • 出荷台数:4900万台(5910万台、-17.1%)
  • 市場シェア:17.8%(18.9%)

●3位:Apple

  • 出荷台数:3670万台(3680万台、-0.4%)
  • 市場シェア:13.3%(11.8%)

●4位:Xiaomi Technology(シャオミ)

  • 出荷台数:2950万台(2780万台、+6.1%)
  • 市場シェア:10.7%(8.9%)

●5位:vivo

  • 出荷台数:2480万台(2320万台、+7.0%)
  • 市場シェア:9.0%(7.4%)

●その他

  • 出荷台数:7750万台(9350万台、-17.2%)
  • 市場シェア:28.1%(29.9%)

●合計

  • 出荷台数:2億7580万台(3億1230万台、-11.7%)
出荷台数(出典:IDCの公表データをグラフ化)
出荷台数(出典:IDCの公表データをグラフ化)
出荷台数ベースの市場シェア(出典:IDCの公表データをグラフ化)
出荷台数ベースの市場シェア(出典:IDCの公表データをグラフ化)
出荷台数ベース市場シェアの推移(出典:IDC)
出荷台数ベース市場シェアの推移(出典:IDC)

SIMフリーのスマホ

2020年06月20日 20時33分55秒 | 日記

スマホの解約をしたら、違約金をブンとられ、腹が立った。それで、SIMフリーのスマホを導入しようと調べてみた。まず、SIMなしのスマホは、iPhoneを含め全メーカー製品が買え、しかも価格がキャリアーから買うよりも安く買える。特に中国製のはキャリアーは、最近扱っていないが、中国メーカーの代理店が売っていて、2,3万出せば買えるし、日本製のはSIMフリーでも4,5万円はして、しかも、中国はスマホ先進国だから、機能は、2,3万でも、はるかに高機能で、品質も安定している。金がない時は、中国製を利用したほうが安くできる。

また、インターネットは、PCでしか使わず、スマホで使う場合は、道案内位なので、SIMフリーのスマホにした。

問題のSIMは、キャリアー(ドコモ、ソフトバンク、au、MNO(MobileNetwork Operator)ともいう)とキャリアーに通信料を払って回線を借りてサービスを行っているMVNO(MobleVirtualNetworkOperator)が提供している。総じて、MVNOの方が、キャリアーの通信料金よりはるかに安い。

MVNOのメリットは、通話料やデータ通信料が安いし、番号ポータビリティ(MNP)をサポート、契約中止の場合の違約金はないかまたはキャリアーに比べ大幅に安い。デメリットは、大量のデータを扱う場合は逆にキャリアーより高くなることがあるし、掛け放題の通話時間が短かかったり、キャリアーが異なったスマホとデータ通信や音声通信ができない場合があるという。また、5GサポートのSIMはまだ見当たらないが、インターネットやデータ通信はスマホでは使わないし、4Gのサポート終了は6Gが出てくる10年先の話なので、4Gで行くこととした。

結局、台湾製のSIMフリー・スマホ、SIMは大手ポータルサイト提供のDocomo回線版で、90分かけ放題プランで契約。今まで2台で月1万くらいの通信費が、5千円以下に抑えられた。他のキャリアーのスマホとの通話にも問題は出ていない。

 


中国を悩ますザンビア不良債権問題、アフリカ全土でも

2020年06月19日 20時59分51秒 | 日記
 

ロイターによると、『中国を悩ますザンビア不良債権問題、アフリカ全土でも』。中国は、2000年以来、アフリカ全土に対し、1460億ドルもの融資をして来ていて、返済が出来なくなった場合は、アフリカ国家の資源を担保に取るという図式であった。が、世界からの反対でそれがままなくなり、債務免除ということになる可能性も高く、中国経済に大きな重しとなるだろうという。一帯一路戦略も経済成長が順調であった頃は夢があったのだろうが、思わぬコロナ災禍で、夢の中の夢になる???

[ロンドン 15日 ロイター BREAKINGVIEWS]中国がザンビアの「債務のわな」に捕らわれている。ザンビアは、中国国営銀行のほか国際通貨危機金(IMF)などの国際機関や、国際的な民間債権者が絡む、複雑な外貨建て債務の再編を進めようとしている。交渉結果は他のアフリカ諸国にとって重要な前例になるとともに、アフリカ大陸における中国の立場を再定義する可能性がある。

ザンビアは主に4種類の債務を抱えている。ユーロボンドの発行残高が30億ドル、民間銀行による融資が約20億ドル、IMFや世界銀行など国際機関による融資が約20億ドル、そして中国輸出入銀行や中国発展銀行など、中国国営機関を通じた対中債務が約30億ドルだ。

手数料500万ドルで債務再編アドバイザーを務めることになったラザード(LAZ.N)にとって、これは平常時でさえ骨が折れる仕事だろう。その上、米中間の緊張が苦労を倍増させる。トランプ米大統領は中国債権者の負担が軽くなるのを望まないからだ。

既に50%余りもの債権棒引きが視野に入った民間債権者も、間違いなくトランプ氏の味方をするだろう。中国がザンビアに債務免除の割合を増やせば増やすほど、自分たちが引き受けなければいけない債務免除の割合が少なくてすむからだ。

この結果、習近平国家主席が派遣する交渉団は、窮地に立たされる。いつものように秘密裏に事を進めることは期待できそうもないだけに、なおさらだ。

過度に重い条件を要求すれば、銅輸出しか当てのないザンビア経済がしっかりと立ち直れる可能性は低くなり、結果的に債権者の資金回収が脅かされることになる。4月に広東省広州市でアフリカ出身の居住者を人種差別する事件が相次いだことで、アフリカの長きにわたる友達という中国のイメージは傷ついており、印象悪化に追い打ちをかけることにもなるだろう。

しかし、ザンビアに甘くし過ぎると、中国として最終的に経済的な打撃を被りかねない。米ジョンズ・ホプキンス大の研究者らによると、中国は2000年から17年にかけて、アフリカ諸国に1460億ドルを融資した。規模は定かでないが、この大半が未返済だと考えられる。

18年にエチオピアに対して行ったように、中国による債務免除はこれまで、低金利で返済期限を繰り延べる形が主体だった。しかし、新型コロナウイルス感染の世界的大流行によってザンビアの経済的苦境は増幅されており、そうした中国のやり方では、しのげない状況に至っている可能性がある。

新型コロナ危機により、債務免除という寛容さを示すことの倫理的意義も高まった。中国がどの道を選ぶか、同国から融資を受けている他のアフリカ諸国は、固唾(かたず)飲んで見守っている。