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24万筆の改憲発議反対署名を国会に提出

2020年06月10日 | 集会報告
6月4日12時から「改憲発議反対緊急署名国会提出集会」が衆議院第二議員会館前で実施された(主催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション 参加110人 このサイトで動画をみられる)

議員会館前歩道に積み上げられた署名のダンボール箱の一部
この署名は3000万人署名に代わり、今年1月から開始したものだ。この日提出したのは24万257筆(うち6956筆は3000万人署名の追加分のようだった)、3月下旬以降は新型コロナ・パンデミックで「ステイホーム」だったことを考えると、よく集まったほうだ。
最初に主催者を代表し、高田健さん(全国市民アクション共同代表、憲法9条壊すな!総がかり行動実行委員会から「安倍首相は就任以来、自分の任期中に憲法を必ず変えると再三述べてきた。これに対し市民は全国で署名活動を繰り広げ、今日の提出に至った。そして世論調査でも「改憲に賛成しない」という声が圧倒的多数だ。今後も署名を大きく発展させ、何としてでも安倍首相の改憲を阻止しよう」との挨拶があった。

野党共闘国会議員で発言したのは、近藤昭一(立憲民主・衆)、伊波洋一(沖縄の風・参)、塩川鉄也(共産・衆)、奥野総一郎(国民民主・衆)、吉田忠智(社会民主・参)の5人だった(到着順)
近藤議員は「いま政治がやるべきことは憲法が保障する最低限の生活を送り命を守ることであり、けして改憲ではない」と述べ、伊波議員は「安倍首相のお友達、トランプ大統領が連邦軍に国民に対し銃を向けさせようとしている。黒人差別の状況は、米軍基地が集中し「基地は沖縄に置けばよい」とする沖縄差別と同じと感じる。安倍首相と自民党の改憲を許さず、平和憲法をきちんと守らせることが大事だ」とアピールした。

国会議員団。スピーチしているのが近藤議員
塩川議員は「いま最優先すべきはコロナ対策だ。第二次補正予算で予備費を10兆円も積み上げたが、予備費は政府の一存で自由に使える。政府の財政を決めるには国会の議決が必要という憲法83条に反する。こううたわれているのは、莫大な戦費調達を行った戦前の侵略戦争への反省からだ。その反省から生まれた現行憲法に基づく財政民主主義を否定するものだ」とアピールした。
奥野議員は衆議院憲法審査会の幹事なので「本日は衆議院憲法審査会の定例日だが開かせなかった。また国民投票法も断念に追い込んだ。もし通れば次は改憲へ話が進むところだった。与党はコロナのドサクサに紛れ、緊急事態条項の議論をしたいと、火事場泥棒のような申し入れをしてきた。憲法の問題でなく国会運営の話なのに、無理に改憲の問題にしようとした。国民投票法は秋の臨時国会に持ち越しになった」と報告し、吉田議員は「自民党は火事場泥棒のように緊急事態条項を言いだした。現行憲法の枠内で、新型コロナ対策はできるという立場から特措法に賛成した。しかし基本的人権は尊重しないといけない。緊急事態条項は危険だ」と述べた。

藤本泰成さんのスピーチと行動提起。右は高田健さん
各団体からは、九条の会事務局長・小森陽一さん、戦争する国づくりストップ!憲法を守り・いかす共同センター・長尾ゆりさん、憲法9条壊すな!実行委員会・土井登美江さんのスピーチがあった。
小森さんは、コロナのなか戸別訪問がやりにくくなった署名集めで「九条の会のメンバーのなかには、年賀状を出している人に手紙で署名をお願いし、それを送り返してもらう工夫をした人もいた。この緊急署名をさらに集めよう」と署名集めの事例を紹介した。
長尾さんは「2017年安倍首相は、2020年を新しい憲法施行の年にと決意を述べたが、限りなく「妄想」に近づいている。今年の憲法記念日のNHKの世論調査でも「憲法以外の問題に優先して取り組むべき」が78%、「憲法議論を進めるべき」はたった13%だった。わたしたちの運動は8割の圧倒的な世論をつくりだしている。署名ハガキの一口欄に「安倍首相、早くやめさせないと、この国がつぶれてしまう」というものもあった」とアピールした。
土井さんは、「自粛要請」下で街頭署名を実行した。間隔をあけ、プラカードを掲げ、30分で終わるよう配慮した署名行動だった。「抗議の声が上がるのではないかと思ったが、これまでになく通行人の雰囲気がとてもやさしかった。やさしい目を向けてくれた。「こういうときだからこそ」と向こうから次々に署名にきてくれた。わずか30分の行動だったが、やってよかった」と体験を語り、さらに「安倍首相は「法の支配」をよく口にするが、実際やってきたのは「法をぶち壊す」ことだった。国会も国民も無視する状況をつくってきた。安倍政権にはうんざりだ。引き続き安倍政権を打倒する運動を続けていこう」とアピールした。
最後に、戦争をさせない1000人委員会藤本泰成さんから「コロナ下の学生支援緊急給付金で、外国人留学生にだけ成績優秀者と支給要件をつけ、朝鮮大学校の学生はそもそも対象にしない、こうして差別と分断を進めている。
日本社会にも「自粛警察」という名で差別と分断を持ち込もうとする人がいる。わたしはソーシャル・ディスタンスという言葉に違和感を感じる。フィジカル・ディスタンスは感染予防のため、たしかにとらないといけないが、こういう時代だからこそ、差別や分断を通り越し、社会的距離をもっと縮め、ひとつになってわたしたちの目ざす社会をつくらないといけない。
総がかり行動実行委員会は6月11日新宿西口で街頭宣伝と署名行動、6月19日夜はコロナを考慮しつつ総がかり行動を実施したい」と、行動提起を兼ねてアピールした。

ちょうど30分くらいの集会だったが、このくらい短いほうが、凝縮されてかえってよかった
今回、コロナ流行にともなって起きた社会的混乱・閉塞は、安倍の日本全国一斉の学校閉鎖、小池都知事の「外出自粛、ステイホーム」が引き起こした。安倍首相(と首相補佐官たち)が独断で行ったコロナ対策は、アベノマスクといい、電通グループ丸投げの「持続化給付金支給」といい、「9月入学制」といい、あわててやって時間とカネをムダに使ったものが目立つ。本人は「スピード優先」のつもりだったのかもしれないが、お粗末だった。
かつドサクサに紛れでやろうとしたのが、お友達検事長を検事総長にするための検察庁法改正案や緊急事態条項を憲法に入れようとする改憲策動だった。緊急事態「宣言」による自粛だけでも、これほどの社会的経済的「大惨事」を引き起こすのだから、憲法で総理の権限を保障などしたらいったいどんなことになるのか! 安倍首相のように法の精神を曲げる首相が実際に生まれ、憲政史上最長の在任期間を「誇る」のだから、絶対にこんな改憲はするべきではない。
今回、新型コロナ対策を厚労大臣でなく経済再生担当大臣がトップに立ち陣頭指揮している。これはじつは、憲法に緊急事態条項を入れた場合、いったいどんな結果が生じるのかテストする壮大な「社会実験」だったのではないかとすら、感じさせる。

今年1月に地域の街頭で行った署名集め
わたしたちが、改憲発議反対署名を始めたのは1月13日の成人式会場前行動以降だった。昨年までの「安倍9条改憲NO! 憲法を生かす全国統一署名」(3000万人署名)に比べ、「安倍9条改憲NO! 改憲発議に反対する全国緊急署名」は、わたくしにはたいへん集めにくかった。
2年4か月と、コロナ自粛も含めた5か月という違いはあるにしても225筆と80筆の違いだ。「改憲発議」と漢字で書けばまだ理解してもらえるが、「カイケンハツギ」と街頭で呼びかけても、まず言葉の意味が通じない。
「9条改憲NO!」や「平和を守ろう」「日本がふたたび戦争を起こさないよう」なら、言葉として通じるのだが。東京で署名しれくれそうな知人は一渡りすませたので、これ以上増やすには、今後はいろんなアイディアや工夫がいりそうだ。

●アンダーラインの語句にはリンクを貼ってあります。
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