山田洋次監督の90本目の作品「こんにちは、母さん」をレンタルDVDでみた。隅田川や下町・向島の風景と人情、音楽や効果音、光と影の映像にも配慮が行き届いた佳作だった。ただ、吉永小百合に下町生まれ、下町育ちの女性を演じさせるのは少々無理があった。 . . . 本文を読む
政治家が教育を支配していったこの20年のプロセス、端的にいえば教育における「不当な支配」を動画にしたようなドキュメンタリーだった。「首長が教育について強い信念を持っていればね、その信念に基づいて教育委員を変えていくんですよ」、と露骨な政治介入の肉声も聞こえた。 . . . 本文を読む
大島渚が亡くなって早くも10年、たしかに社会は大きく変わった。さて、いま大島の映画を見返して、破綻した作品も含め、映画の限界につねにチャレンジを続けた監督であったと納得した。また、天皇制批判、朝鮮半島・中国などへの日本の戦争責任、死刑反対や在日問題への注目など社会への問題提起も続けたので、観客に大きな影響を与えたことも改めて認識した。 . . . 本文を読む
岩波ホールが7月29日に閉館し、54年の歴史を終える。日本の映画史のひとつのエポックだと思う。何事も、始まりがあれば終わりもある。50年以上なら閉館もやむをえないのかもしれない。とはいうものの・・・。 . . . 本文を読む
関西地区生コン支部は、5カ月もの長期ゼネストを闘う力のある組合、産業別組合という特色をもつ組合だ。ところがここ1年半ほど、国家を挙げての組合つぶしの弾圧を受け続けている。そのリーダー、78歳の武建一の半生を描くドキュメンタリー映画を見た。不屈の闘争心のルーツは故郷徳之島にあった。 . . . 本文を読む
第1作公開から50年、50作目の寅さん映画。渥美清もおいちゃん、おばちゃん、御前様も亡くなっているが、スクリーンではしっかり生きていた。かつて夏と正月にはしみじみした思いで胸いっぱいになり、かつ大笑いしたが、この作は見終わって涙が出るようなレベルに仕上がっていた。4Kなど技術の力も借り、総集編、「完結」作となっていた。 . . . 本文を読む
前作パート1に比べ、「笑い」を取るシーンが多く喜劇としてレベルアップしていた。それだけでなく前作は熟年離婚がテーマだったがこの映画では高齢者の孤独死が大きいテーマになっていた。亡くなった知人のことなど、考えさせることが多い映画だった。 . . . 本文を読む
1980年代半ばの山谷のできごとと人のドキュメンタリー映画をみた。映画作品としてはまとまりがもうひとつだったが、すさまじい背景・経過のうえでつくられたので理由がある。関係した監督2人が暴力団により殺された映画なのだ。 . . . 本文を読む
山田監督の20年ぶりの喜劇ということになっていた。しかしむしろ「お前と一緒になってよかった。良い人生を送ってこられた。サンキューだ」、結婚50年近い熟年夫婦の純愛物語にみえた。 . . . 本文を読む
山田監督には珍しい純愛のラブロマンス作品であり、また原爆や戦争で死んだ人々への鎮魂の映画である。戦争法が成立した年に公開されたことは意義がある。ただ22年前にみた「父と暮せば」(こまつ座 すまけい 梅沢昌代)のことを思い出すと迫力不足だった。 . . . 本文を読む
「小さいおうち」は、人生の晩年を描く老人映画であり、女性の側からみた「女もつらいよ」という映画だった。山田監督の数多い映画作品のなかで秀作とまではいえなくても、細かいところまで神経の行き届いたいい作品だった。 . . . 本文を読む