わたしが好きだった大森一樹監督の遺著が発行された。映画をみることもつくることも大好きだった大森さん。「私が撮りたかった映画は自分が10代の時に週替わりの映画館で見ていた番線映画」「(いわゆるプログラムピクチャーの)映画に憧れ、あんな仕事をしたい」とめでたく映画監督になれた。どういう映画が好きで、どのように監督になり、どんな見方でどのように映画をつくっていたか、理解できる一冊である。 . . . 本文を読む
8年を超える第二次安倍長期政権のもと、雇用・労働分野での「破壊」が続いている。「罰則付き残業規制」といっても過労死レベルの残業容認制度であったり、「同一労働同一賃金」といっても差別を固定化させる制度であったり、じつは企業や国に重点を置き、二重の意味をもつ政策ばかりだ。いつのまにかこの国は、まるで小説「1984年」の世界に突入しているようだ。 . . . 本文を読む
藤田嗣治、小磯良平ら当時有名な画家100人あまりがアジア太平洋戦争に自発的に従軍し「作戦記録画」という公式の戦争画を残し、朝日新聞社が主な戦争美術展を取り仕切った時代があった。作戦記録画125点は戦後1970年にアメリカから返還されたが一挙公開はされず、東京国立近代美術館で眠っている。 . . . 本文を読む
痛快な本に出会った。塩山芳明「出版奈落の断末魔」である。著者は23歳でエロ漫画業界に編集者として入り、キャリアは30年以上になる。もちろん業界の裏話はたくさん書かれているが、第一の魅力は舌鋒の鋭さである。一方、著者は近松秋江やバルザックを愛好する読書人でもある。 . . . 本文を読む
民族音楽学者小泉文夫の評伝を読んだ。北はアラスカから南はバリ島まで、東は日本のわらべ歌からシルクロードを経て西はスペインまで、生活のなかの世界の音楽を聴いて歩いた小泉は何を追求していたのか、生涯をかけて確認したものはなんだったのか、わかったように思った。 . . . 本文を読む
「貧乏人階級のサバイバル術実用書」と著者が呼ぶこの本には「地域ぐるみの自給自足作戦」「街頭を我々の手に奪い返す」と、刺激的なアジテーションが躍っている。社会運動の実践書であると同時に、納得できる生き方の提案にもなってる。痛快な書籍である。
わたくしがもっとも興味を抱いたのは2007年の区議選の部分だった。なかなか振り向いてもらえない、若い世代の共感を得るうえで大いに参考になる本でもある。 . . . 本文を読む
1931年に発刊された「日本プロレタリア演劇論」の復刻本を読んだ。当時の実際の上演の様子も書かれている。検閲の結果五十数か所カット、やっと上演しても巡査が「中止!」と怒鳴ると即中止。治安維持法下の「暗い時代」をリアルに感じさせた。なお本書自体にも「明治維新はブルジョア・・・の発展に過ぎなかった」など伏字が多数ある。 . . . 本文を読む
北朝鮮というと、アメリカからテロ支援国家に指定され、ネット右翼には「特定アジア」と攻撃されていて、日本人にとっては、金正日がマンガのような独裁体制を敷く「拉致とテロの国」というイメージが強い。一般の人々については、食糧難と電力不足で脱北者が相次ぐ極貧の生活というくらいしか知識がない。しかし北朝鮮も普通の人間、普通の家族が住む国であることを示すマンガを読んだ。 . . . 本文を読む
「君が代不起立」をテーマとする深刻なドラマである。しかしコメディになっている。その秘密のひとつは「立ってちょ~、歌ってちょ~・・・」という人懐っこい名古屋弁にある。永井愛はこの作品で2006年に第5回朝日舞台芸術賞グランプリと第13回読売演劇大賞最優秀作品賞を受賞した。 . . . 本文を読む
山田洋次監督の「母べえ」の原作を読んだ。太平洋戦争前夜の時代の獄中の父との往復書簡から家族の愛情が伝わってくる。女学校1年の野上さんの「父ちゃん。お元気ですか。私は元気ピンピンです」という手紙には思わず笑ってしまった。また、野上一家の住まいは高円寺北口であることがわかった。 . . . 本文を読む
「つくる会」など右派の大衆運動が日本を動かしているが、バーチャルの世界ではネット右翼やネットイナゴの勢力はさらに大きいようだ。ネットを使う人は35歳以下が多いと思われるが、若い世代がなぜ「右翼」思想に取り付かれるのか理由がわからなかった。その背景を分析した「ネット右翼とサブカル民主主義」を読んだ。 . . . 本文を読む
沖縄戦の高校歴史教科書問題は、検定合格会社も含め出版社6社が訂正申請を提出した。大江・岩波裁判は11月9日に本人尋問があり、12月21日に結審の予定になっている。焦点になっている「集団自決」を理解するには、軍民混在の沖縄に共通した構造的な問題に着目する必要がある。 . . . 本文を読む
台湾の戦中派原住民(先住民族)にとって日本は「オトウチャン」だという。徹底した皇民化政策の結果、日本人の先生へのあつい信頼から続々と激戦地に出征していった。しかし帰国すると「お国のために死ね」と言った先生は引き揚げており、支配者は国民党に変わり「お前たちは半分日本人になった腐った『漢民族』だ」といわれる悲惨な境遇になっていた。 . . . 本文を読む
三浦博史氏は日本初の選挙プランナー、最近の選挙では片山さつき(2005年衆議院静岡7区)、仲井真弘多(2006年沖縄県知事選)、石原慎太郎(2007年東京都知事選)、丸川珠代(2007年参議院東京選挙区)など保守系候補の参謀として連戦連勝中である。三浦氏の著書(共著)から「当選の極意」を探った。 . . . 本文を読む