国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

英国の不動産バブル崩壊の衝撃は米国のそれを上回るか??

2007年08月16日 | 欧州
サブプライム融資を発端とする米国の不動産バブル破裂が話題となっている。しかし、ブルームバーグの記事によれば、英国の不動産バブルは米国よりも深刻だという。その原因としては、1.不動産価格の上昇が継続していること、 2.金利上昇が継続していること、 3.金融機関の多くが所得証明なしに貸し出しを行うなど、返済能力の評価が不十分であること、等が挙げられている。 現在の世界的な過剰流動性が逆流し始めるならば、英国でも金融機関が貸し出し余力を失い、不動産バブルは急に蛇口を止められて破裂するだろう。更に、国際金融資本の本拠地であるロンドン金融街の繁栄に依存しきった英国経済は大手金融機関の相次ぐ破綻で大打撃を受け、大恐慌に突入する可能性が高いと思われる。 欧州諸国の中で不動産バブルが最も深刻なのはスペインである。ただ、2010年以降に太陽活動の低下に伴って欧州が寒冷化する可能性があり、スペインは寒冷化の打撃を受ける北欧諸国の住民の避難先として住宅需要が下支えされる可能性がある。英国は欧州寒冷化の打撃が最も大きい国の一つであり、住宅需要の下支えは存在しないだろう。 欧州経済で注目すべきことは、ドイツに不動産バブルが存在しないことである。このため、バブル崩壊による内需減少はドイツではほとんど起こらないと想像される。この点は日本も同様である。石油・天然ガスの輸出で蓄積した膨大な対外資産を有し、シベリア開発などの設備投資の高まりも想像されるロシア経済も成長を続けるだろう。近未来の世界では、恐慌の混乱の中でダメージの小さい日本・ドイツ・ロシアが経済的にも政治的にも急速に影響力を拡大すると想像される。英国は既に製造業を失い、北海油田も枯渇寸前であり、唯一繁栄している金融業も破綻がほぼ確実である。近未来の英国は英語だけが資産となり、ラテンアメリカとの言語的繋がりを有するスペインと同じ程度まで国際的影響力を低下させていくことになるだろう。 . . . 本文を読む
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