国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

トルコの親イスラム与党・公正発展党と世俗主義の最大野党・共和人民党+トルコ軍の対立の行方

2007年08月28日 | トルコ系民族地域及びモンゴル
トルコで世俗主義の軍+最大野党・共和人民党と親イスラムの与党・公正発展党政権の間で対立が深まりつつある。公正発展党は大統領と首相の両方のポストを手に入れ、トルコの世俗主義勢力は大打撃を受けた。更に、このタイミングでフランスのサルコジ大統領が方針を修正してトルコのEU加盟交渉を容認すると発言している。EUはトルコのEU加盟に際して従来は世俗主義を求めていたと考えられ、サルコジ大統領の方針修正は世俗主義勢力にとって新たな打撃とも言える。 しかし、EUが現状のトルコの加盟を承認することは考えられない。トルコは余りに人口が多く、EUの平均と比較して余りに貧しい。それ故、トルコがEUに加盟するとEU加盟国は膨大な経済援助をトルコに対して実行せねばならず、それをEU加盟国の市民が認めることはあり得ない。経済的問題から見ても、トルコでEU加盟可能なのはイスタンブールやイズミルなどの富裕地域だけだろう。そして、その富裕な人々は世俗主義であり、肌の色の白い人々なのではないだろうか。 7月の総選挙での世俗主義政党・共和人民党の得票率分布は興味深い。イスタンブールより西側の3県とエーゲ海岸のイズミル県、ムーラ県の5県のみで共和人民党は得票一位になっている。一方、アナトリア半島の大部分では非常に低い得票率である。イスタンブールとアンカラでも得票率は比較的高いが一位になっていないのは、アナトリア半島の親イスラム住民の大都市への移住によるものと思われる。 以前からの予測の通り、私は近い将来にトルコで世俗主義とイスラム主義の間の内戦が起きると想像する。それは軍によるクーデターの形を取るかもしれない。そして、世俗主義住民の多いイスタンブール・イズミル両地区がトルコから分離し、アナトリア半島との間で大規模な住民交換が起きると想像する。それによって、EU加盟を許される富裕な肌の白い住民の住む小国が誕生することになるのだ。その小国は、共和人民党の得票率(約2割)から考えて、人口1400万人程度になるだろう。 . . . 本文を読む
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