国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

イスラムの不寛容こそがイスラム諸国の経済発展を阻害している

2007年08月08日 | 中近東地域
欧州ではイスラム移民の出生率は全体に高い上、移民も停止していない。改宗が死罪であり続ける限り欧州のイスラム人口は増加の一途を辿るだろう。その結果、近い将来に人口の過半数がイスラム教徒になり、欧州諸国は現在の中東と同様の低開発国に転落して欧州文明は死滅することになる。 その様な事態を避けるためにはどうすればいいのか?答えは二つしかない。 一つはイスラム教が自己改革を行って、文明と両立できる世俗的宗教に進化することだ。現在のトルコ西部などの状況が参考になる。それは広大なイスラム世界が先進国化することで巨大な市場を生み出し、日本や欧米にとっても有益である。ただし、その過程では預言者ムハンマドや彼の追従者たちなどの従来の権威の一部を否定するという難関が存在する。果たして実行可能かどうかは疑問である。長沼真一郎氏の主張する「テクノ・ウラマー構想」は、日本の協力によってイスラム世界の世俗化を実現するという試みであると思われる。また、イラン・イスラム革命に代表されるイスラム原理主義の動きとは、原理主義にうんざりした自国民を世俗化させるための陰謀なのかもしれない。もう一つは、イスラムの世俗化が不十分に終わる、あるいは失敗する場合であり。、欧州やロシアは自国の文明を維持する為に域内のイスラム教徒を弾圧することが必要になる。他宗教への改宗の強制、イスラム圏への追放といった強硬な方法が選択枝に上がってくるはずだ。生温い手段では原理主義的な一神教を根絶できない。 先代及び現在のローマ教皇は他宗教・他の宗派との対話を推進しているのは、原理主義的なキリスト教徒が凄惨な宗教戦争を引き起こした歴史を反省したものだろう。その結果、欧州世界は複数のキリスト教宗派が平和的に混在するという、日本の仏教に似た状況に移行しつつある。そして、欧州世界が真に一神教の弊害克服を目指すならば、キリスト教の普及によって撲滅されたギリシャ神話・ケルト神話・ペルシャの拝火教などの過去の多神教を復活させることも必要ではないか。 ギリシャ神話の遺跡の多くが現在トルコ領になっているイスタンブール・イズミル近郊に存在している。現状のままで欧州世界とイスラム世界の境界線が形成されるならば、それは「侵略者トルコ人から領土を奪還せよ」という十字軍的衝動を全欧州に引き起こすのではないか。欧州・トルコ間の戦争は避けられないと予想する。 . . . 本文を読む
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