国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

同床異夢の日米印豪四カ国同盟

2007年08月26日 | 東南アジア・南アジア・オセアニア
軍事部門での日本とインドの提携については、日本は中国包囲網への参加を期待していると思われる。仮に中国が今後急激に発展して日本を属国化するならば、インドも独立を維持することは困難だろう。日印の軍事同盟はその様な事態を防ぐための一種の保険程度の存在価値しかないと思われるし、その保険がどの程度有効かも疑問である。 インドは中国と国境を接するものの、間に巨大な緩衝地域であるチベット高原を有しており、対立は深刻ではない。むしろ、巨大な人口を持つ途上国の代表として連携して先進国と対決する事態も十分想像される。冷戦時代のインドを見ても、親ソ連の態度をとりつつワルシャワ条約機構には加盟せず、米国との関係も維持する、第三世界のリーダーとしての非同盟戦略を採っている。日本がインドに対中包囲網の一環としての役割を期待するならば、技術移転などの分野での支援と言う対価が必要だろう。そして、対価が軍事負担に見合わないとインドが判断すれば、有事の際にはいつ同盟が破棄されてもおかしくない。 オーストラリアと日本の同盟も同様である。オーストラリアにとって最大の脅威は北隣のインドネシアであり、そのインドネシアのマレー系先住民を支配する少数派の華僑はオーストラリアにとって東チモールと共に自国防衛のための最後の砦とも言える。インドネシアを押さえ込むためにオーストラリアが日本よりも華僑+中国との同盟を指向する可能性はあると考えておくべきではないか。産経新聞の、『中国現代国際関係研究院のインド問題専門家、傳小強氏は中国メディアの取材に対し「4国連盟について、積極的な日米に対し、インドと豪州はあまり熱心ではない。中国の戦略としては、インドと豪州との関係を深めることで、同盟の結成を避けたい」と語った。』という一文は日米印豪四カ国同盟が日米vs印豪の同床異夢であることを示していると思われる。 . . . 本文を読む
コメント (11)