国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

大英帝国=国際金融資本の世界覇権崩壊後の欧州世界

2007年09月02日 | 欧州
江田島孔明氏の主張するとおり、欧州大陸は英国=国際金融資本によって分裂・対立させられてきた。EUの統合はこの対立に終止符を打つものであり、英国に対する宣戦布告とも言える。そして、冷戦終了後にEUは東欧まで大きく拡大した。近い将来にはロシアもEUに加盟することになると私は想像している。ロシアと欧州諸国は現在対立しているように見えるがそれは冷戦と同様に単なる茶番劇なのではないか。 英国の歴史家ノーマン・デイビスが書いた英国史の大著「アイルズ」では、大英帝国の繁栄の過去だけでなく、欧州の一地方に転落してゆく近未来も描写されている。米国政府が英国=国際金融資本による支配からの脱出のためにイラク戦争を開始し、独仏露といった欧州大陸の大国が英国に対抗して統合を目指している現状は英国にとって無惨な敗北に他ならない。そして、永年英国=国際金融資本が支配してきた地中海も、「地中海連合」構想を提唱するサルコジ大統領を擁するフランスに支配権を奪われつつある。国際金融資本の残党がロンドンを捨ててランドパワーの一角であるフランスに移住しつつある様にも思われる。 このような現状を考えると、江田島孔明氏の主張する「新日英同盟」は敗北し急速に衰退する英国と同盟すべきと言う愚かな政策である。日本は勝ち組である独仏露と組んで北ユーラシアを支配すればよい。そして、北ユーラシアがポルトガルから日本まで軍事的に統合されるならば、その統合された地域は大西洋と太平洋という二つの大洋に広く接する地域となり、米国と同様に大陸国家でありながら一大シーパワーでもあるという状態になる。シーパワーとしての英国の地理的強みは決定的に失われる。未来の英国は現在のインド亜大陸に於けるセイロン島程度の地位に転落することだろう。 英国政府は2隻の大型航空母艦の建造を正式決定し、2014-16年頃に完成する見込みだという。また、2012年にはロンドンでの夏季五輪も予定されている。しかし、深刻な恐慌に見舞われ国際的地位が低下する英国にそれを実行する力が残されているだろうか?私は、英国は近い将来に経済的困難故に空母建設を断念するのではないかと想像する。更に、ロンドンでの夏季五輪すら断念せざるを得なくなるかもしれない。 . . . 本文を読む
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