国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

北方領土問題と先住民の権利保護に関する国連決議

2007年09月17日 | ロシア・北方領土
日ソ共同宣言を根拠に二島返還を主張するロシア側と、固有の領土論(侵略により得た領土ではないという点で一定の根拠あり)を根拠に四島返還を主張する日本の間には余りに大きな隔たりがある。そして、仮に一方ないし両者が譲歩して妥協点に至る場合、その譲歩は他の国境問題にも影響を及ぼしかねないという危惧がある。例えば中国が固有の領土論を根拠にロシア領沿海州やアムール州の返還を要求すれば、ロシアは反論困難になってしまう。 この問題を解決する一つの鍵は、最近国連総会で可決された先住民の権限を根拠にすることだろう。アイヌ人の子孫はほぼ全員が日本国内に居住しており、ロシアにはアイヌ系文化は残っていない。この点を利用して、領土交渉にアイヌ人を参加させて決着させるのだ。この場合、アイヌ人が居住していた千島全部+樺太南部についてアイヌ民族が先住民族としての一定の権利(漁業権・林業権・鉱業権など)を主張できることになる。無論、日本側でも北海道についてアイヌの権利を認めねばならない。鈴木宗男の「新党大地」が候補者にアイヌ系女性を擁していたのはこの伏線だったのかもしれない。 日本の国益から考えても北方領土の返還に加え、沿海州やアムール州がロシア領として確定することで北東アジアに二つの超大国が安定して並立することになり好ましいと思われる。 その他にも、パレスチナ問題を含めて従来の国際条約ベースで解決困難であった多くの民族問題・領土問題が一挙に解決可能になることは見逃せない。大きな問題となるのは北アメリカやオーストラリアなどの新大陸である。従来の先住民保護は決して十分とは言えなかったことを白人たちは認め、過去の迫害を謝罪する必要があるだろう。先住民との混血が進んでいないために先住民としての権限が全くない大多数の白人の立場の弱さは旧大陸や中南米の先住民族問題とは全く異なっている。これらの国々はあらゆる政策を施行する際に「先住民の同意」を得る必要が出てくると思われる。それは、米国やカナダ、オーストラリア、ニュージーランドの国力を確実に低下させることになる。 . . . 本文を読む
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