計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

台風のような日々だったあの頃

2006年08月07日 | 気象情報の現場から
だんご3兄弟なら可愛いけれど・・・こっちは台風3兄弟と言った所か?

台風7、8、9号が発生 四国・九州に接近も (朝日新聞) - goo ニュース

何とも豪華絢爛ですねぇ~・・・台風が3つも。上陸の可能性があるので、油断できません。しかも予報円がデカイので今後の進路如何で予報が難しくなりそう。皆さんも最新の台風情報をこまめに確認して下さいね。

・・・そういえば前の職場も台風のような日々でした。また、いつものようにgooニュースを見ていたら、過去の思い出がフラッシュバックしてきました。


「心の病」抱える社員が増加、30歳代が6割 (読売新聞) - goo ニュース

 現在、6割を超える企業で「心の病」を抱える社員が増加傾向にあり、風通しがよく、何でも相談しあえるような職場環境作りが急務とのことです。

実は、タイトル見ただけで・・・「あ~、わかる~ぅ」って思ってしまいました。

30歳代と言えば、やはり色々な意味で中核となるだけに重圧が掛かるのかも知れません。私の場合は、年齢的には30歳になったばかりですが、前職では本当に心身ともに疲弊しきっていたと述懐しています。

ましてや、家庭があれば家庭を養っていかなければならないという重圧があり、かといって独身貴族であれば、家族・親戚からの結婚はまだか?子供はまだか?と言った重圧があるわけです。そしてそれ以前に業務面でも最前線に立って活躍しなければならないというプレッシャーがあるでしょう。その肩にのしかかる責任はとても重大でしょう。

例えどんなに辛くても、最後に頼れるのは自分しかいない。それでも、精神的な支えがあるのと無いのでは天と地の差があります。それは時に友人であり、恋人であるかもしれない。良き同僚仲間であれば尚のこと心強い。もちろん、家族であるかもしれないが、時としては家族でさえも「追い詰める側」になってしまう・・・と言う事も少なくない。最も、家族が支えになればこれ程心強い味方はいないのですが、家族が追い詰める側の存在になっては、心が癒される事はないのです。

かつて梅森浩一氏の「クビ論」という本を読んだ事があります。いまこの本は手元にはありませんのでウロ覚えですが、印象的な話題があります。確か、この本の最後辺りにあった話ですが・・・

一家の大黒柱であった父親がリストラに遭い、専業主婦の妻や学校に通う娘を養うために必死で再就職活動をするというドキュメンタリーがあったようです。父親は何社も就職面接を受け続けます。ランチは一人で公園のベンチに座って菓子パンと牛乳。そんな父を妻と娘は「お父さん頑張って」と応援していると言うものです。

これだけ見ればリストラの厳しい現実に負けない美しい家族愛で片付けられますが、著者は問題提起をしています。「なぜ、父親だけが頑張らなければならないのか」一家の危機的状況なのだから、専業主婦の妻がパートに出るなり、娘もアルバイトをして家計を助けるなり・・・なぜしないのか?「お父さん、頑張って」だけでは結局のところ父親を追い詰めているだけではないか。なぜ、助け合おうとしないのか!

また、話題は変わりますが、職場の労働環境の悪化で疲労しきっており、本人は転職しなければやっていけない状況であっても、家族が理解を示すことなくその転職に反対することもあるでしょう。もしくは、世間体のためだけに転職に反対する人もいるでしょう。

グローバル・スタンダードが進んでいる現在、メガ・コンペティションという言葉が飛び交うこの時代、心の風邪の一つや二つあるでしょう。「心の病」までは行かなくても心に疲れを感じる人は決して少なくないはずですし、それ自体は責められる事でもなければ、恥ずかしい事でもないのです。だからと言って「勲章」といって賞賛するものでもありません。かつての私も何度もありました。

時として試練を乗り越える事は必要です。しかし、ただ辛さに耐える事だけが乗り越えることではないと思います。真剣に状況と向き合い、そのなかでどのように悩み、どのように解決の途を見出すかが大切なはず。

精神的に支えてくれる存在は、健全かつ常識的な存在であれば何でも良いと思います。かつて前職の頃は、関連子会社から親会社(=グループ本社)への派遣という形態だったので、それはもう無茶苦茶で過酷な日々でした。それでも何とかやってこれたのは、同じ子会社から派遣で来てくれた良き先輩がいてくれた事が大きいです。やっぱり同じ境遇ということもあり、苦楽を共にしたものです。最近は、なかなか連絡もまばらになっちゃいましたけど、それでも今でも私は感謝しています。

そして、アンビジョンであり強烈なまでの信念でした。絶対に自分はこのままでは終わらない!そんなこんなで、ひょんなことから?今の会社と出会えた事ですね。私の場合、子会社そのもの(というより原籍部署)の存続に関わる重大な計画が発表されたのを受けて正式に退職を決意するに至りました。

そんなわけで、不遇の時代に自分を支えたのは、共に苦労を共にした子会社の皆様であり、転職の扉を開いてくれた今の会社であり、何より決してあきらめない自らの信念だったのだと思います。

さて、今はどうなんだ?という話になりますが、計算シミュレーションも結構苦戦しています。プレッシャーはありますよ。特にクライアントに対して予報を出すときのプレッシャーは恐ろしい位です。これについてはまた別の機会に書きましょう。でも、辛いという重圧ではなく「オレはやったるで~、いまに見ておれや~」ってな感じです。

同じ重圧でも、ネガティブなプレッシャーとポジティブなプレッシャーがあるのかもしれません。もしくは、かつての壮絶な体験があったから、今をポジティブに捉えられるのかも知れません。

辛い時に「辛い」と言える環境があるだけでも、心の健康は違ってくると思います。辛くて苦しいと感じる事は、決して恥ずかしい事ではないのです。なぜなら、それは自分がそれだけ頑張ったからなのです。頑張らなければ悩む事も苦しむ事も無いでしょう。私の好きな言葉で締めくくろうと思います。

何事も『適度に』頑張るようにね!頑張るのは良いけど『適度に』

 前職の頃、原籍子会社の先輩技師が本社に出張してきた時に、疲弊しきっていた私に言った言葉です。この先輩は出張の度に、飲みに連れ出してくれました。地獄の日々の中のつかの間の安らぎの時でした。

今日の記事は、おそらくこのブログ始まって以来の3000文字超えを記録しました。こんなに超長文にお付き合い頂きありがとうございました。
コメント (2)
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