計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

(一社)日本気象予報士会の講習会

2017年11月18日 | CAMJ参加記録
 今日は(一社)日本気象予報士会の講習会を受講してきました。


 講習の中では、最近の気象データについての解説もあり、気象庁のスーパーコンピュータの計算結果を基にした、予報のための基礎資料の生成プロセスについても紹介されていました。

 特に、ニューラルネットワークやカルマンフィルター(簡単に言えば「AI」の仲間)を用いた技術は興味深いものでした。テキストにあるコラムも示唆に富むものでした。

 最近、AIが進化すると「気象予報士や予報官の仕事が奪われる・・・」という意見も散見?されます。その一方で、気象庁のスーパーコンピュータの計算は、物理法則に則って膨大な計算を行っています。コラムの中では、この両者の折り合いをどのようにつけてゆけば良いのか、問題提起もなされています。

 私は「物理学(熱流体力学)の理論に基づく数値モデル」と「人工知能を応用した数値モデル」の両面からのアプローチを重視しています。その意味では、「物理法則に則った数値予報モデルをベースとしつつ、数値予報では予測できない現象も予測するためにAIを活用する」のが現実的と考えています。

 そもそも、AIは「(膨大なデータから)パターンや規則性、あるいは定石のようなものを読み解いて、そこから類推・予測する技術」です。従って、例えば「XXXのような場合には、○○○のような特徴が現れる」という傾向を「パターン」として予測することが出来ますが、その物理学的なメカニズムについて「プロセス」を解明するわけではありません。

 天気予報におけるAI利用は、(従来は「職人技」のように行われてきたであろう)「天気予報」のプロセスの「CAD/CAE化」ではないか、と捉えています。つまり、「気象予報士や予報官の仕事が奪われる」のではなく、「アプローチのやり方が変わり得る」と言った方が良いように感じます。なぜなら、私が日頃から取り組んでいることだからです。
コメント
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