◎老子第36章 将欲歙之
(2009-04-28)
『ものをゆるめようと思う時には、しばらく反対にこれを張る。弱くしようと思う時には、しばらく反対にこれを強くする。廃れさせようとする時には、しばらく反対にこれを興させる。これを奪おうと思う時には、しばらく反対にこれを与える。
これを明をぼかすと言う。
柔は剛に勝ち、弱は強に勝つのである。魚は淵を出てはならない。国の利器は人に示してはならぬ。』
ここは、世俗の権謀術策のことを述べているのでは勿論ないが、かといって人為の起こり来たってこれを無為の治世とするときはこれをしばしほっておくがよいというような意味にとるのもまた相違しているように思う。
過去現在未来を通観する視点から見るならば、この世においてあらゆる物事は「陰極まって陽生ず」であり逆に「陽極まって陰生ず」(易経)であることからして、ここの章の言はいわばこの世的物事の基本である二元性の転々流転の姿を述べたものであり、殊更に謀略を説いたものとは言えない。
大なるものは小となり、小なるものは大となり、また強者は弱者となり、弱者は強者となる因縁を淡々と語っている。この法則の利用を『国の利器』とみているのだろうか。
共産中国、急速に興隆して、急激に・・・。