◎無意識の支配下にあっても意識的であること
熟眠中に夢を見てしまうケン・ウィルバーは、やがて熟眠中に夢を見ない状態を達成した。これが冥想修行の極み。
熟眠中に夢を見ないとは、熟眠という無意識の支配下にあっても意識的であることを継続できていることだろうと思う。
アメリカの遠隔透視部隊のマクモニーグル(マックモンイーグル)は、トランスという無意識優勢な状態に入っても遠隔透視のために意識的な部分を残すことができた。
※マックモンイーグルの上司がアットウォーター。マックモンイーグルは、オーストリアでの臨死体験があり、おそらくアストラル体で肉体を離脱したことがある。
『さまざまな要因のなかでも、ケルト人の血とオーストリアでの臨死体験のふたつが、マックモンイーグルにとって非常に有用な能力を与えたようだ。つまり、夢を見ているような意識の状態まで入りこんでいても、半覚醒状態を保っていられる能力である。多くの人びとが、そのような状態、「鮮明な夢」と呼ばれるたぐいのものをときどき経験することはある。夕食を食べ過ぎたあとや、病気のときなどに多い。しかし、マックモンイーグルはその不思議な状態に意のままに入りこむことができるのだった。
その結果、彼の遠隔透視はすばらしく現実的で、話が一貫していた。ゾーンへ入りこんだ透視のあと、しばしばどんなこまかいことまでも、自分の見てきたことを思い出して絵にすることができた。透視の最中でさえ、ときには、まるで映画館で映画を見ているかのように、その情景を説明することができた。彼には本当に簡単なことだったのだろう。
それでもたまには、透視中に解釈のむずかしい奇妙な知覚のゆがみが入りこんでくることがあった。一九八〇年ごろに、ある情報組織の依頼人がフォートミード部隊に任務をもってきた。ある人物の動きを遠隔透視で追ってもらいたいという依頼だった。ヨーロッパで活動している 外国人諜報部員をおよそ十二時間おきに、最近の数日間にわたって透視してほしいというのだ。
アットウォーターはすぐにマックモンイーグルを透視目標にあたらせた。ファイルには諜報部員の写真が入っていた。表には、彼が何をしているのか依頼人が知りたい特定の日時が書いてあった。アットウォーターはマックモンイーグルに、目標は人間だと伝え、任務は封筒に書かれている日時のその人物と周囲のようすを透視することだと命じた。
マックモンイーグルはゾーンに沈んでいき、指定された一連の日時を探りはじめた。ある特定の日時で、彼は丘陵地帯をうねって走る道路を感じた。透視目標の人物がその道を進む車を運転しているのだと、マックモンイーグルは気づいた。その人物は黒髪の男性で、きちんとした身なりをしており、おそらくビジネスマンだろう。マックモンイーグルはその道路と丘と車について口述した。五分ほど透視が進んだあたりで、透視目標に何か変化が起きたようで、マックモンイーグルは混乱しはじめた。「男は私の行けない場所へ行ってしまった」彼は言った。「どういう意味です?」とアットウォーターは聞いた。「そう」とマックモンイーグル。「彼の写真を見ていたら、急に写真が裏返しになったみたいなんだ」透視目標は突然消えてしまったのだ。
依頼人に透視結果を報告したあとで、アットウォーターはその写真の男が担当部員との約束の場所に現われなかったのだと聞いた。それで依頼人は男の過去の動向を知ろうとしたのだ。他の複数の遠隔透視者が結果を出してしばらくのち、依頼人はその男が、マックモンイーグルが透視した日時に、イタリアの山道で運転をあやまり、崖から落ちて死んだことをつきとめた。』
(サイキック・スパイ-米軍遠隔透視部隊極秘計画-ジム・シュナーベル/著扶桑社P85-87から引用)
マクモニーグルは、遠隔透視していた対象の男が交通事故で死んだ際、死んだと透視できず、男は私の行けない場所へ行ってしまって、写真が裏返しになったと知覚した。
まずマクモニーグルは、リアルタイムの透視ではなく、過去を透視している。これはすなわち現在の現界でなく、霊界の過去を透視しているということだと思う。
というのは、今ここである現在は過去現在未来が一枚板のようになっていていわば現在しかなく、時間がない世界だが、それを透視しているのであれば、亡くなっても居場所を知ることができるだろうと思われるからである。
さらに死後の中有などの個人を見失っても、それは知覚のゆがみではないのではないか。
遠隔透視はあるトランス状態で行われるが、この覚醒状態は、報酬も受け取るし、神仏に近づこうとしてやっているわけでもないし、そういう点では、本件は無意識状態での覚醒例ではあるが、冥想修行者の参考にしてはいけないところなのだろう。
はたしてマクモニーグルの透視が精確になるほど、彼の結婚生活は破綻していったという。