アヴァターラ・神のまにまに

精神世界の研究試論です。テーマは、瞑想、冥想、人間の進化、七つの身体。このブログは、いかなる団体とも関係ありません。

死のプロセスと成道と中有行きの分岐-2

2024-04-09 03:15:51 | ジェイド・タブレット

◎ジェイド・タブレット-10-8

◎垂直上昇への仕掛け-8

◎四元素の溶解と五感の停止

 

まず最初は、五感の感覚がなくなり、呼吸が止まるまでのプロセス。これは、ゆっくりと死が訪れる場合は、どんな人にも平等に起こる部分。事故死、突然死、武器での死、発作での死などの急激な死では、この四段階は完全には顕われないことがある。

ただし意識がはっきりしていること(清明であること)、肉体をメンタル体で離脱することが、この後の死のプロセスで『原初の光明』(神、仏、窮極、母の光明)に出会う絶対条件となる。意識がはっきりしていることは只管打坐での作法でもある。

 

1.四元素の溶解と五感の停止

⑴陽炎:地の元素が衰え、水に溶け込む。(地が水の中に沈んでいく)

身体から力が抜け、ぐったりする。

視界が暗くなって、ものの輪郭がぼやけ、目を開けることも閉じることもできなくなる。

陽炎のようなものが見える。

 

(2)煙:水の元素が衰え、火の元素に溶け込む。(水が火の中に沈んでいく)

快さも苦しみも感じなくなる。

唾液が出なくなり、口、舌、喉、歯がかわく。音も聞こえず、耳の奥のかすかな耳鳴りも止まる。

漂う煙が見える。

 

(3)蛍:火の元素が衰え、風の元素に溶け込む。(火が風の中に沈んでいく)

匂いを嗅ぐことができなくなる。食べ物を消化することができなくなる。

呼吸が苦しくなり、吐く息がだんだん長くなり、吸う息がどんどん短くなる。

生前善行が優位の人は、下半身が最初に冷たくなる。生前悪行が優位の人は、上半身が最初に冷たくなる。   

すすで黒ずんだ鍋底で光る火花のようなものが見える(蛍)。

 

ソクラテスも下半身が最初に冷たくなった。ソクラテスは、人が何人かいる前で毒を飲まされて、死のプロセスが進行している最中に、『まだ足に感覚はありますか』などと突撃レポーター並の取材を受けているのだから、お気の毒としか言う他はない。(プラトン/パイドン)

 

(4) 燈明の炎:風の元素が衰え意識に溶け込む。(風が意識に溶け込む)

身体を動かすことも、肉体的な接触も感じられなくなる。

鼻を通る息は、止まる(呼吸の停止)が、エーテル体の息はあると思われる。

燈明や松明の炎のようなものが見える。

その炎は最初のうちはちらついているが、やがてその揺れはおさまる。

 

この段階で、五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)はストップし、五感で認識するものと認識されるものの分離は終わる。

 

呼吸が止まれば心停止するので、(4)の段階は肉体死のこと。しかし以後の段階の記述を見ると身体反応はできないけれど、意識は残っている。

 

この段階でのバンチェンラマ1世のアドバイスでは、『しっかりと注意を払い、内観を保って、どの段階が起こっているのかに気づくことができれば、そのことが修行を力強く推し進め、生まれ変わりに良い影響を及ぼす』(ダライ・ラマ 死と向き合う智慧/地湧社P142から引用)

 

この段階での見神、見仏イベントはないが、意識清明であることは求められている。

 

またこの段階の意識状態は、標高8千メートル超の全14座の高峰を無酸素登頂した登山家ラインホルト・メスナーが記述しているので、別途ご紹介したい。標高8千メートル超(死の地帯と呼ばれる)では酸素が薄く、低温であり、意識朦朧としやすいが、どう気持ちをもっていくかは参考になるのではないか。

 

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