台湾で美味しいトンポーロー(豚肉角煮)でも食べたのか?って?
この角煮の話は後でするとして。
2011年最後の日、あなたはどのような一日をお過ごしでしたか?
ヘタしたらホテルでずっとうだうだして一日を終わってしまいかねない観光意欲のない我々、
しかしまあ一日くらいはちゃんと名所というところに行こうではないか、ということで、
この日は故宮博物館に行ってきました。
孫文先生の像がポインセチアに飾られている・・・。
日本と違ってここではお正月は1月1日ではないので、街の飾りつけはまだクリスマス仕様。
この故宮博物館というもの、実は天安門みたいな、建物を観るものだと思っていたのですが、
実は中華民国の国家の威信をかけ巨額の国費を投入し、最新設備を備えた超近代的博物館。
条約締結の調印書や、歴史的文書に始まり、古代からの様々な国宝を一堂に集めてあり、
丁寧に見学すれば一日では足りないのではないかと思われます。
冒頭の豚の角煮は、この博物館の目玉、肉に見える「石」なのです。
天然の石を肉に見たて、皮の表面に細かく細工を施し、そっくりに造り上げた職人の匠の技。
もう一つの目玉はこの「天然のヒスイの色の違いを利用した白菜」。
バッタとイナゴがとまっていて、肉の石と並んで人気の展示。
これを観るのには少し列を作って並ばなくてはいけませんでした。
この白菜、売店には「白菜くん」キャラでぬいぐるみもできているんですよ。
お土産に買った「有名皇帝の4種類チョコレート」とペンダント。
唐の高祖と元のジンギスカンしか覚えていません。
本当、学校で習うことって、ほとんどが忘却の彼方なんですよね。
ペンダントは、おそらく展示品の何かのモチーフなんだと思います(が全く覚えていない)。
こちらも忘却の彼方。
さて、博物館を出てタクシーを拾おうと門に向かうとそこでこんな人たちを発見。
法輪功の信者たちです。
法輪功は単なる気功団体だったのですが、爆発的に人数が増えたため、
江沢民の共産党政府が第二の天安門を怖れ弾圧を繰り返しました。
理由も無く捕えられ、拷問の末臓器を抜き取られたり、人体の不思議展に死体を売られたり、
(不思議展の展示体には明らかに生きているうちに加工されている例もあるのだとか)
といった弾圧が学習者に加えられていると言われています。
それを公開で政府に抗議した弁護士は行方不明。
この学習者たちの並んでいるところの反対側には、弾圧をパネルで訴える展示と、
署名運動をしている運動家たちがいました。
臓器を抜き取られたあとの縫い目も生々しい死体、拷問の後の死体。
そういった眼をそむけたくなるような写真が大きく引き伸ばして展示されており、
人々はそれを複雑な表情で眺めながら通り過ぎていました。
ニュースでは知っていましたが、実際にそのような人々を見るのは初めてです。
同じ中国でも、ここ台湾と共産中国の空気の違いを目の当たりにする思いでした。
この日の夜は、昨夜の海鮮料理を推薦してくれた方の再びの紹介で、ふかひれ専門店へ。
ここのメイン料理はふかひれ。
中華料理を食べに行くとほんの数本ふかひれの浮いたスープが出ますが、
ここではそのふかひれがカタマリで出てきます。
大中小とランクがあり、われわれは二人で中の大きさを一つ頼みましたが、
だいたいそれが子供の手のひらサイズ。
こちらでもふかひれは高級料理ですので、店内にはシャネルづくめのおばあちゃまとか、
どう見ても原宿を歩いているかのようなスタイルの茶髪の今風お嬢さんとか、
凄く仕立ての良さそうな中国服を着て、なぜか頬のほくろから20センチくらいの長ーい白髪を
伸ばしっぱなしの仙人みたいなおじいちゃんとか、
何しろただものではなさそうなリッチそうな台湾人がいっぱい。
みな一人に一皿ずつふかひれを頼んで食べていました。
あまり値段のことを言うのもなんですが、中サイズふかひれ一鉢が1万5千円。
ふかひれの相場など全く知らないで今日まで来ましたが、これは日本の、
例えば赤坂の福臨門などで食べることを思うと異常に安いのだそうです。
(福臨門でふかひれなんぞ食べたことが無いので、TOの受け売りですが)
生まれて初めて「糸状でないカタマリのふかひれ」をガブリと食べました。
この直後、ホテルのナショジオチャンネルで「いかにふかひれを採るのが残酷か」
という番組を観て思わずこのときの悪行を反省しそうになりましたが、よく考えれば
ナショナル・ジオグラフィックって、海犬や緑豆の味方でしたっけね。
ガチョウのフォアグラを始め、牛馬雉兎魚。
生きて飛んだり歩いたり鳴いたり泳いでるものを食べるのやめてから非難してくれるかな?
ホテルに帰る道でバーガーキング発見。
漢堡 王
・・・・・・・・だそうです。
ホテルに帰って、年越しまでの間、時間つぶしのためホテルの映画館に行きました。
毛布付きのソファで、ほとんど寝転がった状態で映画を鑑賞します。
頼めばアイスクリームや飲み物を持ってきてくれます。
やっていたのは不可能的任務の鬼影行動。すなわち
「ミッションインポッシブルのゴースト・プロトコル」です。
字幕が中国語というのも分かるような分からないような。
イーサン・ハントのイーサンを「伊森」って書くんですが、いちいち
「伊森!」「伊森!」って字幕に出てくるので、頭の中では「いもり」としか思えなくて、
それだけが理由でもありませんが、いまいちのめり込めないうちに終わってしまいました。
個人的には例の「ミッションインポッシブルのテーマ」インド風がツボでした。
日本にいる皆さま方が、一時間前に新年を迎えている中、我々は、2012年の年明けを
101の花火で祝いました。
101とは、台湾にある超高層ビル。
このビルそのものと、回りに仕掛けられた花火のカウントダウンショーがあったのです。
相変わらずまともに撮れていない写真で申し訳ないのですが、ビル全体が火に包まれているように、
花火が点火し、部屋の窓から眺めるだけとはいえ迫力がありました。
というわけで、台北の花火を観ながら迎えた2012年。
ここ数年、一度として同じ所で新年を迎えていない我々ですが、
来年、どこで新年を迎えるにしても、世界がとにかく無事でありますように。
何が起こっても不思議ではない昨今の世界を見ていると、それだけが願いです。