現在、NHKの朝の連ドラで「おかえりモネ」が放送されています。
放送直後の第2回目だったでしょうか? サヤカ(夏木マリ)がモネ(清原果耶)に「あすなろ」の語源について語るシーンがありました。
その中で、ヒバの木は「明日はヒノキになろう」と思いながら成長するといわれているので、別名『アスナロ』ともいいます。
ヒバはヒノキにはなれないが、雨・風・雪に耐えながら長い時間をかけて成長するため、緻密で立派な木になります。
と、説明していたのです。
そこで今日は、「明日はヒノキになろう」という思いの「あすなろ」の語源について、調べてみることにしました。
「あすなろ(翌檜)」
「あすなろ」はヒノキ科の常緑高木です。葉はヒノキに似て大きく、鱗状に重なり合っています。
山や森などで見ることのできる日本個有の樹木で、北海道の南部から本州や九州、四国に分布しています。
「あすなろ」という言葉の起源や意味は、「檜(ヒノキ)」よりも木が小さいことが多いため、「明日はヒノキのようになろう」という成長の意思を持っているという意味から「あすなろ」と言われるようになったとされています。
・アスナロの葉です(ネットより)
「あすなろの語源」』
しかし、「あすなろ」の語源を調べてみると、「明日はヒノキになろう」というのは俗説で、次の説が有力とも言われています。
「あすなろ(翌檜)」は古くは「あてひ」といわれていて、高貴なヒノキであったということです。
アテは高貴を意味する言葉で、アテヒは「気品のあるヒノキ」という意味であり、これが「あすなろ」の起源とされています。
ヒノキに比べて葉っぱが分厚いから、「あつひ(厚桧)」と呼ばれたのが始まりで、「あつはひのき(厚葉桧)」から「明日は桧」になったとの説です。
「あすなろの意味」
なお、「あすなろ」を多くの人に印象付けたのは、1955年に東宝で映画化された井上靖の小説「あすなろ物語」です。
この作品は黒澤明監督の助監督を務めていた堀川弘通の監督昇進を記念して黒澤監督自身が脚本したことでも有名ですが、一般的なこの物語についての解説では、「明日はヒノキになろうと願いながら、永遠にヒノキになれない悲しさ」などと、元気がない人生の話の様な意味で捉えられています。
しかし、元気のない人生どころか、逆に、「目標を立ててそれに向かって進んでいくということが大事」だと教え、「人が伸び行く姿、そして、たゆまぬ努力を続けて伸びる子供の成長を願う」という意味が込められているとも言われています。
朝の連ドラのセリフの中から「あすなろの語源」について調べてみました。
「明日はヒノキになろう」と思いながら成長するといわれている『アスナロ』でしたが、元々は高貴なヒノキであることもわかりました。
木の名称は意外と伝説的につけられているものですね。