らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

左遷の故事

2022-07-25 | 雑学

リタイアした今では関係ない言葉ですが、現役時代には、異動の辞令が出ると「あいつ左遷されたのかな?」なんて囁いたものです。
この左遷という言葉にはどのような由来があるのでしょうか?

「左遷」
左遷とは、広辞苑によると次のように説明しています。
[漢書(周昌伝)](中国で右を尊び左を卑しむ習慣があったところから)高い官職から低い官職に落とすこと。また、官位を低くして遠地に赴任させる事。左降。
と説明しています。
辞書が示すように、中国では「右」を尊び「左」を卑しむ観念があり、官位の降格を「左遷」と言いました。

「語源」
その語源は、秦の滅亡後、項羽は諸侯に領地を分配しましたが、劉邦には約束した関中ではなく、その西側の辺境の地が与えられ、「劉邦を左に遷す」と言ったことから、これが左遷の語源になったということです。



「故事」
その故事は、項羽は劉邦と秦を滅ぼし首都咸陽を焼き払います。
その後、中国全土の領土を武将たちに分け与えるのですが、秦の打倒で大きな功績を立てた劉邦のことを警戒し、辺境にある巴・蜀・漢中を与えて追い出しました。
つまり、劉邦は土地を与えられたといってもひどく辺境な、誰もが行きたがらない場所を与えられたのです。

なお、巴は現在の四川省重慶、蜀は同じく四川省成都、漢中は陝西省南部の地域です。
上の地図でもわかるように、これらの地域は中国大陸の中心である中原(洛陽周辺)からすれば左側の地域にあります。
このような劉邦への扱いから「左遷」という言葉が生まれたということです。