「ルーイ県」はタイ東北部の北西端に位置し、面積の7割が山と森林です。県北部はメコン川とメコン川支流のフアン川がラオスとの国境となっています。「ター・リー」のフアン川にはタイ=ラオス友好橋が架かっており、ラオスとの往来が可能です。
国境の川「フアン川」です。川の左がタイ、右がラオスです。
タイ側の国境ゲートです。
「ルアン・パ・バーン」まで363kmの道路標識がタイ国内側に立っています。他にもラオスの「ケーン・ターオ」7km、「シャイヤ・ブーリ」229kmの道路標識があります。
「ター・リー」からフアン川沿いの国道2195号線を西へ38km進み、国道2114号線を27km南下すると周囲を山に囲まれた「ダーン・サーイ」の町に入ります。
バンコクからだとサラブリーを経て国道21号線をひたすら北上し「ロム・サク」で左折し山間部を走り480kmで「ダーン・サーイ」です。
辺境の地、陸の孤島ともいうべき盆地の小さな町ですが、アユタヤ時代には町の真ん中を流れるマン川がラーン・サーン王国との境界線となって関所が設置されていました。1560年に両国王は不可侵条約を結び、マン川西岸の丘陵にラオ様式のプラタート・シー・ソンラック仏塔を建立、石碑を残しています。
さて今回は、そんな「ダーン・サーイ」で催される精霊信仰の色濃い「ピー・ター・コン祭り」(ブン・ルアン)を見に行きました。辺境の奇祭として有名になり、祭り期間中はたくさんの観光客が小さな町にあふれます。
写真は1969年の「ピー・ター・コン」です。
「ピー」は精霊、幽霊、お化け等の意味、「ター」は付いて来る、「コン」は人で「人に付いて来る精霊(お化け)の祭り」となります。写真に写っているのが精霊たちですが、「お化け」と言った方が適正です。
現在の「お化け」たちです。
「ダーン・サーイ」の住民は話し言葉や習慣から19世紀にルアン・パ・バーンから移住した人たちだろうと考えられています。
精霊がついて行く人とは、「パー・ウェットサンドンの帰国」です。精霊たちは「バン・ファイ」で負けた「パー・デーン」が「ナーン・アイ」を連れ去った「パヤ・ナーク」軍と戦った幽霊軍団です。
ちなみに、お祭りで霊媒師「チャオ・ポー・クアン」が「ワット・ポン・チャイ」まで乗るのは「バン・ファイ」です。
今年の「ピー・ター・コン祭り」(ブン・ルアン)は、6月27、28、29日と開催されました。
「ブン・ルアン」の日取りは精霊のお告げで決まるようですが、最近は精霊も村のことを考えて観光客が来やすい週末を指定するようです。
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夜明け前にバンコクを出発します。
途中の町、ロム・サクの名物はタイの素麺「カノム・チーン」です。
朝食と早い昼食を兼ねて食べて行きます。
「サーラッ・ルア・ロム」です。奥に「マカーム」の加工工場があります
店の前に大きな「マカーム」です。
食事は「カノム・チーン・サーラッ」と言う店名です。
店内です。
「カノム・チーン」は練った小麦粉を沸いた鍋にトコロテン方式で押し出し湯がきます。
湯がいたものを冷水で締め、出汁を付けて頂きます。タイの素麺です。
麺を湯がき終え盛り付けをしています。注文によって取り分けて行きます。
メニューです。
手前の鉢が麺つゆになります。
「ナム・ピック」、「ケーン・パー」、「カティ」と呼ぶ三種類が出てきます。好みによって麺にかけます。
「パック・カ・ドーン」、タイの漬物です。
木の枝にたくさんの酸い実をつける「マヨーム」です。
食後出発です。ダーン・サーイまでは60kmです。
ペチャブーンを過ぎるとダーン・サーイへ向かうオートバイが増え、ロム・サクあたりで隊列となって道路をふさぎます。
皆、ピー・ター・コン祭りに行くそうで、その後「プー・ルア」で宿泊するようです。
ダーン・サーイへ入る最後の峠にピー・ター・コンの面が立っています。
峠から見下ろすダーン・サーイの町です。
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■ダーン・サーイの町に到着です。
マン川の畔にあるこのグループは、まだ「ピーター・コン」のお面の制作中です。
毎年新しいデザインでお面を作ります。各グループで基本形態を統一して、少しづつ個性を変えています。
顔はヤシの葉の付け根の太い部分を削って加工し、頭には餅米を蒸す竹籠を縫い付けます。大きな鼻はコルク材を用いて軽くしています。
顔が収まる大きなヤシの葉を毎年探すのが大変な作業のようです。
話は飛びますが、わが故郷でも毎年の祭礼に山へ入り神木となる椿を切り出します。幹の太さは茶碗大と決められておりますが、藪や山中で八方に枝の張った椿を毎年探すのが大変な苦労であったことを思い出しました。
みんな真剣な眼差しで仕上の彩色中です。
完成です。笑みが浮かびます。
衣装も「お化け」に着替えました。
「お化け」のリーダーです。
「お化け」が町の中へ出掛けて行きます。「ピー・ター・コン」の始まりです。