の~んびり タイランド 2

タイの風景、行事や趣味の陶磁器を写真を中心に気ままに紹介しています。

カロンの磚仏

2015年02月14日 | パヤオ

「プラ・ヨート・クンポーン・ピン・ノック・プラー・ナン・タイ・トンマイ」と呼ばれる磚仏です。
苦行では悟りを得られなかった太子が菩提樹の下で瞑想に入りました。太子の成道を妨害する魔衆を右手を大地に触れて退散させ、悟りを開かれた仏陀の生涯で一番重要な場面です。
本品は菩提樹の下で右手を大地に触れる降魔印坐像の仏陀、基壇には向かい合う二匹の魚、菩提樹には二羽の鳥がとまっています。裏面右下には溶けた緑色の釉が付着しています。高温焼成された磚仏です。
高さは5.5cm、最大幅が3・3cm、肉厚9mmです。
メー・カチャーン、バン・ドン村の通称「ワット・カロン」の遺跡から出土しました。

ウィアン・パヤオ(ワット・リー)博物館の図録です。

発掘された磚仏のページを見ていてびっくりしました。

図録を撮影しているため分かりにくいのですが、ワット・カロンで発掘された磚仏と酷似しています。
解説は「プラ・ヨート・クン・ポーン・パヤオ・ピン・ノック・プラー(・ナン・タイ・トンマイ)」パヤオ様式の磚仏で魚、菩提樹に二羽の鳥がとまっている。ワット・ソッブ・ロン・クイ出土、となっています。
「プラ・ヨット・クン・ポーン」は仏陀の様式を表す、北部独特の呼称で、パヤオについては、造られた土地を示し、カロン、ナーン等と変化するそうです。
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ワット・リーを訪れたのは、やはり図録の目次ページや他ページの背景に印刷された宗教画が気になったからです。
ナーン北部のタ・ワン・パーにある「ワット・ノンブア」の壁画に酷似しているため見たかったのですが、博物館の受付で、図録を見せてどこにあるか尋ねると、現在修復に出しているとの返事です。僕は壁画だと思っているから詳しく尋ねると、1メートル四方ぐらいの布に描かれた宗教画だと言うことが判りました。タイで1人に聞いて納得するのは大変危険で、本堂にいた僧侶に確認すると、現在新しい博物館を建設中で、開館に合わせて芸術局に依頼して修復中だと言うことが分かりました。

額装された宗教画は、宿泊したナーンのホテルに掲げられていたものです。図録に用いられている絵柄と全く同じです。ホテルの従業員に尋ねると「ワット・ノンブアの壁画」だと言います。



ホテルの部屋に飾られていた宗教画です。
ワット・ノンブアの礼拝堂入口の上に書かれた壁画です。この上方に横たわる仏陀とインドラ神が描かれています。

ワット・ノンブアの壁画です。ということで、ますます気になるワット・リーの布絵です。
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ワット・リーの西門です。

仏塔です。



礼拝堂です。扉は施錠されていたのですが、堂内にもしや壁画が、と気になったので僧侶にお願いして扉を開けていただきました。

新しい建物で堂内には仏像以外何もなく、取敢えずお参りをしました。

ウィアン・パヤオ(ワット・リー)博物館です。





博物館内部は撮影禁止ですが、案内の小僧さんに勉強のために、などと適当な口実で無理やり何枚か撮影させていただきました。

展示されている陶器を見るとメー・カチャーンで生産されたカロンが以外に多いことに気付きます。(右端の青磁瓶はパーン窯です。)
メー・カチャンを流れるメー・ラオ川は、北上してチェンライへ至り、コック川と合流してチェンセーンでメコン川へ注ぎます。カロンの陶器はメー・ラオ川を利用し、途中から陸路をパヤオやプレーへ運ばれてきたようです。
現在の道路で距離を見ると、メー・カチャンから国道118号線を通って国道1号線の交差点まで85kmです。川の場合だと蛇行が多いので相当距離は延びるでしょう。メー・ラオ川に架かる国道1号線の橋からウィアン・パヤオまで67kmの距離です。

メー・カチャンから山を隔てたワン・ヌアを流れるワン川は南下してランパーン、ターク、カムペーン・ペットへと流れています。
一般にワン・ヌアといえば青磁を指して、知名度も低く現存数も少ない「ワン・ポーン」も含めて「ワン・ヌア」と呼ばれ、青磁以外はカロンと一括りにされていますが、ワン・ヌア区域のカロンも大量に生産されています。ただ、鉄絵に限ればワン・ヌアのバン・ワン・モン一帯の畑に散乱する陶片とカロン一帯の丘陵地に散乱する陶片の絵付けは全く異なる特徴を示しています。

パヤオで焼かれた壺です。何が書かれているのか気になります。

お皿は全てパヤオ窯です。

パヤオ窯の壺の破片です。貼り付けで鹿が表されています。
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写真の陶片はバン・ブアの畑で拾ったものです。双魚や馬などの印花文は多いですが、鉄を押した意匠は初めて見ました。絵柄は尻尾が長く虎のようにも見えます。
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博物館内部です。小僧さんが写真撮影はダメと言うのに、「ここだけ。ここだけ。」と言いながらたくさん撮影したので、だいぶ機嫌が悪いようです。

「仏像の写真が写したければ外にたくさんある。」と言われた博物館横の軒下です。ウィアン・パヤオで発掘された大小の石仏で埋め尽くされています。



建築中の新博物館です。

ワット・リーの東門を出て周辺を歩いてみます。

門を出てすぐの林の中のを掘り返すとパヤオの特徴を示す縞文、暗緑色の陶片が出てきました。さらに進むと、ウィアン・パヤオの濠、土塁にでます。近くで釣りをしている人に許可をもらい中へ入って行きます。

地図を見るとワット・リーの北に古窯跡が報告されています。

ウィアン・パヤオの遺構です。煉瓦を積み重ねた基礎が残るだけです。



地図に示されていた古窯跡を探しますが、草に覆われて見つけることはできませんでした。


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