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当事者感覚の欠落

2022-04-05 01:36:06 | 日記

Lithuania Cuts Off All Gas Ties With Russia

 

 

 あまり暗いことは書きたくないのだが、やはり今ウクライナで起こっていることの重大性、その結果が及ぼすわれわれの未来への影響を考えるとやはり書かざるを得ない。いまおこっていることは『もしかすると』第三次大戦にむすびつく結構蓋然性の高いことだということが、ロシアの隣国であるリトアニアの大統領であるこの人のインタビューからはっきりと伝わってきた。

 この人が言っている通り、プーチンの野望はウクライナだけでは終わらない。ウクライナがもし(今はその蓋然性が当初ほど高くはないが)もし、ロシアの手に落ちれば、次のターゲットはポーランドやバルト三国だ、という認識が少なくとも東ヨーロッパの指導者の中にあるということがはっきりと伝わってくる。

 

 彼の表情を見てほしい、極めて厳しく切迫性を帯びている、当事者の顔である。
今、当事者とまるで僕があたかも第三者、部外者であるかのように書いたが(この見方が大方の日本人の見方だろうと思う)、実はわれわれ日本人も潜在的な当事者であるということは忘れてはならないだろう。

 なぜなら、『もしウクライナが落ちたら』、すぐにではないにせよ、プーチンの次なるターゲットであるバルト三国やポーランドが非常に危険な状況になる。これらの国はNATOの加盟国である。これらの国がロシアに攻撃されたら、さすがに米国やヨーロッパ諸国も黙ってはいない。直ちに交戦状態となる。


 そこで忘れてはいけないのは、日本はその交戦状態となるアメリカと軍事同盟を結んでいるということだ。つまり、日本も海を挟んですぐ隣にあるロシアとほぼ自動的に交戦状態になるのは自明の理である。第一次大戦も、第二次大戦もすべてその発端は小さな事件、紛争だったが、その国と同盟関係を持つすべての国々が芋ずる式に参戦せざるを得なくなりあれほどの世界大戦となった。

 つまり、これは当然対岸の火事ではない。われわれも潜在的な当事者なのだ。別に恐怖をあおっているのではない、純粋に理屈で考えてそう言っている。
プーチンを止めるにはどうすればいいのか?と聞かれたとき(5分28秒あたり)にこの大統領が答えたことが事の本質をついている。 

 

 最も重要なことはウクライナで起こっているこの戦争をウクライナ軍の勝利に終わらせることです。もしロシア軍が侵略に失敗すればそのことがプーチンをとめる最大の効果、力になるでしょう。われわれにとってもっとも優先度の高いことは、ウクライナでプーチンの意志をくじくことであり、それがウクライナの人々だけでなく、西側の国々に属するすべての人々にとって重要なことになります。
 なぜなら、もしロシアによるウクライナ侵略を止められなければ、プーチンは次のターゲットを探し始めます。そのターゲットとはバルト諸国だけでなく、ほぼすべてのヨーロッパ諸国になるでしょう。(NATOに加盟しているため)

 

 ここでロシアが撤退の憂き目にあえば、プーチンは自信を失い、ウクライナよりもさらに、はるかに強力なNATO全体を相手にすることはなくなるだろう。しかしここでウクライナがもし敗れるようなことがあれば、堤防の堰が切れたようにプーチンは東欧の国々に牙をむいていく蓋然性がかなりあるというこの人の考えに僕も強く共感する。



 そう思わせる第一の根拠は、非常に単純だがしかしそれだけに明瞭な理由、それはプーチンという人の人間性である。僕はこの大統領もそこまで見ておっしゃっていると感じる。

 ロシアでは反体制的なロシアの暗部を暴くような記事を書いてきたジャーナリストが次々と不審な死を遂げてきた。それだけではない、やはり反体制的な政治家が路上で暗殺された事件はつい数年前に起こっていてまだ記憶に新しい。また、つい最近ではやはり反体制的な政治家、ナワリヌイ氏が毒を盛られドイツで治療を受けた後、政治活動を再開するためロシアに戻ったとたんに拘束された。

 こういう話はそれだけではない、イギリスに滞在していた元連邦保安局幹部のリトビネンコ氏も犠牲になっている、しかも彼の場合、普通の毒ではなく放射性物質を使った殺害だった。
 もっと大物では14年前、元ウクライナ大統領ユーシチェンコ氏も親ロシア派の大統領候補と争っているときに毒殺されかかっている。



 これらの暗殺事件のほぼすべての裏側にいるのはプーチンだといわれているし、ぼくもそれはほぼほぼ間違いないと信じている。
現在のロシアというのはそういう国だし、そのトップに立つ指導者、プーチンとはそういう人なのだ。
 バイデンはこの戦争の開戦前、プーチンとの直接対話をせず、ただ侵攻したら徹底的な経済制裁をすると自国から言っていただけだったのは、僕が思うにこれらのことを当然彼も知っているわけで、プーチンという人間に対する非常に強い嫌悪感が背後にあり、彼と直接交渉してでもこの戦争を止めようという気にならなかったのだろうと僕は考えている。
 
 バイデンのその気持ちは僕もわからないでもない。しかし、しかしだ、この戦争がその後にもたらすあまりにも大きな悲劇、惨劇を予想できたにもかかわらず、あえて個人的な感情を優先して、捨て身で止めようとしなかったバイデンの行為は、NATOのリーダーとして、世界最大の超大国のリーダーとしては明らかに失格であるとしか言いようがない。僕はこのことは何度言っても言い足りない。

 

 戦争が始まった後も彼は公の場でプーチンは戦争犯罪者だとか、つぎは化学兵器を使うぞとか、まるでテレビの前で映画をみている人間のようなことを言っている。プーチンは政権の座にとどまるべきではないと発言した時は、さすがにやばいと思ったのだろうホワイトハウス(バイデン政権内部)があわてて、政権転覆を目指しているわけではないと火消しをした。政権内部から公式の場で自国の大統領の発言を修正したということはかなり異例である。

 このおっさん黙らせろ、と思ったに違いない。
もしケネディ大統領であればどうしたか……と思っているのはたぶん僕だけではないと思う。あのキューバ危機のさなか、ぼくは何かで知ったのだが、あの時はまさに核戦争が起こる可能性が本当にあって、ケネディや弟のロバートケネディ(司法長官)は毎日普通のアメリカ市民の顔を胸に浮かべていたという。つまり、『もし』核戦争に発展したら、それらの市民たちの平和な生活は一瞬で終わってしまうという危機感、認識があったからだ。

 

 バイデンにそれだけの危機感、認識があったとは僕には思えない。
しかしもう始まってしまったことを言っても仕方がない。とにかく今は、プーチンの野心を砕くためにウクライナ侵攻を絶対に失敗に終わらせなければならない。

 このインタビューでリトアニアはロシアからのガス輸入を完全に停止したと述べている。リトアニアは他のヨーロッパの国々よりももっと大きくロシアからの輸入に頼ってきたが、それを徐々に減らしていき、今ではロシアに頼らなくてもエネルギーを融通することができるようになったため、今回の決定をしたといっている。もちろん地理的、歴史的なロシアとの関係から、この国にエネルギーを頼るのは危険だと考えたうえでの決断だろう。賢明としか言いようがない。それは今のドイツなどを見ていると特に感じる。

 このインタビューを見てすぐに思ったのは、先日日本政府(経産省)が発表した日本とロシアのエネルギー共同開発をやめないという決定である。
その中で経産省の人物がその理由として、日本は中東にエネルギーの大半を依存しているため、そのリスクを分散するためロシアからの輸入も必要だと考えたからだというものだった。



 僕はそれを聞いておかしくないかと思った。ロシアのあれだけの他国への攻撃性、ウクライナ市民への虐殺(後ろ手に縛られて殺された市民の遺体が路上に放置されている映像は凄惨の極みである)をみても、そして、何よりも日本は北方領土をロシアに占拠されている国である、そんな国にエネルギーをたとえ一滴でも依存することの方がはるかに日本の安全保障上の脅威ではないか。
 
 それとも、経済協力と見返りに北方領土をかえしてもらおうという魂胆、密約でもあるのか?もしあるなら、違法なことをしている国に対して膝を屈して媚びるようなその態度は情けないとしか言いようがない。仮にそのような密約があったとしても、ロシア(プーチン政権)という国の性格を考えれば状況次第で反故にしてくることは想像に難くない。利用だけされて捨てられるのが関の山である。

 それになりよりも、それは同盟国アメリカやウクライナに対する裏切りに等しい。

 中国や韓国に対しては普段あれほど強硬な態度をとる政府、自民党の保守系政治家だが、これは露骨な二重基準であろう。アジアの国々にははっきり物が言えても、白人の国には何も言えないのだろうか?

 エネルギー供給に関しては、ロシア以外の選択肢が必ずあるはずである。ないならそれを作ればいいのだ。日本の技術力があればできないはずはない。そしてそれは日本の将来の大きな、新たな産業となっていく。


 
 ここはロシアに徹底的に侵略の対価を払わせる必要がある。それがなによりのロシア、中国の軍事力発動の抑止力となるからだ。
日本政府はあまりにものんきすぎないか?あるいはもっと恥ずかしいことに、人道的な問題に対してあまりにも無関心すぎないか?あれほどのはらわたがむかつくような国家による犯罪を目の当たりにしても経済が大事なのか?やっぱりエコノミックアニマルなのか?と世界は見るだろう。

 経済?お金?
これから起こることはそれどころではないかもしれないんですよ。

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