R1150RSからR1200GS LCに乗換えてから1年半、これ程時間が経過してから書くインプレも珍しい。と言うのも大体インプレってのはファーストインプレでありその後の印象の変化などがあっても訂正されることもないからだ。1年半で1万8千km ちょうど月平均1000kmはしっいてる計算になる。
GSの前に乗っていたR1150RSジャンルで言えばスポーツツーリング、7年間で6万km乗ったが低速トルクが弱い、重い、セパレートハンドルの前傾姿勢で長距離が年々辛くなってきた。あ~そう前照灯もかなり暗くなってきた。7年も愛車として親しんだオートバイの悪口を書きたい訳ではないのだが・・・ 技術は進歩するもの新しい物にはかなわない、R1200GS LCはこれらを全て解消してくれた。
エンジンはOHCからDOHCになり97PS(馬力)から125PSとパワーアップ、こんなパワー必要ないと思っていたが慣れてくるとオヤジライダーでもやはりこのパワーは必要と思うようになる。低回転時のトルク対策として排気経路に排気圧を調整するバルブが設けられエンジン回転数と負荷に応じて排気管を絞り低速トルクを稼ぎ出すこんな機構が設けられている(ひとつ前の型から新設された)。しかし、それはR1150RSとの比較であって1stギアでトコトコと安心して走れるものではない。これはショートストロークのボクサーエンジンの宿命なのだろうか。
もう一つエンジンに付いて書くとすれば、エンジンのかかりがスコブル良い事だ。スタータ・ボタンを押すとほぼ同時に排気音がマフラーから轟く感じなのだこれは気分が良い。スタータ・モータの回りも軽やかそのもの『グビッグビッ』と苦し気に回る前のエンジンとは違う。エンジン始動時の圧縮行程においてコンプレッション(圧縮抵抗)が高くならない様にバルブを全閉にしないデコンプ機構が設けられているからだ。遠心力を応用したオートデコンプなのでエンジンがかかってしまえば通常の動きに戻る。
R1200R,R1200STがテレスコピックサスに変更になる中、GSはテレレバーを残しつつ車重の軽量化を図っており停車時の取り回し等はとても楽になっている(足付を除いては)。軽量化した事により車体の剛性は若干犠牲になっているが走行性能に影響を及ぼしてはいない(一般的走行に於いて)。BMWの優れた特性のひとつであるタイトなワインディングでもひらひらとクリアするあの感じも一段と増している、勿論これはキャスター角やトレール値がハンドリング特性を決定づける。発進時や停止時のふらつきはR1150RSに比べれば顕著だ。
アップライトなポジションはやはり楽だ、前傾姿勢のR1150RSでは手首、肘、肩が痛くなるがGSでは痛くならない、ともかくロングツーリングは楽だ。前傾姿勢では腰への荷重が分散されるがアップライトなポジションでは腰への負担が大きく腰が痛くなると言うライダーもいるが、私の場合は今のところそれはない。ロングツーリングが楽な理由はそれだけではない積載荷重に合わせてリヤサスのスプリング調整と走行状態と好みに合わせてダンパーの硬さ調整がハンドルのボタンで出来る事だ。オートバイを止めて工具などで調整する必要が無いのだから適切なサスペンション調整が随時出来てしまう(スプリング調整は信号など停車時のみ)ことと、車速と路面状態等に応じて最適に調整してくれる機構が備わっているからだろう。ロングツーリングでは体が疲れてくると凸凹路面が辛い、そんな時はダンパーをSOFTに切り替えている。
兎にも角にも技術革新の恩恵はオヤジライダーにとってはありがたい。そうそうクラッチなんかも軽いこと軽いこと!! 湿式多板のスリッパ―クラッチになっているからバネが弱くても滑らないのだ。ただギアが入ったままクラッチレバーを握って車体を押す場合抵抗感があって重い。
ここまで良い事ずくめだが、気になる事が幾つかある、排気音はオートバイの魅力のひとつでR1150RSの場合はその魅力に大いに欠けていた。GSの排気音は大きい、加速時の野太い適度な轟音、減速時のバンバンという破裂音オートバイらしい。排気音としては気に入っているがツーリングで1日中この音を聞いていると嫌になってくるし、その日からしばらく耳鳴りが止まらないのだ。耳が敏感な私に限ってのことだが対策として耳栓をしているのだ。勿論ナビからのガイド音声はBluetoot Headsetを介してボリューム最大で充分聞こえる。
次にGSに乗る場合の最大の悩みの種となっているのは・・・ 小型車でもスクーターでも足付性の問題は付きまとうものだがGSの場合は特に悩ましい。コンセプトに忠実な設計であるが故いや欧米人の体格に合わせているからだ。シート高、ステップ高が高い、シート高は850mm-870mm(プレミアムライン)と2段階調整が可能、20mmとは言え低い設定にすれば足付はかなり良くなるが今度は膝曲がりがキツくなて膝が痛くなる。GSライダーがステップにダートでもないのにプレーリードッグのように突っ立って走る姿を見たことがあるだろう、あれは前方の道路状況の確認などをしているのではない膝を伸ばして痛みの解消する動作なのだ。
その対策として2つの事をやってみた。
一つ目はステップレベルを低くする事。『パインツマイヤー・カンパニー』のHPで見つけたワンダーリッヒVarioフットレストシステム、3個の部品で構成するシステムでプレートアダプターという部品を変える事で23mm、30mm、50mmとレベルを下げることが出来る。30mm用を買って付けたが失敗!! ステップとブレーキペダル、ギヤシフトペダルのレベルは適切な相関関係があるのにブレーキペダルは調整不可、シフトペダルは調整出来るがレンジが狭く適切な相関関係が作り出せなかった、しかもサイドスタンドの蹴飛ばし突起がステップレベルの上に来てしまった。20mmを追加購入し現在これでほぼ満足しているが、GSの場合このシステムは足を乗せる位置が外側へ20mmズレるので各ペダル共つま先から遠ざかる方向にあり掛かり外れの可能性が高くなる。さりとて充分に慣れた今は違和感はなく快適なツーリングに貢献してくれている。ダート走行には間違いなく不適当泥が付いたら滑る。
追記 2020-02-07
靴底の溝が浅いツーリングブーツで泥が付くと滑る、しかしアドベンチャー仕様の靴底がブロックパターンものであれば滑らないので問題なし。
参考記事 『ライディング・ブーツ買いました』
マウントアダプター
プレートアダプター
マウントアダプター11,000円+プレートアダプター8,500円+フットレスペグ9,400円=28,900円で済むところプレートアダプターを追加購入したので37,400円もかかってしまった (>_<) 。
その後で見つけたローダウンステップ
ワンダーリッヒ25mmローダウン これなら足を乗せる位置が外側へ行かないのでより理想的だ。先に見つけていればこれを買ったのに残念!! 参考までにお値段30,000円。
アールズギア 12mmローダウン
こんなアジャスタブル・ペダルが欲しくなる。
ツラーテック アジャスタブルブレーキペダル 詳細は分からないがペダルが外側へ出せると理想的だ。
ワンダーリッヒ アジャスタブル・シフトペダル ステップとの安全で理想的な位置関係を作り出す為にはこんなパーツの必要性も・・・
そして次なる対策は・・・ シート!!
K&Hの『スタンダードシート』という商品名のシート。シート高は前方の腿(もも)の当たる両サイドの幅を狭くし足付性を良くしている。埼玉に工場を訪ね試乗したが確かに足付は良いし安定感はある。だけどもウレタンが硬目なのが気になり購入は断念(お値段56,100円)。
右はスタンダード・シート、左は河名シート製作所で改造したシート。写真では違いは分り難いが改造したシートは高さはスタンダードとほぼ同じだが、中央から前方にかけて両側面のウレタンが削り取られ幅狭になっている。つまりシート高を変えることなく足付性を良くしている訳だ。
ツーリングで一緒になった同じGSに乗る方のシートがこの改造シートで跨ると確かに良い感じがした、またネット情報でも河名シート製作所の改造シートの絶賛情報などもあり迷わず改造を実行。改造加工から戻って来たシートを早速試乗、確かに足付性は良いが、尻が痛い、座っていて安定感がない。残念ながらこの改造は失敗であった、痛い尻は肛門の少し前部で体型は人それぞれ痛みを感じるのは私だけかもしれないが・・・ 考えてみれば安定感がないのは当たり前だ、平らな部分が少なくなっているのだから。ツーリングでは間違いなく疲れがきつくなるだろう、という事でヤフオクで程度の良い中古純正スタンダードシートを購入した。(改造費送料込みの28,500円+中古純正シート18,000円=46,500円高い買い物になってしまった)
試行錯誤した結果として得られたものは純正シートが一番という事だった(>_<)。
GS購入前の選択肢としてはローダウン仕様がある、これなら足付性は良いしステップ位置も低くなるので膝の曲がりも楽になる。だが、ポニーに大人が跨っている様で格好が悪い。身長178cm今は経年変化で175cm位になっているかもしれないが、R1200GS LC この位の身長があれば足付性など心配することはない。
総合評価としては、乗るのが楽しくなる素晴らしいオートバイだ。
追記 2018-12-16 ロアーディフレクター(Pugi)
寄る年波のせいか冬場のツーリングが身に堪えるようになってきた。前に乗っていたR1150RSよりは走行風の体への影響は大きい、スクリーンの大きさ、膝を隠すタンクのふくらみ、ライディング・ポジションなどデュアルパーパスのGSでは高い防風効果を求めるのは限界がある。幸いにもBMW Motorradで最も販売台数が多いGS/GS アドベンチャーは多くのサードパーティーからカスタムパーツが売り出されているのがありがたい。
Pugi(プーチ)のロアーディフレクターを取付けました。膝、太腿への風当たりは軽減され高速道路の長時間走行でも足の冷えは大分軽くなるはずだ。参考記事 BMW 1200GSLC冬の防風対策
巨大な燃料タンクを持つアドベンチャーであれば膝、腰などへ当たる風は相当少ないはず。
追記 2019-03-03 BMW1250GS 試乗
2018年のマイナーチェンジそして2019年の1250GSへとモデルチェンジ、この間の仕様変更で益々乗り易いGSへと進化したと思う。日本仕様はローダウンとなり足付きの不安は解消され、エンジン特性の変更で低速トルク向上で低速走行時の安定感が増した、この2点の変更はGSファンを増々増やす事になるだろう。