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中上健次『枯木灘』1980・河出文庫-若き日の読書を再び体験して

2024年05月25日 | 小説を読む

 たぶん2017年のブログです

     *

 中上健次さんの『枯木灘』をすごく久しぶりに再び読んでみました。

 前に読んだのは、はっきりはしませんが、学生の時か、就職をしてすぐの頃、いずれにしても今から40年くらい前のことになります。

 今回は、いつもおじゃまをしている精神科デイケアのあるメンバーさんが中上さんの大フアンで、『枯木灘』の文庫本を貸してくださったので、読んでみることにしました。

 前に読んだ時は、なにかドロドロとした小説、という印象を若き日のじーじは抱いたのですが、今回、久しぶりに読んでみると、まずは中上さんの日本語の確かさに感心をさせられました。

 日本語がきちんとしていますし、美しいと思います。

 40年近く、書類を読み、書類を書く仕事を続け、専門書や小説を読んできた経験が、一応、中上さんの文体のすごさを見極められるようにしてくれたようです。

 小説の登場人物やその人間関係は、確かにドロドロとしているのですが、じーじが年を取ったせいか、家裁の仕事でもっとドロドロした人間関係を見てきたせいか、あまり驚かないのも意外でした。

 むしろ、ギリシア神話のように、こういうこともあるよな、ああいうこともありそうだな、と、人間模様がよく描かれている印象を受けます。

 それだけ、普遍的で、深さのある小説なのだろうと思います。

 今回、強く感じたのは、これもじーじが年を取ったせいか、登場人物のエネルギッシュなところ。

 いずれの人物も、熱く、うらやましいようです。

 さらにもう一つは、自然との一体感。

 紀州の自然のすばらしさもすごいですし、土方の仕事をしていて土と一体になっているかのような主人公もすばらしいと感じました。

 メンバーさんのおかげで、いい小説を再び読めたことに感謝したいと思います。     (2017?記)

     *

 2024年5月の追記です

 このブログを書いてからもう7年が経ったのですね。早い!早い!

 ブログを検索すると、中上さんの小説の感想文がコンスタントに載せられていて、びっくりします。

 決してすごくメジャーな小説家さんというわけではないと思うのですが(中上さん、ごめんなさい)、やはり存在感のある作家さんなのだと思いますね。    (2024.5 記)

 


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