ロビンソン本を読む

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花びらとその他の不穏な物語

2023-08-06 15:53:40 | 読書
  グアダルーペ・ネッテル『花びらとその他の不穏な物語』



 ぼくは○○が好きだ。

 人には言えない好きなものは、きっと誰にでもあるだろう。

 それが、他人の体の特定の部位だとしたら、なおのこと口には出せない。


 少女のまぶたの写真を撮り、「夢見るようなみだらな」ものと感じるプロカメラマンの男。

 女性の尿の匂いを嗅ぎ、どんな人なのか想像する男。

 この小説集に登場する人のフェティシズムに、嫌悪感を抱く。

 気に入った尿の匂いの持ち主を探して、レストランのトイレを巡る男の行動は引いてしまう。

 犯罪じゃん、変態! 

 しかし、これがフェチというもの。

 異常な行動なのに、美しく繊細な文章で綴られると、崇高なことのようにも見えてしまう。

 こんな小説を愛でるぼくも、フェチに違いない。

 でも人には言えない。

 ○○のことは絶対に。


 装画は澤井昌平氏、装丁は桜井雄一郎氏。(2023)