ピーター・スワンソン『時計仕掛けの恋人』
10代の頃に付き合った恋人は、きっと一生忘れられないだろう。
年月が経てば、若さゆえの恥ずかしい行動が懐かしくなる。
大事な青春の思い出として心にしまう。
39歳のジョージの悲劇は、学生時代に付き合っていたリアナのことが頭から離れないことだ。
大人になって、付かず離れずの女性はいるのに、偶然バーでリアナを見かけると居ても立ってもいられなくなる。
過去に彼女からひどい仕打ちを受けたというのに。
おそらく彼女は犯罪を犯しているのに。
もしかしたら人を殺しているかもしれないのに。
昔好きだった人の姿を何年も経って見るとき、不思議なフィルターがかかってしまうのだと思う。
年を取った、でも相変わらず可愛い、素敵だと。
ジョージの行動が理解できてしまうのは、きっとぼくも同じことをしたと感じるからだ。
男ってバカなのか?
装丁はalbireo+nimayuma。(2023)