やはり、晴れていたのは朝の内だけだった。
チャンスを逃すまいと早起きしたのは、大正解。
久しぶりの散歩に鼻息荒い愛犬「りくすけ」のリードを引き歩き出すと、
そこには、幾つもの出会いが待っていた。
最初は「トンボ」。
なかなか警戒心が強く、接写は叶わなかったが、
黒色で、腹の上部だけが白いのが見て取れる。
白い部分が空いているように見える事から付いた名前は「コシアキ(腰空き)トンボ」。
割合早いうち(5月末~6月初旬)から飛び回る姿を見かけるが、
個人的には今年初の遭遇である。
蝉の声はまだ聞こえない今、トンボは、夏到来を告げる虫だ。
次に「ツバメ」。
トンボ同様、夏を告げる渡り鳥の代表格。
レイニーシーズンの彼らの飛行高度は低い。
エサになる小さい羽虫は、低気圧が近づいて空気中の湿度が高くなると、
湿気、水分が羽について体が重くなり、高く飛べない。
それを追うツバメも低く飛ぶ道理だ。
帰還した親鳥は、巣の中に首を突っ込んでいる。
ヒナに食べ物を与えているのだ。
3つ目は「アマガエル」。
雨の前後、オスは「グエッグエッグエッ」と大きな声で鳴くから「雨蛙」。
画像のような草叢では緑色。
小さな体に似合わぬ大食漢で、雑食である。
土が剥き出しになった所では茶色に。
周囲の環境に合わせて体色を変える“忍者”だ。
最後は「ホモ・サピエンス」。
津幡町役場付近に差し掛かった辺りで、声をかけられた。
「すいませーん」
「今、津幡町の広報番組を撮影しているんですが、地元の方ですか?」
「少しお時間よろしいですか?!」
物事は、いつも突然やって来る。
そう覚悟している僕は、快諾した。
人気のない早朝、しかも空が泣き出す前にと気を揉みながら仕事をする彼等に対する、
助太刀の意味もあると考えたからだ。
さて、カメラが回り始め、おおよそ以下のようなやり取りをする。
Q:津幡町のいいトコロは?
A:近年は様々なインフラが整い、スーパーなどの商業施設も増えた。
県中央部にあり、能登にも加賀にも県外へもアクセスがしやすい。
自然には事欠かず、それなりに便利。
バランスのいい町だと思う。
Q:これからどんな町になって欲しい?
A:少子高齢化、人口減少は避けられない運命だが、
公共サービスを維持し、暮らしやすい町政を期待したい。
その為にも基幹産業の確立を望む。
Q:最近はインバウンド・・・外国人観光客も増えている。津幡町をアピールするとしたら?
A:難しい。
観光資源に乏しい町だ。
かつては宿場町として栄えたと聞く。
源平~戦国にかけて城(砦)もあった。
しかし、残念ながら遺構が殆ど残っていない。
対外的に、また後世に、歴史を伝える何かが出来ればいいと思う。
「れきしる」は、その一歩だと思う。
・・・オッサンの画が使い物になればいいが。
ロケ隊の皆様、お疲れ様です。