拙ブログの不定期連載『手すさびにて候』は、今投稿で242回を数える。
お絵描きの好きなオジサン(僕)が、あるテーマに基づき手描きしたイラストと文を披露。
それは私的な趣味の発露であり、個人的には大いに楽しんで作成しているのだが、
最近、気になる点がある。
--- 長い。
話題の選定が偏るのは仕方がない。
コレは個人ブログだから。
だが長文に過ぎるのは、読み手に対し不謹慎・不親切なのではないか?
文章量が多くなるのは内容の充実を図りたい一心からではあるが、
もう少し簡潔にした方が、より良い読後感に浸ってもらえるのではないか?
そう考え今回は「いつもより短くを心掛け」つつ、
最後に音楽を楽しんでもらう趣向としてみた。
どうか、時間と都合がつけばお付き合いくださいませ。
ほんの手すさび 手慰み。
不定期イラスト連載 第二百四十二弾「ヘレン・メリル」。
「ヘレン・メリル」は、昭和4年(1929年)クロアチア移民の両親の元、
ニューヨーク マンハッタン島の北、ブロンクス地区に生まれた。
初舞台は14歳の時。
地元のジャズ・クラブで歌うようになる。
当時、多くの大都市が戦火に見舞われる中、一切攻撃を受けなかったニューヨーク。
やがて戦後、パリ以上の芸術の都、ロンドンを上回る商業の中心地として、
世界の首都と呼ぶに相応しい威容と経済力を誇っていた。
そんな大都会だから、音楽・エンタメも盛ん。
若くして「マイルス・デイビス」や「ディジー・ガレスビー」、「バド・パウエル」ら、
ジャズの巨人達との共演を経験し、歌声に磨きをかけてゆく「ヘレン」。
最大の特徴にして魅力は“ニューヨークのため息”と称されるハスキーボイスである。
それは、ジャズのルーツの1つ、アフリカ系シンガーとは異なる持ち味。
恵まれた体格(声帯)が産み出す声量スケールや、
黒い肌の出自と歴史に裏打ちされた哀愁では及ばない。
しかし、湿度を孕んだようなウェットな情感を武器に、彼女は注目を集める。
名前が広く音楽ファンに知れ渡ったのは1955年リリースのアルバム、
『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』。
そこに収められている曲こそ、今投稿の眼目。
即ち『 You’d Be So Nice To Come Home To 』。
(ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ)
作詞作曲は、アメリカエンタメ界を代表する音楽家「コール・ポーター」。
『 I’ve Got You Under My Skin 』。
『 Lave For Sale 』。
『 Night And Day 』。
『 Begin the Beguine 』など数々のスタンダードナンバーを手掛けた天才による曲、
『 You’d Be--- 』は、概ねこんな内容。
<君の待つ家に帰れたら。
暖炉のそばに君がいてくれたらそれでいい。
空でそよ風が子守唄を奏でていても僕の望みは同じ。
凍てつく冬の星の下でも、灼けつく真夏の月の下でも。
You’d be paradise to come home to and love.
愛する君がいる場所、そこは天上の楽園に等しい>
(※意訳/りくすけ)
元々は、1943年に公開された映画の劇中歌。
つまり時は大戦下。
ロシアの星が瞬く凍ていた夜空の下で凍えながら、
月が照らす太平洋の島のジャングルで怯えながら。
遠い異国の戦場に身を置く愛する人と引き離された銃後のアメリカで、
『 You’d Be--- 』は共感を呼んだ。
ウクライナ-ロシア。
イスラエル-パレスチナ。
2つの戦争が続く2024年の秋の夜長だ(投稿時)。
耳を傾けてみてはいかがだろうか。
Helen Merrill / You'd Be So Nice to Come Home To [with Lyrics]]