紺碧の空。
山裾から覗く、白い入道雲。
射るような陽光。
顎から滴る汗を拭う直立不動の人々。
ラジオから、ノイズ混じりに流れてきた「現人神」の声。
『朕深ク世界ノ大勢ト 帝国ノ現状トニ鑑ミ
非常ノ措置ヲ以テ 時局ヲ収拾セムト欲シ
茲ニ忠良ナル爾臣民ニ告ク
朕ハ帝国政府ヲシテ 米英支蘇四国ニ対シ
其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨 通告セシメタリ・・・』
降り注ぐ蝉時雨に、すすり泣きが重なった。
昭和20年8月15日。
多くの戦後生まれの日本人が、敗戦を知った時の状況に、
そんな印象を抱いているのではないだろうか。
しかし、過去の気象情報を紐解いてみると、お天気は色々。
74年前当日の関東・信越以西は広く晴れているが、
東北の太平洋側・北海道は曇天で、小雨交じりの地域もあった。
「晴天の下、灼熱の中の終戦」は、映画や漫画・小説などのシーンとして、
後年、繰り返し刷り込まれた心象風景なのかもしれない。
そして、想像する。
あの日の夕焼けを。
正午に「青天の霹靂」を迎えた後、
先達たちは、どんな気持ちで夕陽を見つめたのだろう。
落ちてゆく今日を、どんな表情で見送ったのだろうか。
焦土に立ち、紅の空にどんな明日を思い描いたのかと。
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