住まいは、大英帝国の首都・ロンドン ベーカー街221B。
天才的な観察眼と推理力。
毒物や薬品の豊富な知識を持ち、変装術、射撃の腕前に優れる。
ボクシングと日本武術を嗜み、趣味はバイオリン演奏。
「シャーロック・ホームズ」は、名探偵の代名詞だ。
「コナン・ドイル」が世に送り出してから130年以上が経つ今も、
世界中に“シャーロキアン”と呼ばれる熱狂的なファンや研究者がいる。
僕も小学生の頃、その魅力にハマった一人だ。
確か学級文庫から手に取ったのは、
「偕成社」出版の「名探偵ホームズ全集」だったと思う。
その内容を事細かく記憶している訳ではないが、
興奮と驚き、感嘆を以て、頁をめくった事は覚えている。
そして、忘れられないのが今拙作。
ほんの手すさび、手慰み。
不定期イラスト連載、第百十七弾「ぶな屋敷の怪」。
依頼人は、若い女性。
名前を「バイオレット・ハンター」という。
質素だが小ぎれいな身なり。
明るく機敏な顔立ちに、美しい金髪を束ね上げている。
彼女は、魅力的だが奇妙な誘いを受け、思い悩んでいた。
職種は「ぶな屋敷」と呼ばれる邸宅での住込み家庭教師。
報酬は、年棒100ポンド。
当時、一般労働者の年収が70ポンド余だから、破格と言える。
但し、自慢の髪をショートカットにする事が、雇用の条件・・・。
一度は謝絶するものの、再考を求める手紙に心が揺らぐ。
そこには、給与を20%アップするとの提示があったからだ。
薄気味悪さを抑えきれない「バイオレット」は、名探偵に調査を依頼した。
その後の顛末は、原典に譲る。
やはり、ウマい話には裏があった。
さて、まだ少年だった僕の心を搔き立てたのは、
原典に描写のない「髪切シーン」。
依頼を受ける決心をした彼女は、独り自室で髪を切ったはず。
“女の命”と形容される金髪にハサミを入れる瞬間、
きっと、覚悟を決めて臨んだに違いない。
押しつぶされそうな不安に抗い、目を見開き、歯を食いしばり、
鏡の中の自分を凝視していたに違いない。
そんな光景を妄想し、女性の強さと怖さを覗き見た気がした。
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