与党に脅威「オリーブの木」/政界地獄耳
第267回UIチャンネル 時事放談 孫崎享(元外務省国際情報局局長)×鳩山友紀夫
辺野古基地問題 民意再び無視するのか
知事選で示された沖縄の民意を再び無視するのか。名護市辺野古への米軍新基地建設を巡り、県が行った沿岸埋め立て承認撤回への対抗措置。政府は対立を解く責任は自らにあると考え直すべきだ。辺野古埋め立て承認の撤回は、翁長雄志前知事が亡くなる直前に最後の力を振り絞って方針を表明。県が八月末に実行した。九月末の知事選の結果、翁長氏の後継を掲げた玉城デニー氏が、政府与党支援候補を相手に過去最多得票で大勝し、県民は翁長氏の判断を支持した形となった。安倍晋三首相は十二日、知事就任から八日という異例の早さで玉城氏と会談し、沖縄側の要望を聞いた。玉城氏はこの場で、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対することが沖縄の民意だと明言。首相は新基地建設の立場は不変としつつも、冒頭では満面の笑みで知事就任に祝意を伝え、沖縄に在日米軍施設の七割が集中する現状を「到底是認できない。県民の気持ちに寄り添いながら、負担軽減に向け成果を出す」と述べたという。しかし、きのう防衛省は国土交通相に撤回の効力停止などを申し立てた。一方的な対話打ち切りだ。政府内で不服申し立てから審査まで行うやり方も批判を呼ぼう。県民の気持ちに寄り添うとは本来、政府の決定を押しつけるのではなく、県民の意向を尊重する形で基地の在り方を見直すこと。米側との協議も必要だ。二十二年も前の一九九六年に日米合意された辺野古移設は今も妥当なのか。普天間飛行場を閉鎖しても、在沖縄海兵隊の国外、県外への機能分散などにより抑止力維持は可能ではないか、といった論点は多い。米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は、知事選直後「沖縄の米軍駐留を減らすために」と題した社説を掲載し「日米両政府は妥協案を探るときだ」と訴えた。きのうを境に、政府と沖縄県は辺野古移設問題で再び法廷闘争に突入するとみられる。埋め立て承認の取り消しを行った翁長県政時代も、裁判での両者の争いは一年余り続いた。仮に前回と同じく国の勝訴で終わったとしても、県側が今回の撤回理由に挙げた現場の軟弱地盤改良工事などには知事の新たな承認が必要で、玉城氏が拒めば対立は延々と続く。選挙を経て、ボールは政府側にある。必要なのは誠意ある姿勢と決断だ。普天間飛行場の危険性を取り除くためにも、一日も早く合意点を見いだすよう望む。
政府、沖縄県に対抗措置 玉城氏「民意踏みにじる」
【右】沖縄県への対抗措置を表明する脳無し在庫処理の岩屋防衛相
米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)への移設に伴う新基地建設を巡り、防衛省沖縄防衛局は十七日、辺野古沖の埋め立て承認を県が撤回したことに対抗措置を取った。岩屋毅防衛相が発表した。行政不服審査法に基づく不服審査請求に加え、撤回の効力停止を石井啓一国土交通相に申し立てた。沖縄県の玉城(たまき)デニー知事は「知事選で示された民意を踏みにじるもので、到底認められない」と反発した。 玉城氏は政府との対話を求めていたが、安倍政権が対抗措置を講じたことで、国と県が再び法廷で争う可能性がある。岩屋氏は、九月末の知事選で示された民意を「真摯(しんし)に受け止めなければいけない」としながらも、抑止力維持と沖縄の負担軽減の必要性を挙げ「大きな目的を達成するために前に進めたい」と記者団に述べた。←オウム返し
不服審査請求は同じ政府の国交相が審査するため、沖縄防衛局の申し立てを認める裁決を出す可能性が高い。効力停止の申し立ては今月中にも結論が出る見通しだ。認められれば、不服審査請求に対する裁決まで撤回の効力は失われる。玉城氏は県庁で記者団に「行政不服審査法は国民の権利救済が目的で、趣旨をねじ曲げた法治国家としてあるまじき行為だ」と批判した。効力停止に関しては「認められた場合、内閣の自作自演の極めて不当な決定だ」と語った。県による承認撤回に対しては、政府が裁判所に取り消しを求める訴訟を起こすこともできた。岩屋氏は「行政不服審査法は、できるだけ迅速に問題に答えを出すために用意されている」と指摘。訴訟よりも早い結論を得るために不服審査請求をしたと説明した。沖縄県は八月三十一日、元知事が出した埋め立て承認を撤回した。政府は法的根拠を失い、工事は中断していた。政府は国交相が効力停止を決定後、速やかに工事を再開する方針。県は訴訟を辞さない構えだ。<出来るならやってみろ!>
![]() |
◆本来は国民の権利救済目的
沖縄県知事選で新基地建設に反対する民意が示されたにもかかわらず、安倍政権は約半月後、埋め立て承認を撤回した県に対抗措置を取った。玉城デニー知事が求める対話にも応じる構えを見せていない。民意を軽視する姿勢は、行政不服審査法に基づく不服審査請求という手法にも表れている。不服審査請求は、国民の権利、利益の救済を図ることが目的で、行政機関同士の争いは想定されていない。防衛省は、工事中断に伴う損害が発生していることを理由に申し立てたと説明する。だが、同じ政府に属する国交相が申請の可否を判断することは「原告と裁判官が同じという、全くおかしな対応」(成蹊大法科大学院・武田真一郎教授)との批判を免れない。沖縄県が二〇一五年に埋め立て承認を取り消した際も、防衛省は「私人」の立場で、国交相に不服審査請求をした。当時の翁長雄志知事は「同じ内閣の一員への審査請求は不当だ」と非難し、結局は国と県の法廷闘争に発展した。知事選で新基地反対の民意を再び突き付けられても、安倍政権は同じことを繰り返そうとしている。 (中根政人)
- 辺野古 国が対抗措置/沖縄県の承認撤回停止狙う/防衛局 法の趣旨ねじ曲げ悪用
- 辺野古 国が対抗措置/「法治国家にあるまじき行為」/デニー知事が強く非難
- 参院選共闘へ真剣な協議を/小池書記局長が野党各党へ申し入れ
- 16歳藤井七段 新人王/将棋 31年ぶり最年少更新
- 米政府 対日交渉開始 議会へ通告/「TAG」の用語なく包括的協定狙う
- 安倍政治の根本ただす国会に/国対会談 野党「十分な審議を」
- 臨時国会 結束して奮闘/5野党1会派党首確認
- 辺野古埋め立て 対抗措置/国民の権利守る制度乱用、自作自演の茶番劇と批判/会見で小池書記局長
- 辺野古埋め立て 対抗措置/民主主義 破壊するもの/防衛省に野党
- 理論交流会議 終わる/日越共産党 活発に議論
- 新基地ノーの民意、県都で/那覇市長選 城間さん“デニー知事と歩む”/「オール沖縄」街頭大演説
- オール沖縄の魂で県都の誇りある新時代を/金城徹元那覇市議会議長に聞く
- 増税・改憲の安倍政権倒そう/東京・中央 小池書記局長訴え
- 国際ペン決議により核のない世界を/日本ペンクラブ声明