小沢一郎 共産とれいわが一緒に「野党連合軍」で戦う意味
残り任期1年10カ月となった衆院は、2020年に解散総選挙となる可能性が高い。私物化と腐敗を極める安倍政権を倒す一大チャンスだ。ここへきて、立憲民主党や国民民主党などの合流の動きが加速しているが、有権者の期待を集める受け皿になり得るのか。長年「野党結集」を主張してきた「政界の勝負師」を直撃した。
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――「桜を見る会」疑惑など、臨時国会で安倍政権の問題が一気に噴出したように思います。
権力の乱用・私物化は今に始まった話じゃない。あまりに酷すぎて論評に値しないほどだけど、最大の問題は安倍首相が「嘘つき」だということ。嘘をついても平気、良心がとがめない。その結果、日本人の最も美徳とする「真面目で正直で礼儀正しく一生懸命働く」という道義心・倫理観を否定し、破壊してしまった。安倍内閣の一番の罪悪だ。
――現状ではそれが許され、歴代最長政権となりました。
大きな原因は野党が受け皿をつくれていないことだが、根底にあるのは国民の意識だ。日本人は自立していないうえ、「和をもって貴しとなす」という、何事も波風立てないようにするという美徳が悪い意味で働いている。そういう日本人の特性と安倍さんの嘘つきが相まって、現状維持につながっているんだと思う。若い人ほど現状維持派だというのはシンボリックだ。若いうちはより良きもの、理想に向かって情熱を燃やすものなのに。
――しかし、そんな安倍政権もいよいよグラついてきたのでは?
そう、僕は持たないと思う。「桜を見る会」の問題だけではなく、つい最近も総務省の事務次官が情報漏洩で辞めたりと、役人の倫理観や使命感がなくなってしまった。一番偉い人が勝手なことをしているんだから、という話だろうが、そろそろ限界だ。年明けの通常国会は予算委員会がある。だから(安倍首相が出席したくないから)解散説が流れているんだろうが、解散できないよ。政治状況を考えれば自民も公明も反対する。ただ、殿ご乱心ということもあるからね。

合併反対は万年野党でいいということ
――そうなるとますます野党の受け皿が重要です。立憲民主党と国民民主党で合流の協議が続いています。小沢さんは「(2019)年内に新党」と言っていました。
事実上はできると思う。手続きは年明けでも。年内に両党の合意に至ることを期待している。
――小沢さんはずっと「野党結集」を呼びかけてきましたが、期待通りに進んでいますか。
最初は「統一会派もどうせできっこない」と大きなメディアは言ってたけど、結局、できた。今度も「党の合併なんてできっこない」って言ってるが、両者が知恵を出して天下を見れば、合併する以外ない。合併に反対する人は、一体何をしたいのか? 政権を取って自分たちの政策を実現するのが政党・政治家の使命。まずは政権を取ることこそ、政党や政治家にとって大事。しかし、いまのままでは絶対に取れない。合併してひとつにならなきゃならないのは子供でも分かる話だ。嫌だと言うのは、万年野党でいいということになる。
――共産党とれいわ新選組とはどうなりますか。
太郎くんは以前、「野党が統一されたら一緒にやります」と言ってたから、合併に加わるかどうかは別として一緒にやることになるだろう。共産党も同じで、いま合併するわけにはいかない。選挙区のすみ分けで、「野党連合軍」になるだろう。
――れいわは「消費税5%」を野党と一緒にやる条件にしています。
5%ですぐに全員一致とはならないだろうが、そこは知恵の出しようだと思う。消費税の制度に「経済条項(景気条項)」を盛り込んだらいい。景気の悪い時、例えば成長率が何%まで落ち込んだら消費税を下げる、という選択ができるようにすればいい。
――知恵の出し方によっては、れいわも一緒にやれると。
そう思う。太郎くんがどう考えるかだけどね。参院選でれいわに行った票は、野党の受け皿がなかったからだ。野党がひとつになったらそうはいかない。それは太郎くんにも言ってある。だから、一緒にやった方がいいし、こっちも一緒にやろうと声を掛けたらいいと思う。
――受け皿ができた後は、「思い切ったマニフェストが必要」とのことでした。
財政の考え方を根本的に変えなきゃいけない。財務省の言う「財政健全化」の論理をずっと守っていたんじゃ、日本経済はいつまで経っても良くならない。社会保障費が増える中で、赤字国債は出さないとなると他の経費を削るしかないが、それでも社会保障費が出せないという現実があるから、結局、縮小均衡になってしまう。一方で、日銀はジャブジャブと株まで買って、メチャクチャやっている。そんなお金があるなら、一般国民の懐に届く使い方をするべきだ。単に公共事業を増やすんじゃなく、インフラといっても、生活インフラの整備。セーフティーネットの制度をしっかりつくって、そこにお金を回したらいい。そういう理論や制度を、総選挙までに新党が打ち出さなければいけないと思う。
――最後に抱負を。
2020年は我々、野党の政権で。そして国民のための大胆な政策を実行して、「国民の生活が第一」の政治を実現する。
(聞き手=小塚かおる/日刊ゲンダイ)
▽おざわ・いちろう 1942年生まれ。慶大卒。日大院中退。69年衆院初当選。自治大臣、自民党幹事長、民主党代表、自由党代表などを歴任した。現在17期(岩手3区)で議員在職50年。
新年特別企画◎安倍政権御用ジャーナリスト大賞(後編)
「御用ジャーナリスト大賞」に輝いたのは誰だ? 吉本ネトウヨ芸人増殖、恵俊彰が露骨化も、最後はあの3人の戦いに

首相官邸ホームページより
次から次へと不正や失政が露呈する安倍政権を1年間にわたって必死でかばいまくった御用ジャーナリスト、学者、コメンテーターたちを表彰するリテラの「御用ジャーナリスト大賞2018」。後編は5位から2位、そして大賞を発表しよう。大賞レースは、メシ友常連のあのジャーナリスト、上から目線あの学者、そして公共放送を安倍カルト化させているあの女性記者の三つ巴となった。大賞は一体誰の手に?
5位●吉本芸人(松本人志、千原せいじ、ほんこん、小籔千豊、加藤浩次)
芸人の安倍応援団化、ネトウヨ化が止まらない! 背景に安倍政権の吉本取り込み、税金投入
ワイドショーや年々増殖してゆく安倍政権応援団の吉本芸人たち。松本人志、小籔千豊はもちろんのこと、近年は千原せいじやほんこんがめきめきと頭角を現し、せいじは覚えめでたく今年「桜を見る会」に招待。ほんこんはあの安倍首相も大好き極右雑誌「正論」(産経新聞社)2020年1月号に登場し、「桜を見る会とか追及してる場合ちゃうで」などとネトウヨ安倍応援団丸出しの発言を連発していた。
しかも、これは“芸人のネトウヨ化”などというだけの話ではない。本サイトでも何度も指摘してきたが、吉本興業はこのところ、安倍政権やその周辺から行政関係の仕事を受注しまくっている。2019年11月、問題化して回収になった小籔起用の厚労省「人生会議」ポスターでは、4070万円もの血税が投入されていたことが明らかになったが、ほかにも、国土交通省のおかずクラブ、外務省のケンドーコバヤシ、消費者庁のロバート・秋山竜次、防衛省・自衛官募集キャンペーンへのNON STYLEや尼神インター起用と、各省庁のPRのタレント起用は枚挙にいとまがない。会社としても、吉本興業がNTTと共同でおこなう教育コンテンツなどを国内外に発信するプラットフォーム事業に、経産省が作った官民ファンド「クールジャパン機構」が最大100億円を出資することが判明した。
ようするに、吉本芸人の安倍政権御用化はこうした行政ビジネスとセットになっているのである。ワイドショーに芸人たちを大量に送り込み、安倍政権擁護のコメントを言わせ、その見返りに行政プロジェクトを受注するという構図だ。
この吉本への税金投入、政権癒着については、例の闇営業事件で大崎洋会長や岡本昭彦社長の責任追及の動きが出てきたときに一瞬、問題化しかけたが、結局、最大のタブー的存在である松本人志が「大崎が辞めたら自分もやめる」発言で芸人の上層部批判を抑えこむと、この問題もうやむやになってしまった。
そう考えると、松本の罪はつくづく大きい。闇営業問題における吉本上層部の責任逃れに協力しただけでなく、吉本芸人の安倍政権御用化を温存させてしまったからだ。
闇営業問題で反上層部の急先鋒だったにもかかわらず、松本の説得で態度を一変させた加藤浩次も、MCを務める『スッキリ』(日本テレビ)で、「桜を見る会」のジャパンライフ会長招待問題について「4年前は普通にマルチの商売をしている会社にすぎない」と、事実を無視した無茶苦茶な政権擁護をして批判を浴びていたが、松本支配が続く限りこれからも芸人のこうした露骨な政権擁護はつづくだろう。
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