ゴーン会見で問われた日本マスコミの姿勢! 安藤優子は仏メディアの質問に「ゴーンは私たちを検察の代弁者だと考えている」
海外メディアからの取材に答える安藤優子
世界的に注目を集めた日産自動車元会長のカルロス・ゴーン氏の会見。欧米マスコミのなかには、ゴーン氏が訴えた人権軽視の日本司法の問題点や、自身にかけられた嫌疑に正面から反論する姿を好意的に伝えるメディアもあったが、打って変わって日本のマスコミは批判一色だ。
とりわけテレビのワイドショーでは、MCやコメンテーター、タレントたちが寄ってたかって、「有罪になるから逃げただけ」「全然大したことを言っていない、ただのすり替え」「日本司法を批判する資格などない」といった大バッシングを展開した。
9日放送の『グッとラック!』(TBS)では立川志らくが、ゴーン氏の日本司法批判に対して「ただ開き直って自分の主張だけを言ってるだけ」「法律を破ったやつが何を言ってるんだ」などと説教をかまし、『ひるおび!』(TBS)では八代英輝弁護士が「盗人猛猛しい」とまで発言。『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ)では、会見の地ベイルートを訪れたが会見に参加できなかった安藤優子が「ゴーン被告にとって都合のいい部分だけを主張する場」「当事国である日本のメディアを締め出した」などと厳しく批判し、コメンテーターの田崎史郎氏は「レバノンは金とコネで成り立ってる社会のように見える」などとヘイトまがいのことを口にしたうえ、「所詮逃げた人、放っておけばいい」などと切って捨てた。
とにもかくにも、取り調べに弁護士の同席すら認めない人権感覚の後進性を訴えたゴーン氏に対し、日本のテレビでは「日本司法批判は自分の罪を逃れるためのすり替えだ」なるバッシングを繰り広げているのだが、いやはや、ちゃんちゃら可笑しいではないか。
そもそも、ゴーン氏の逮捕は明らかに無理筋であり、このまま裁判が始まっても有罪になるかどうかすら怪しいものだ。2018年11月、ゴーン氏はプライベートジェットで日本入りしたところを検察に待ち伏せされ、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の容疑で逮捕された。これは、報酬を約50億円過少申告した疑いにかけられたわけだが、しかし、蓋を開けてみれば、「報酬を得ていたにも関わらず不記載」とされたはずの約50億円が、実際には、ゴーン氏が退任後に日産から報酬を受け取る約束を交わしていただけで、そんな大金をもらってすらいなかった。
当然、そんな「絵に描いた餅」を有価証券報告書に記載する義務があるとは思えず、ようするに、ゴーン氏の逮捕はハナから強引に行われたのである。しかも、その後に追起訴された特別背任の容疑についても、法律の専門家からも検察が本当に有罪に持ち込めるのか強い疑義が呈されている。
まだある。会見で「自分を追い出そうと企てた人物」のひとりとして名指しされた西川廣人・前社長は、ゴーン氏退任後の報酬支払いに関する書面に署名していたにもかかわらず、立件を免れている。さらに西川氏には、株価に連動する役員報酬制度をめぐり、社内規定に違反して不当に数千万円を上乗せして受領していたことが表沙汰になっている。西川氏はこの報酬制度に関わる権利行使日を株価上昇に合わせて一週間ずらすことで、本来より多い額を得ており、これは明らかな不正だが、この件も日産の社内調査と西川氏の社長退任だけで終わってしまい、刑事事件にはならなかった。
ようするに、ゴーン氏だけが狙い撃ちされたように強引に逮捕・起訴されたのだ。周知のように、日本当局はゴーン氏を長期拘束したあげく、家族にも捜査の名目でプレッシャーを強め、会見前には妻のキャロル・ナハス氏に偽証容疑で異例の逮捕状まで取った。保釈中の身だったゴーン氏はキャロル氏との面会が禁止されていることを非難していたが、東京地検特捜部の市川宏副部長は「非人道的との批判は一方的で誤解があり、是正する必要がある」と述べており、明らかに「見せしめ」の逮捕状取得としか言いようがない。
★7日、自民党沖縄県連の新春の集いであいさつに立った元知事で同党最高顧問・仲井真弘多は「今沖縄はオールなんとかというえたいの知れない集団が牛耳っている」「空理空論、原理主義の思想、考えを持った人々に沖縄を任せてはいけない」と知事派を批判した。仲井真の言う「えたいの知れない」とは何を指しているのか。発言を聞くにつれ自分たちと考えの違う者に対しての排他性の強い、反対するやつはあやしいとか、信用ならないという意味で言っているのだろうか。あえて言えば言論界での議論を「えたいの知れない」でくくることはいわばヘイトではないのか。
★安倍政治がもたらす選民思想や仲間か敵かがここでも首をもたげる。確か仲井真ならずとも内外の保守陣営は沖縄を防人(さきもり)の最前線と位置づけ、中国人が沖縄に増えることを懸念し「沖縄の意思決定に影響を及ぼすような数になったり、多数派になったりしたら気をつけていないと、中国は軍事拠点として沖縄を狙うだろうし、移民などを送り込んでくる危険性が高い。そして例えば外国人地方参政権など認めたら、沖縄を内側から日本から切り離そうとするだろうし、さらには、いずれ沖縄住民の多数派になってしまう可能性も強い。(知事に)玉城デニーが当選すると沖縄が中国に乗っ取られる」というデマや印象操作を絶えずやってきたではないか。
★しかしその実態を見れば中国マネーに群がったのは玉城らオール沖縄の面々ではなく中国との関係を懸念し警鐘を鳴らしていた沖縄の保守系議員たちやそれらを支える沖縄財界の面々だったではないか。観光資源、カジノ誘致と辺野古基地建設などの米軍基地政策をセットにして進めてきた政策自体が沖縄の未来を左右する中、仲井真の発言はいかに不毛かを感じる。(K)※敬称略
桜を見る会・名簿廃棄記録問題
野党が調査を要求
![]() (写真)「桜を見る会」追及本部のヒアリング=9日、国会内 |
野党の総理主催「桜を見る会」追及本部は9日、合同ヒアリングで、桜を見る会の招待者名簿の廃棄記録が残されていなかった問題について調査するよう求めました。政府の担当者は「(廃棄記録がない)経緯については、きちんと調査しなければいけないと思う」と答えました。
政府の公文書に関するガイドラインでは、公文書を廃棄する際、廃棄簿に記録を残すよう義務付けています。しかし、2013~17年度の5年分の招待者名簿については、廃棄記録が残っていないことが判明。菅義偉官房長官は7日の記者会見で「残すべきものが残されていなかったということは事実だ」と認めましたが、原因については「当時の担当者から聞き取りを行ったが、記憶が鮮明でなく、経緯についてはわからない」などとしています。
招待者名簿の保存期間は17年度まで1年でしたが、18年度からは1年未満に変更され、廃棄簿への記録義務はなくなりました。
日本共産党の宮本徹議員はヒアリングで、17年度までの5年分の招待者名簿は、記載が義務付けられている行政文書ファイル管理簿にも記載がないと指摘。「行政文書ファイル管理簿に意図的に記載しなかったのか、あるいは削除したのか、どちらなのか」とただしました。政府の担当者は、「今のところはわからない」としか答えられませんでした。
野党議員は、文書管理規則違反行為が明らかになっているのに、経緯や原因が分からないでは済まされないと追及。管理簿、廃棄簿に記載されなかった経緯を調査すること、また、招待者名簿に関する電子データのログ(履歴)を提出するよう重ねて求めました。
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アメリカ「宇宙軍」発足を宣言
中日新聞社説
軍拡競争「宇宙軍」は映画だけに
お正月映画で「スター・ウォーズ」が公開されている。迫力のある戦闘シーンが魅力の一つだが、現実の世界でも今、宇宙空間の軍事利用が注目されている。「邪悪な企て」ではないのか。
新年早々、政府は航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」に改称する方向と報道された。米国は昨年十二月に宇宙軍を発足させている。中国やロシアも宇宙空間の軍事利用に力を注いでいる。インドは昨年三月、軌道上の衛星を破壊する実験に成功し、「宇宙大国」の仲間入りをしたと発表した。
宇宙軍は流行の先端のように見えるが、実情は違う。
インドの実験後、米航空宇宙局(NASA)は「実験で四百個もの宇宙ごみが発生し、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在している宇宙飛行士に危険が及びかねない」と非難した。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると二〇一七年現在、地球軌道を飛ぶ人工衛星は四千四百基を超えるという。軍事衛星もあるが、衛星利用測位システム(GPS)や気象などの地球観測、通信といった実用衛星である。人工衛星も宇宙ごみとの衝突を避けるためにしばしば、軌道の変更を迫られている。
スター・ウォーズで見るような戦闘が行われれば、大量の宇宙ごみが発生し、宇宙空間の利用が難しくなる。先進国であればあるほど、望まないシナリオである。しかも、米スペースX社は現在、四万二千基もの小型衛星の打ち上げ計画を実行している。通信だけでなく、地球観測や軍事にも利用される。もはや衛星を一基一基、撃ち落とすという発想が時代遅れになっている。
ハリウッド俳優から米大統領になったレーガン氏は、一九八三年にいわゆるスター・ウォーズ計画を発表。米国と旧ソ連は宇宙軍拡を競った。これが九一年のソ連崩壊につながったともされる。米国も財政悪化に苦しんだ。映画を見て思い出すべきは、戦闘シーンではなく、軍拡競争の愚であろう。
国連は五九年に宇宙空間平和利用委員会を設置し、宇宙条約などが締結されている。条約は平和利用が原則だが、通常兵器で非侵略という目的であれば制限がない。