検証は?雑な税金の使い道/政界地獄耳
★こうなると乗り遅れまいと「うちの県にも緊急事態宣言を出してもらわないと」と勘違いする知事が出てきかねないが、繰り返すようだが、自治体から緊急事態宣言を国に出してくれと頼むこと自体がおかしな話。同時にそれはもう自治体規模では抑えられず手に負えないから国に託すという「ギブアップ」宣言だ。まして首相・菅義偉は大阪府のいわゆる「大阪モデル」というコロナ対策を自治体の手本かのように持ち上げてきただけに、おいそれと緊急事態宣言を要請されたからといって発出できなかったか。
★一方、コロナ禍で2度目の緊急事態宣言を出すのは結構だが、時短要請の飲食店や納入業者などへの手当てなどで格差問題が広がっている。地方では給付金を合わせると通常営業よりも高額になるコロナバブルが起きていると報じるニュースもあるし、こんな金額では家賃と人件費などで全く足らないと嘆く報道もある。いまだに困窮を嘆く報も多い。だがこの状況は2度目のことだ。全国一律や店舗規模など1度目の緊急事態宣言時の教訓や経験を政府は全く生かしていないし、飲食店サイドや産業界も想定しうる策はもう少しあったのではないか。
★一方、単身者の命綱でもある牛丼チェーンや立ち食いソバなどの3密など感染リスクの低い店舗にも時短が浸透し、都市部の食事難民も増えていると聞く。突然の宣言に個別対応ができなかった昨年の春の時点とは大きく違う状況になんの学習も知恵もないままに宣言を発出する県が増えていくことをどう考えているのだろうか。政府は予備費から資金を拠出するとしているが、緊急事態宣言のさなかに持続化給付金などの締め切りは15日。申請の延長はしないという。支援して助かる命や会社を何とか存続させることも経済をまわすことになるのではないのか。どんぶり勘定で雑な税金の使い道はちゃんと検証されるのだろうか。(K)※敬称略