自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、安倍派(清和政策研究会)の幹部「5人組」が政治資金規正法違反による立件を免れた19日以降、派閥から還流された金額などを公表し、釈明している。国民の政治不信を招いたことを陳謝する一方で、「秘書が報告しなかった」などと責任を転嫁するような発言を重ね、離党や議員辞職もしない意向を示す。党内からは安倍派幹部の処分を求める声が広がっている。(我那覇圭、小椋由紀子)
◆2728万円キックバック「詳細まで把握してなかった」
5人組は、岸田政権で政府や党の要職を担った萩生田光一前政調会長、世耕弘成前参院幹事長、松野博一前官房長官、高木毅前国対委員長、西村康稔前経済産業相。安倍晋三元首相の死去後、5人が中心となり派閥を運営してきた。
萩生田氏は2018年以降の5年間で2728万円の還流を受け、政治資金収支報告書に記載していなかった。元会計責任者が略式起訴された岸田派の不記載額約3000万円に迫る水準だ。22日の記者会見で「(スタッフから)おおむねの報告を聞く程度で、詳細まで把握していなかった」と釈明。還流分の不正使用もなかったと強調した。
◆「秘書の判断」「私は起訴の対象にならなかった」
世耕氏や西村氏も19日の会見で還流を知らなかったと説明。「秘書の判断」(西村氏)と、会計担当者に責任をなすりつけるような姿勢に終始。議員辞職の考えを問われ、世耕氏は「私は起訴の対象にならなかった」と開き直った。
◆不起訴が決まってからHPで「訂正する」
松野氏と高木氏は記者会見の場での説明を避けている。官房長官在職中、会見で裏金の認識を問われても「政府の立場」を理由に回答を拒み続けた松野氏は、不起訴となった19日、自身のホームページで、不記載の経緯と政治資金収支報告書を速やかに訂正する考えなどを表明しただけ。会見はいまだに開いていない。
安倍派が解散を決めた19日、現職の事務総長として会見に臨んだ高木氏は、自身の還流分などについては答えず。22日に記載漏れが1019万円だったと明らかにし、「いわゆる『裏金』と指摘されるような不正な支出はなかった」とのコメントを出しただけだ。
◆「党として処分すべきだ」が相次いだが
23日に自民党本部で開かれた政治刷新本部では、出席者から「党として処分すべきだ」などの声が相次いだ。岸田文雄首相(党総裁)は会合後、5人組や刑事責任を問われた議員を処分する考えがあるかを記者団に問われ「政治責任のあり方については党として結論を得ていきたい」と述べるにとどめた。
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