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中古車販売大手ビッグモーターの自動車保険を巡る不正が相次いで発覚している。いびつな経営体質が浮かび上がり、損害保険会社の不正への関与も疑われている。
国土交通省はビッグモーターへの立ち入り検査を開始した。金融庁による損保会社に対する調査も徹底する必要がある。
ビッグモーターと取引していた損保各社の中で、損害保険ジャパンが突出して深い関係にある。同社はこれまで三十七人をビッグモーターに出向させ、他の二社は三人ずつにとどまる。さらにビッグモーター従業員の不正の告発後、出向者がいた損保三社は事故車両のあっせん業務を停止したが、損保ジャパンだけが再開していた。
金融庁は損保ジャパンへの立ち入り検査を行い、不正への関与の有無や、経営陣がどこまで事態を把握していたのか、などを詳しく調べるべきだ。癒着していたことが判明すれば、厳しい行政処分や経営トップの進退問題に発展するのは避けられないだろう。
さらに、ビッグモーターの店舗前にある街路樹が不自然に枯れたことも各地域で明らかになった。同社はホームページで、清掃の際に使った除草剤の影響などにより、複数の店舗前で街路樹や植え込みが枯れた可能性が高いと公表している。
どのような目的であれ公共の植栽を損壊したのなら、刑事事件の可能性もある重大な行為だ。国交省や各自治体は従業員への聴取や土壌調査を早急に行い、厳正に対処すべきである。
非上場会社であるビッグモーターの株式は兼重宏行前社長と長男の宏一前副社長が事実上支配する資産管理会社が100%保有し、一連の不正は外部からの監視を受けにくい体制下で起きている。
企業風土を根本的に改め、再出発するには、兼重親子に経営から完全に手を引かせることが必要だが、旧経営陣の一角を担った新社長が実行できるかは不透明だ。
監督官庁による不正の全容解明後、資本関係も含めて経営構造を一新するしか、生き残りの道はないのではないか。
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